第1章 転生1回目

第2話 驚愕!スキルはガチャシステム

 なんか天使なのか女神様なのかよくわからない人たちに、大空高く舞い上がらせられた僕は、気がつくとな~んにもない部屋に連れてこられていた。


「あの~、これっていわゆるひとつのあれですよね~? 異世界転生ってやつですよね~?」


「そうで~す! おめでとうございます! あなたは1000人目の異世界転生者に選ばれました~! パチパチパチ~!」


「あ、ありゃりゃした。」


 噛んだ。家族以外と話すのは久しぶりなのでしゃーない。でもよしっ! 前世では散々だった我が人生! もう一回、もう一回最初からやり直せる!


「それではですね~、一応規則なんで最初にお聞きしますが、ゆかり様、転生、なさいますか?」


 もちろん僕は即答する!


「オ、オ、オナシャス!」


「わっかりました~! 紫様ならそう言ってくださると信じておりました~!」


 よ、よっしゃ、やったるでぇ!!


「え~っと、それでですね~。通常ですと異世界転生者の皆さんには、強力なスキルや強力な魔法、あとは敵のスキルなどを無条件に奪える、なんていった素敵な特典をお渡ししているんですが~……」


 えっ、もしかして僕1000回目だから、すんごいやっばいやつもらえちゃうんじゃないの? いや、悪いよ。そんなの。そこそこ強いやつでいいですよ~、ほんと。


「そ・れ・で! 1000回目の記念すべき転生者の紫さまには――」


 ご、ごくり……


「今回のために我々女神~ズが新しく開発したっ! このっ――」


 引っ張るね~。


「じゃじゃん! スペシャルガチャシステムをご利用していっただっきま~す!」

 

 は?


 え?


 ガチャ?


「あの~、女神さま~、その~、ガチャとかいいんで、なんかチートレベルのスキルとか~、すんごい魔法とか~、あの、さっき女神さまが言ってた相手からスキルとか奪いとれるやつとかでいいんで~」


「ごめんなさい~。今回はこのスッペシャルな! そしてスーパーな! ガチャシステムを構築するために他のスキルとかはご用意してないんですよ~」


 え、マジで?


「え、これ引かなきゃダメなかんじ?」


「はい~♪」


「マジか~。でもすんごいいいスキルとかでるんでしょ? ねぇ、でなきゃねぇ。1000回目のスペシャルな転生者だよ、僕」


「はい~。あ、一応ガチャのシステムについてご説明させていただきますね。」


 ――スペシャルでスーパーなガチャシステム通称「搾取くん(仮)」


「ちょ、ちょっと待って、名前おかしくない?」


 搾取くん(仮)って。なんか搾り取る気満々なかんじ? いや、でも1000回目の記念すべき転生者だしね。そんなクソみたいなスキルでないよね。うん、僕信じてるよ!


「さぁ、横やりが入りましたが、説明を続けさせていただきます。この搾取くん(仮)は ガチャを引くとランダムにスキルやアイテムなどがひとつ出てまいります。排出されるガチャにはランクがあり、1から10までございます。さぁ! 幸運なあなた! 最高ランクのガチャを引けるのか~、引けないのか~、明日はどっちだ~!!」


 え、もう終わり?


「あの、そんだけですか? 説明……」


「はい? はい、終わりです。さぁ、ガチャってください」


 マジか~。嫌な予感しかしねぇ~。


 しゃーねぇ! やるっきゃねぇ! 僕は齢29にして初めてのバイトを始めようとした漢だ! なるようにしかならねぇってんなら! いったれっ!!


 がちゃんっ


 ごろごろごろごろごろ~


 ぽろん――――


 ノーマル(笑)


「お~っと! ノーマルきたー!! 最低レベルで~す! さぁどんなスキルがきたのかな~」


 え、マジで? 嘘でしょ? これなんかのドッキリ? どっかにカメラかなんか仕込んであんじゃない? いや、こんな素人隠し撮りしても撮れ高とれないよね。


「ガチャの内容を発表しま~す! スキル名は~、“打突”、で~す!!」


 だ、だとつ……いや、これぜってぇ弱ぇ~だろ!

 いや、待て、弱いと見せかけてなんかものすごいスキルなのかもしれん。

 たぶん最初は弱いけどスキルレベルが上がる度に威力が増して、最終的には天をも切り裂く伝説級のスキルになるっ! そうだ! そうに違いない。


「わっかりました~。いっちょやったりますか。」


「あらっ、ノーマルスキルなのに喜んでいただいて、こちらとしても願ったり叶ったりですわ。ノーマルスキルなのに」


 あんまノーマルスキル連呼しないでくれるかな? テンション下がっちゃうからね。

 まぁでもクヨクヨしててもしゃーねぇよなっ! おっ、今の僕ちょっとかっこよくなかった? よっしゃ! いっちょやったるでぇ~!!


「では異世界転生、第一回目張り切って行ってみましょう~!」


 今第一回目って言わなかった? なにその二回目もあるの、すでに確定してるかんじ。ちょっと待って、ちょっと待って、やっぱやだ、やっぱやだこのスキル~!!!





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る