第11話

幸知さちちゃんとの面会から暫くして、警察官数人が僕の元にきた。

檻の外からノートパソコンを差し出し、「このハッキング元を辿れるか」と聞いてきた。

「……見たところ、簡単そうですね。

それで、それをどうしろと? 」

僕が言った一言に詰め寄ってた警察官達がどよめいた。

「これが見ただけで分かるだと? 宜しいやってみろ」

差し出されたパソコンを中に入れてもらい、パチパチパチとキーボードを叩く。

僕からすると、このハッキングは自分が引き起こしたものよりも軽く、タタンと叩き続けてハッキング元を数分足らずで引っ張り出した。

「……出来ましたよ、これでいいんでしょ」

「おお……陸圸俊雄りくやまただお、出ろ。これからお前の身柄は警視庁が預かった」

なんと、警視庁からきたらしい。

県警かと思ったが違った。

「……出ていいんですか? 」

「反省もしているようだしな、特例だ」

「わかりました」

ガシャンと鍵が外れ、僕はパソコンを持ったまま数年振りの外へ出た。

外は真っ昼間だったようでとても眩しく、瞼を細めて歩き彼らのパトカーに乗り込む。

直ぐ様発進されるパトカーの中、外を眺めつつ、幸知ちゃんの幸せを祈った。



「もう会えないだろうけど、ずっと元気でいてくれ……」

以前会った姿を思い出し、ゆっくりと目を閉じ手を組み合わせた。

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