第8話

ボクはびょういんにいながらてれびをみさせられていた。

がめんにはりっくんがうつっていて、いすにすわらされていて、他にはつくえしかないへや。

りっくんがくちをひらく。

幸知さちちゃん、元気か? もうあえないだろうから配信させてもらったんだ。

顔がみれてよかった」

「もうあえないってなんで? りっくんわるいことしてないよ」

「したんだよ、わるいこと。幸知ちゃんに言えないようなこと」

りっくんがゆっくりとはなしかけてくる。

きれいなかおにひげをはやしたかかおはやっぱりきれいで、ああ、どうしてあえないんだろ、とボクはおもう。

りっくんがはなすたびにりょうしんがこわいかおをして、でんげんをきろうとしたがっている。

いやだ、きらないで。

「りっくん、たすけてくれてありがとう。でもボクはりっくんにあいたいよ、もうあえないの? 」

「ありがとう。あえないよ。こうやって話すのも許してもらったんだ

幸知ちゃん、いろいろなものをくれたりみせてくれてありがとうね。

僕は君がいたから、世界を信じてみようとおもったんだ、そしてじぶんの罪にも目をむけられるようになった。本当にありがとう。

幸知ちゃん、君は君の世界を生きてくれ。僕みたいな犯罪者忘れてもいいから」

「そんなさびしいこといわないで、ねえ、まったらあえる? 」

さちがびょういんからでれたら、あえる?

あえないよ。

りっくんがなんどもいう。

ボクにつたわるように。

なんどもなんどもいうからボクはないてしまう。

まってて、りっくん。

びょういんからでたらあいにいくから。

「もう、良いわよね。

陸山さん、貴方これ以上うちの幸知に近付かないと約束出来ますか?

できるなら、一度だけ面会を許します。」

「はい、守れます」

「でしたら、一度だけ、幸知が病院から退院しましたら、機会を設けましょう」

さちが貴方のことを吹っ切れるように、お願いしますとボクにはむずかしいことばをつかって、ははおやがつうしん? をきった。

がめんがくらくなる。

りっくんのすがたはもううつることはなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る