〜第二話〜「国外捜査」

国外から来た男と戦闘が始まった。


「さあ、来いよ。湊人。」

「そっちが来いよ。俺に用があんのはそっちだろ?」

「なら、お望み通り、来てやるよ!!」


男が猛ダッシュで近づいて来た。


「その刀〜!破壊してやるよ!」

「っ!」


咄嗟に、湊人は刀で攻撃かもしれない男の手をガードしてしまった。


「アホが、その刀は終わった。」


だが、触れられた刀は何も起こらなかった。


「はぁ?」

「残念だったな、この刀はどんな攻撃や力を与えても一切影響を受けない。『伝説の刀』だ!」


湊人は、そう言いながら男を刀で振り飛ばす。


「ちっ!面倒な奴だ。」


その時、

ブロロロロロ……

男の通信機が鳴った。

ピッ


「んだよ、こちとら戦闘中だせ?」

「ぶっくん、今すぐ戻ってきなさい。」

「はぁ?!なんで戻んなきゃ……。てか、その名で呼ぶなっ!」


通信機越しに、あの女の声が聞こえる。


「ボスの命令よ、逆らったらわかってるわよね?」

「まじかよ、いいところだったのによ。」


男は後ろを向き、


「じゃあな、湊人。」

「なん、待てっ!」


男は何処かへ行ってしまった。


「逃した…。くそっ。」


湊人も町に残っていたゾンビを一掃し、学場長室に戻る。


「ゾンビの襲撃を起こした犯人2人に出くわしました。」

「そうか。今回の収穫はそれだけか?」

「そうですね。」


結果報告をした湊人。

しかし、湊人はある事を要求する。


「学場長、俺に国外捜査をさせてください。」

「そうか、よかろう。私も言おうと思っていたしな。」

「ありがとうございます。」

「だが、何人か連れて行け。危ないからな。」


その言葉の直後、扉から2人が入ってくる。


「あれ?湊人?何でここに?」

「おや?湊人くんじゃないか。君も捜査に行くのか?」


その2人は未月と炎花だった。


「ええ?!未月と炎花さん?!」


学場長に振り向き直すと、


「彼をリーダーとし、国外捜査に行きなさい。」

「俺がリーダー?」

「は〜い。」

「わかりました。」


2人は返事をして、部屋を出ていく。


「ちょっと待ってくださいよ。俺がリーダー何て、できっこないですよ。」

「君は、なんのためにこの学場に?」

「それは、『英雄』になるために…。」

「なら、そのチャンスだろう?この機会をいかさんか。」

「わ…わかりました。」


湊人も部屋を出る。


「まっさか、湊人くんがリーダーだったとはね。」

「よろしくね、湊人。」

「ああ、じゃあ、早速行くか。」

「「うん。」」


3人は戦闘服に着替え、学場の門に立つ。

今回の国外捜査用に用意された戦闘服は、

完全防弾のジャージ型戦闘服。

腰近くの右足には銃のホルダーが付いている。


「よし、準備できた?」

「できたよ。」

「うん。」


歩こうとする3人に、


「おいおい、歩いて向かうのか?」


学場長が話しかける。


「これを使いなさい。」


3人はあるものを渡される。


「これは?」

「浮遊ブーツ、それをつければ足から体全体を宙に浮かせ、浮遊することができるブーツじゃ。」

「これ、楽ですね。」

「じゃろ?」


3人は浮遊する。


「さあ、頼むぞ。この国のために。」

「「「はい!!」」」


そう言い、そのまま東の方へ行く。


そして、国の端に着く。

掘を超え、海の上を進んでいく。


「この先に、国外があるのよね?」

「ええ、炎花さんが持っている道紙どうし通りなら。」


道紙どうし、その紙には大まかな国の形が書いてあり、その周りの海と空から撮影した映像をもとに書いた国外が書かれている。


「あれ!」


進むに連れて、大陸が見え始める。


「あれが、国外……。」

「行きましょう。陸に上がったら、国外人類のフリをするのよ。」


3人は陸に上がり、近くにいた国外人類を捉え、服を借りる。


「ここが、入口だね。」


国の中に入ろうとするが、巨大な門に阻まれる。


「なあ、このまま入れるか?さっきの奴ら、何言ってるかサッパリだったよな。」

「これが使えるといいけど、声帯変換機。」

「やってみよう。」


3人は声帯変換機を耳に付け、入口の門に近づく。


豁縺繧後縺斐縺縲錐蜑阪止まれ、見ない顔だな。名前は?

豁隕倶埼泌錐ああ、俺はミット。

遘繧繝繝繝縲私はエンリー。

繧上繝溘繝わ、私はミーツ。


声帯変換機はしっかり作用したようだ。


ここからは変換した言葉のみになります。


「なるほど、門外で遊んでいたのか?」

「ええ、ただの一般人ですよ。」

「すまぬ。最近敵国に向かった王政府の一人が、帰って来ないそうでな。それで、帰ってきたらすぐわかるよう、名前を聞いてから入れさせるようにしている。」

「そうでしたね。」

「さっさと入れ。後ろが詰まる前に。」

「は〜い。」


3人は国に入ることに成功した。


「取り敢えず、各自この国の情報を集めよう。」

「うん。」

「じゃあ、解散。」


3人はバラバラに散らばる。


「さて、どうやって情報を集めようか。」


すると、


「あの〜。」

「ん?」

「落としましたよ。」


後ろから、白いドレスを着た女性が話しかけて来た。


「あ、ありがとうございます。」

「おい!あれって有名人のレイナじゃね?」

「まじかっ!」


湊人を差し置いて、女性の周りに集まる男達。

この女性は、この国で有名なレイナと言う、大スターだったようだ。


「あの、サイン下さい!」

「握手お願いします。」


それを横目に、湊人はレイナの事をメモする。


「よし、次だ。」


湊人は歩き出す。


一方その頃、2人共に別の情報を集めていた。

3人が集合し、湊人はレイナの事を伝える。

未月はこの国には戦闘車がある事。

炎花は地爆が大量に保管されている事。


「まあまあ、いい情報だろう。」

「戻る?」

「あと少しだけ探って、帰ろう。」

「「了解」」


湊人はまた離れる。

近くの飲み屋に入る。


「らっしゃ〜い。」

「この、ロールノースって奴で。」

「ここは初めてかな。了解、注文だ。

ロールノース1つ〜。」


湊人は少しのんびりしていた…。




場所は変わり、ある施設内。

長方形の机を沢山の椅子で囲っており、

その席数は5席。

その内、4席は埋まっている。


「時間だ、まだ来ないのかよ。ボスはよ。」

「まあまあ、ちょっとぐらいいいんじゃない。」


席に座る男と女。

女は、湊人と戦闘した悪元。

男も、湊人と戦闘した男だ。

2人の目の前にいる男と女も喋りだす。


「もう来るって。」

「静かに待てよな。お前ら…。」


その瞬間…。


「飲み物の準備は?」


ある男が入ってくる。


「ボスっ!できてます、温かいやつですよね。」

「ああ、合ってる。」


ボスと呼ばれる男は横側に座る。


「さあ、次の任務を教えてください。」

「待ってましたよ。我々の任務。」

「早く教えてください!」

「楽しみね〜。」


4人はワクワクしながら任務内容を待つ。


「次の任務は、神岡湊人を今度こそ捉えろ、今この国に来ている。」

「わかるんですか?」

「ああ、前にも言っただろ?」

「そうでした。」


ボスが立ち上がり、


「彼は、。」

「そうですね、さん。」


ボスは湊人と呼ばれた…………。




場所は戻り、飲み屋で眠っている湊人。


「なってやる〜、この世界の〜英雄に〜。」


寝言を言う湊人に、ある女が近づく。


「こいつが、湊人?かっこいいわね。」


女が湊人を観察していると、


「ん〜?っ!」


バッ、

危険を感じた湊人は、女と距離を取る。


「お前、誰だ?」

「初めまして〜、キサキで〜す。」


女はキサキと名乗った。

あのときと同じ様に、全身を黒いマントで覆っており、フードからは金髪のツインテールがはみ出ている。


「お前も俺狙いか?」

「まあ、当然だね。」

「じゃあ、さっさと始めるか。」


背中から刀を引き抜く湊人。


「いいわよ、やってみなさい。私に勝てるとでも?」


キサキの背中から黒い翼が生える。


「はぁぁぁっ!」


刀を振るう湊人。


「ブラッドネイル」


キサキの爪が赤くなり、大きくなる。

ガキンッ

互いの攻撃がぶつかり合う。


「たかが刀の攻撃、簡単に弾き飛ばして上げる!」


キサキは湊人を刀ごと吹き飛ばす。


「ああっ!」


倒れると同時に刀を離してしまった。

しかし湊人は立ち上がり、刀に気にすること無くキサキの方へ走り出す。


「武器もなしに突っ込んで来るとはね。いい度胸じゃないの……!」


途中、湊人は右腕を巨大なゾンビ腕と爪に変える。


「切り裂け!『斬爪閃速ざんそうせんそく』」


物語の英雄の力を使った湊人は、極限まで上がった身体能力を駆使し、物凄い速さでキサキを切り裂く。

ザシュッ


「あ゙あ゙っ!!」


吐血し、腹からポタポタと血を垂れ流す。

普通の人間なら致命傷に近い。

この傷で動けば大量に出血し、死亡率が上がり、終いには死ぬ可能性がある。


「ゴホッ、良いダメージだね。」

「刀以外だって攻撃手段はある。油断しない方がいいぜ。」

「そうね。」


そう言いながら、キサキは自身の血を手で受け止め、飲む。


「はあ?自分の血を飲んで何になるってんだよ。」

「今から見せてあげるわよ。油断しないでね?」


生えていた黒い翼がもっと大きくなる。

それと同時に、傷は癒えて爪も大きくなる。


「何だ、その爪は俺のパクリか?」

「こっちが先だよ。」


ブンッ

キサキは爪で攻撃をする。


「っ!あぶねぇ。速いな、攻撃速度が。」


油断大敵、ギリギリ反応できた湊人だが、下手すれば受けていた攻撃だ。


「ねぇねぇ、気付かないの?バカと戦うって大変だね。」

「あ?んだようっせぇな!」


ダッ

走り出す湊人。


「もっかい同じのやってやるよ!」

「『転斬爪爪てんざんそうそう』!」


切ると同時に回転し、攻撃数を上げる。

ザザザザッ

キサキの体は傷だらけになる。

だが、


「いいねぇ〜、もっと欲しくなってきたよ。君の血は美味しそうだ!」


キサキが手を伸ばしてきた。


「やべぇっ!」


ガッ

肩を掴まれ、


「あ〜んっ!」


ガブッと湊人の首を噛む。


「だっ!てめぇっ!」


湊人は咄嗟に弾き返す。

しかし、


「美味しい、美味しい、美味しい!みなぎってくるよ!膨大な力が!!」


キサキの様子が豹変する。

翼が赤くなり、左腕が鋭い刀の様になった。

そして、右腕は巨大な赤い爪と、湊人と似たような腕になる。


「待ってた、ずっとずっと、この強い人間の血が欲しかった!ありがとう湊人くん、これで君を簡単に捉えられる!」

「やってみろよ。」


互いに動き出す。

爪での切合が数分間続き、


「互角だ、急に気配が変った。何故か知ってる気配だ。一体何をした?」


湊人はまだ気づいていない。

彼女の力が一体どんな力なのか。

そして、ついに決着がついてしまった。


「油断しないでって、言ったのは君だろ?」

「っ!」


その光景は、湊人がキサキの赤い爪にやられている光景。

大量の血が体から出る。


「再生する力も残ってないの?」

「そう…みたいだ……な。」


キサキは湊人から爪を引き抜き、


「じゃあ、私の勝ち。」


ザシュッ

首を切られる。

湊人の首は、特殊なケースに入れられ、キサキに持っていかれる。


プロロロロ…

キサキはボスに通信する。


「どうも、捉えましたよ。」

「よくやった。どうだ?3から2へ昇格するか?」

「いいんですか?やった〜!」

「そう慌てるな、まずは持ち帰ってからだ。」

「わかりました。」


プッ

通信を終え、ある施設内に持って行った。





「ねぇ、湊人は?」

「さあ、先に戻っちゃったのかな?」


2人は湊人が囚われてしまった事に気づかず、国へ戻ってしまった。




ある施設内。

そこは国の中心部であり、

悪元、男(ぶっくん)、キサキが長方形のテーブルに座っている。

一つの空いた空席は、誤物が座っていた席だ。


「集まったか。」


ある人物が扉から出てくる。


「ボス、飲み物は温と冷、どちらに?」

「寒いから温だ。」

「わかりました。」


その人物はボスと呼ばれた。

この施設のボスなのだろう。

そして、ボスの後ろにあるモニターと機会の隣側、台の上に乗る物は湊人の首が入った特殊なケースが置いてあった。


「まず、キサキが湊人を捉えたことで、昇格する。」

「イェイ!」

「フレイ、キサキと席と番号交代だ。」

「まじかよ〜。」


フレイと呼ばれた男。


「残念だね、ぶっくん。これで私に強い態度が取れないね!」

「てめぇ、この野郎!」


フレイがキサキの方へ向かおうとすると、


「やめろ、決まった事だ。結果を出せぬものに反論の口はない。」

「っ、くそっ!」


ドサッと席に座るフレイ。


「さあ、そろそろ湊人が起きるぞ。」


湊人はある場所へ移し変わっていた。

体は再生し、元通りだが、鎖で両腕両足を繋がれている。


「っ!何処だ……?ここは……。」


目を覚ました湊人。


「やあ、お目覚めかな?」

「誰だ、お前は。」


目の前に現れた男を睨む湊人。

その男は、全身が隠れる赤いマントを羽織っており、赤いハットを被っている。


「怖い怖い、俺にもこんな時代があったな〜。」

「誰なんだよ、お前は。」

「しっかし、こいつもこれから俺みたいになるって思うと、お友達はさぞ悲しいだろうね。」

「さっきっからお前、何言ってるんだよ!話を聞けよ!お前は誰だって言ったんだ!」


おかしな事を言う男に、怒る湊人。


「………。やっぱり、鈍感な所も同じだね。」

「はあ?」

「俺は、君だ。」

「は、俺?」


湊人は混乱した。

自分と同じと言われた事で、思考停止する。


「何言って……。」

「俺は、数年後の君なんだよ。」

「んなわけ……。」

「俺は、数年後の湊人だ。」


男は湊人と名乗った。


「今、君は俺に捕まっている。数年後、君も過去の俺をこうやって見るだろうな。」

「そんなこと、するわけがねぇだろ!」

「実際、俺はしてるしな〜。」

「っ。」


湊人は腕に力を入れる。


「無駄だよ、その鎖は超硬質素材で出来てる。はずせるわけがない。」


だが、


「あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ!!」


バキンッ


「まあ、わかってたけどね。」

「知ってるなら、教えてくれ。俺はどうしてそうなった。」

「これからわかることだ。」

「なら、お前をここで殺す!」


湊人現在の背中に刀が現れる。

それを引き抜き、構える。


「属性付与:氷 氷天刀突ひょうてんとうとつ


湊人未来を突き刺す。


「がはっ、同じだ…。お前はそうすると思ってた!」


湊人未来は喜ぶ。


「こんなんにはなりたくねぇな。」

「いずれなるよ、俺は君だからね。」


湊人未来も背中に刀が現れる。

刀を引き抜き、同じ様に構える。


「属付:炎 炎炎転斬えんえんてんざん


ザンッ

湊人現在は体を切られる。


「っ!くそっ、技まで同じかよ。」

「当たり前だ。俺は君だ。」


その後、2人の戦闘が続いた。

互いに同じ攻撃方法であり、決着はつかなかった。


「さあ、死んでもらおうかな。」

「俺を殺せば、お前は死ぬんじゃねぇの?」

「何故だ?」

「だって、お前は未来の俺なんだろ?」

「そうだったそうだった。」


その隙に、湊人現在はポケットからある筒状の物を投げる。


「これは……!」


キーンッ

閃光爆弾を投げた。


「やはり、逃げる未来も変わらない!また何処かで会おうな!昔の俺!」

「お前とは一生会いたくねぇよ!」


湊人現在は施設の窓から飛び出る。


「ボス!今の音は?てか、奴は何処に?」

「逃げたよ。これも俺の記憶通りだ。」

「捕まえた意味ないじゃないですか。」

「そうだね。もう一度、捉えろ。奴にも俺と同じ道を歩ませる。」


そう言いながら湊人未来は部屋に戻った。


施設から逃げた湊人は、急いで国を出ようと海へ向かう。


「きさま、さっきのやつか。また、外に遊びに行くんか?」

「ああ、そうだ。またな!」

「おう!」


門の前で最初に会った男が湊人を送った。

湊人は彼に見えないように浮遊ブーツで、自分の国に帰った。


到着後、

湊人は学場長に未来の自分が国外の国のボスであった事を伝えた。


「そうか、君はなるのか?」

「絶対に、なりません。」

「よろしく頼むぞ。」


湊人は教室に戻り、自分の荷物を集める。


「明日は休みだ。家での自主練は欠かせないからな。」


愛用の銃とグローブをバックに入れ、外に出る。

湊人は家に帰った。




学場の屋上で、棒型のお菓子を加えている紫色の全身が隠せるマントを羽織った女が湊人を見ている。


【みんな、このマント好きだよな。私達敵の中では流行っているのかな?】


機械音声で話す女。


「あの〜、あなたそう簡単に外出ていいんですか?」


女の後ろで本を読む女。

その女は紫髪のポニーテールであり、

屋上の網に寄りかかって本を読んでいる。

学場の制服を着ており、潜入でもしているのだろうか。


【どうだ?ここの居心地は。】

「くそですね。湊人も教室内に全然いませんし、こうやって見つけてもあなた自身が動かないんで、意味が無いんですよ。」

【それは失敬。】

「で、ここで何をするんですか?また湊人を探すついでのお菓子タイムですか?そろそろ湊人を捉える事に集中したらどうですか?」


本を閉じ、女に近づく。


【そうだな。そろそろ捉えに出てもいいが、私達がこのまま行っても、勝てるのは私だけだよ。まずは強さを確かめるために、彼から行かせようかな。】

「私を馬鹿にしてます?」

【別に、行動の前に調査は必須でしょ?】

「そうですね。奴を液体カプセルから開放してきます。」

【任務ちゃんと伝えてね。】

「了解。」


女は空を飛ぶ。

階段の様に登り、地面の様にそのまま反対方向に歩いていった。


【湊人、色々な敵さんから狙われるなんて、モテモテだね。】


湊人の写真が貼られた資料を取り出す。


【あなたが本当に100年に1人の伝説なら、モテモテなのも仕方ないのかもね。】


マントの中にしまおうとした資料を、誤って床に落とす。


【おっとっと……。】


その資料が裏返った。

その裏にはこんな事が書いてあった。



[100年に1人の伝説]

[その人間は、全ての力に適応する事ができる。そして、体の構造上、一度死んだら蘇ることができ、その間、死と生の間を彷徨い、可能であれば、好きな人物を1人蘇らせることが可能である。だが、その蘇った人間はランダムで力を得る。]

[最後に、100年に1人の伝説は世界を破壊しかねない。または、この世界を作り変える可能性がある。]

[確実に捉える事が重要である。]

執筆:700年前に国を5つに分けた人間の相方、片岡かたおか つつみ

そして、彼に蘇らせてもらってもいる。



【危ない危ない、これは1枚しかないんだ。風でどっかやったらこの組織の頭なんかやってられないよ。】


女はそう言いながらひし形の立体物に乗り、何処かへ消えてしまった。




次の日、

学場の生徒達に向けた集会が開かれた。

国外捜査全体で実施する説明だ。


「この学場の生徒、神岡湊人くんが国外の組織に狙われている事がわかった。知っている人も知らない人も、彼のためにこれから国外捜査を戦闘教育選択者全員で行く。」

「まじかよ。国外に人間何ていたんだ。」

「ああ、びっくりだな。」


周りがガヤガヤし始める。


「もう1つ、国外は敵だけだ。死を覚悟したほうがいい。だから万全の状態で捜査を開始する。そのため、これから超強化期間として、お前らを最高指導者を使って鍛え上げる!」


そう言うと、左右の影からある人物が出てくる。


「この学場の卒業生、学年1位と2位だ。」

「やあ、裕だ。よろしくなみんな!」

「どうも、俺は裕次。こいつの弟だ。」


出てきたのは裕と裕次だった。


「ええっ!裕さんと裕次さん!」

「よお!久しぶり!」

「おお、湊人か。何か大変な事になってるみたいだな。」

「はい。」


3人は、話し始めてしまった。


「ちょいと、話すのは後にしてくれないか?」

「ああ、すいません。」


2人は前に戻り、


「戦闘レベルの高い生徒は裕さん。戦闘レベルが低い生徒は裕次さんの所で訓練だ。」

「「はいっ!」」

「今から開始だ、しっかり力をつけろ!」


大型戦闘訓練が始まった。


銃を使い、裕と裕次と対人戦闘をし、戦い方を身につける。

しかし、こんな訓練はいつもと同じだ。

だが、


「全員集合!これより、男女混合で全体戦闘訓練を始める。」


あの50VS50の全体戦闘訓練が、100VS100の大型戦闘訓練になった。

今回は、どちらかに裕と裕次が加わり、

片方のリーダーを湊人。

もう片方は未月が担当する。


「湊人!しっかり指示頼むぜ!」

「全く、下級生がリーダーか。しっかりしてくれよ。」

「頼みますね、湊人さん。必ずついていきます!」


湊人チームのメンバーはやる気満々の様だ。

一方、未月チームは……


「未月さんって、学年1位の方ですよね?頼もしいです。」

「やってやろうぜ、未月!湊人をボッコボコだ!」

「こうも下級生がリーダーって、俺の尺に合わねぇな〜。」


まあ、似たような物だった。

ゴンッ

鐘の音と共に訓練が始まった。


〜第二話〜「国外捜査」 終

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