第13話 VSダンジョンの主クリーチャー 後編
〈〈〈ぼ、防具を蹴ったああああああああああああああああ!!??〉〉〉
私はタラスクの口内目掛け、リザードメイルをシュートした!!
といっても私にはサッカーの経験はない。
コントロールもからっきしなので、リザードメイルも割と明後日の方向に行ってしまっている。
だがこれでいい。
咆哮の衝撃波を避けながら見ていたのだが、どうもタラスクはそれを出す前に大きく息を吸い込んでいるようなのだ。
それによって、周りの石がタラスクの口内に吸い込まれる事も確認済み。
なのでダ〇ソン如き吸引力にリザードメイルが吸い込まれ、
――ゴオ!?
この通り喉に突っかかるという訳だ。
「と、その隙に!」
タラスクが喉が詰められて戸惑っている隙に、私は奴に急接近。
そして喉から見えるリザードメイルに蹴りを一発!
強引に押してタラスクを吐血させる!
――ゴアアアアアアアアアア!!?
〈〈〈喉に蹴りを入れたあああああああああ!!??〉〉〉
ほうほう、緑色の血をしているのか。
ちょっとメロンソーダみたいで美味しそうだ。
とにかく咆哮というのは、喉を震わせて行うもの。
それを傷付けられたタラスクは、もう衝撃波を出せまい!
――キュアアアアアア……!! ガアアァ……!?
〈〈〈顎を折ったああああああああああ!!??〉〉〉
か細い鳴き声を上げながらタラスクが噛み付こうとするので、私は下顎を蹴って脱臼させた。
そのまま悶えている奴の顔面に張り付き、仮面のような甲殻の縁を掴む。
「ふん!!」
そしてすかさず、甲殻をいっぺんに引き剝がす!!
ベリベリベリベリィ!!!
〈〈〈が、顔面を剝いだあああああああああああああああああ!!??〉〉〉
――カアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!
へぇ、さすがに剥がせないのではと思ってなかったけど、マジで剝がれるとは。
案外そういうのに脆かったのか?
〈顔面が!! 顔面の半分の肉が剝き出しにいいいい!!!〉
〈見てるこっちも痛くなってきたああああああ!!〉
〈やっぱり狂人だ!! 狂拳先輩はまごう事なき狂人だ!!〉
でもまぁ、甲殻を剥がす感じがいいなぁ!
今、タラスクが激痛で痙攣しているし、この隙に残り半分もやっておこうか!
ベリベリベリベリベリベリィ!!!
――カアアア!! カアアアアアア!!
〈ああああああああああ!!! 残りの顔面の皮がああああああ!!〉
〈もはや配信とかどうとか気にしてねええええ!!〉
〈ヒヤアアアアアア!! めっちゃ怖いけど……でもカッコいいいいい♡♡!!〉
〈怖いけど爽快感がある!! コンプライアンスが心配だけど!!〉
〈こりゃあ、顔面破壊大帝ならぬ顔面破壊ハンターだ!!〉
「ハハハハアハハハハハ!! どうしたどうしたぁ!? ええ!!?」
いやぁ楽しいなぁ! 実に楽しい!!
私は気を良くして、剝ぎ取った甲殻でタラスクの顔面に叩き付ける!
顔面剥ぎされて弱々しくなったタラスクはそのまま殴打を受け続け、緑色の吐血を飛び散らすだけだ。
――ア゛ア!! アガアアア!! ゴアアアアアア!!
「ハハハ!! そろそろトドメえええええ!!」
私は甲殻を投げ捨て、渾身の拳をタラスクのこめかみをぶつける。
勢い余ったのか、脳にまで届きそうになるほど陥没して、
――……ゴオ……。
タラスクが小さい断末魔を零しながら、地面に倒れる。
そのまま力尽きたようだ。
〈…………〉
〈……………………〉
〈……おお……勝った?〉
〈ああ……ドラゴン系を裸装備で……〉
〈……すげえええええええええええええええええ!! 《紅蓮の狂拳》先輩すげええええええええ!!〉
〈神神神神神神神神神神!!!〉
〈やっぱ最高ですぜ、狂拳先輩!! 舎弟になって本当によかった!!!〉
〈防具を蹴ったり喉に蹴りを入れたりとか凄かったわwww 他ハンターなら絶対やらないだろwww〉
〈顔面を剝ぐなんて所業、狂拳先輩にしか出来ないな!!〉
〈先輩すっごいカッコいい♡♡!! 下手な男よりもずっと推し♡♡!!〉
〈顔面破壊ハンター!! 顔面破壊ハンター!!〉
〈
〈
〈
「騒がしいなぁ」
ほんと、ネットのノリってのはよく分からんな。
私はただただ自分のやり方で倒したまでなんだが。
しかしまぁ、凄く楽しかった。
最初はお金がうんたらかんたら言っちゃったのだが、やっぱり《クリワイ》を買っておいてよかったと思う。
と言っても、あの
「狂拳さん! 終わったんですね!」
「ああまぁ。そう言うコユミも終わったんだ?」
私の元にコユミがやって来る。
という事はアイアタル達をどうにか倒したらしい。
よく見ると、1体の個体が倒れていて消滅しようとしているのが分かる。
「はい何とか! にしても、私がアイアタルをやっている間にタラスクを瞬殺するとは……本当に狂拳先輩はパネェです!! 尊敬しかないです!!」
「だから私に対して先輩呼びはアカンでしょうって」
〈何かコユミちゃんがヘコヘコしているぞwww〉
〈すっかり兄貴と舎弟の関係wwww〉
〈ある意味では息の合ったコンビかもな。いずれにしても百合豚涙目www〉
「……って狂拳さん! アレを!」
「ん?」
コユミの指差す方向を見ると、ドロドロに溶けていくタラスクの姿がある。
……いや彼女が指しているのは、そのタラスクの身体からドロップされていく素材のようだ。
・《
『絶大な防御力を誇るタラスクの棘の生やした甲羅。防具の素材にすれば、ドラゴンの攻撃すら耐えられる』
・《暴甲龍の
『超振動を起こして対象を切断するタラスクの巨大な牙。武器の素材にすれば、超振動でどんな装甲も
・《暴甲龍の魔石》
『上級クリーチャーの体内に稀に保有されている魔石。取り込めば、クリーチャーの特殊能力を模した絶大なスキルが得られる』
「見て下さい、どれもこれも性能が高いレアドロップ素材ですよ!! しかも魔石まで!! これ全部、狂拳さんの物になるんですよ!!」
「なるほど」
魔石。
《ビルド》と《ワープ》しかないハンターのスキルを追加出来る手段だ。
魔石はドロップ素材においてレア中のレアらしく、必ずしも上級クリーチャーから出てくるとは限らない。
プレイ開始してからそんなに経ってないのに、すぐに手に入れる事になるとは。
嬉しいと言えば嬉しいのだが、他の素材がなぁ。
いくら《ビルド》で作っても装備出来ないし。
「……まぁ、いざとなれば鈍器もアリか」
「えっ、鈍器?」
〈鈍器?〉
〈鈍器??〉
〈何か先輩が良からぬ事を考えている……〉
鎧甲とか棘が付いていて痛そうだしなぁ。
これで殴ったらさぞ気持ちいいだろうし。
とにかく何かしらの用途があるとは思うので、私はそれを全部回収する事にした。
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