第34話 模擬戦③
「さぁ、そろそろ本気を出そうか!」
悠麒さんが高らかに言う。彼は誰を狙うということもなく、乱雑に銃を撃つ。当然のように、四人はそれを避ける。が、しかし
「弾が曲がった?!」
礼治さんが言うように、弾は直線に放たれず、四人が逃げる方へと追跡する。
「霊力で作られた弾のようですね。当たるまで追いかけて来ます」
「えっ、それ、死なない?」
「大抵の敵はやられます。ただ、弱点を理解していれば対処法はあります」
「弱点……?」
各自が悠麒さんの攻撃に対応しようと動き出す。大鳳さんと古白さんは急所を避けて、自分から当たりに行く。それを回復すれば再戦が可能。これも一つの対処法だ。しかし
「それで戦力を削れるとでも?」
「悪いな、俺にとっては得意分野だ」
波青さんと霧玄さんは、弾が当たっても負傷はしていない。
「あの二人には、効いていない……?」
「波青さんは式神に銃弾を当てましたね。霧玄さんは盾による防御で対応しています。要するに当たれば追跡は終わるので」
「え、いつ出した?」
「当たる直前です。出したと同時に当たっているため、目視はできません」
「えぇ……」
満足げに笑う悠麒さんに、今度は波青さんが反撃する。
「その笑顔、消してあげますよ」
静かに刀を上で構え、大きく振り下ろす。刃は、誰にも当たっていないはずだった。が、近くにいた古白さんは腕を斬られ、大鳳さんは草木に拘束され、悠麒さんは毒を喰らっている。
「あっぶねぇ!!」
唯一、防御が間に合った霧玄さんが叫ぶ。波青さんは軽く舌打ちすると、第二弾を放つために再び構える。
「テメェ、オレまで巻き込みやがって!!」
波青さんの攻撃を許さなかったのは、古白さんだった。負傷した左腕を押さえながら、蹴りを一発、波青さんに入れる。それを防ごうとした波青さんは構えの形を崩し、連撃を止められてしまった。
良い勝負になって来たところで、僕は式神を投入する。
「それは?」
「僕の式神ですね。全員を狙います」
「優司くんも参加するってこと?」
「というよりは、個人プレー中に協力プレーへ切り替えられるかの訓練です」
一体だけでは足りないだろうと、一気に五体、投入する。すると
「楽しそうだね。僕も混ぜてよ」
燐火が結界の外から声をかけて来た。
「うおっ!?」
礼治さんが驚く。しかし、燐火はお構いなしに続ける。
「個人的に戦ってみたかったんだよねぇ」
「殺す気で来ますけど、大丈夫ですか?」
「もっちろん! 僕は神だよ? そう簡単には負けないさ」
「では、燐火。お願いします」
一人一体では足りない敵数。中に強敵が一人。
さぁ、どう切り抜ける?
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