第14話 心霊スポット巡り
海を満喫した僕らは、旅館で食事をとると、部屋に戻って休んでいた。本を読む者、寝る者、課題を今のうちに終わらせようとする者。それぞれが自由時間を過ごしている。
一方、僕は何をしていたかというと
「なるほど。では、この廃病院と、トンネル、海の三つを優先すれば良いのですね」
「ちなみに、一番ヤバいとされているのはどの場所?」
「うーん。人気スポットはトンネルだね。でもマニアの間ではこっちの廃屋の方が有名かな」
心霊スポットに詳しい悠斗くんを交えながら、舞衣さんと慰霊・除霊すべき場所の確認をしていた。
「廃屋ですか。依頼には書かれていませんが、回ってみますか?」
「そうね。噂が広まれば、力を増す。被害が出る前に片付けましょう」
噂は所詮、噂。だが、その噂から生まれるものもある。悠斗くんの話と、神楽家に依頼された場所を照らし合わせながら、行き先を決める。
「……まずは廃屋から行きましょう。その後、順に海、廃病院、トンネルと回りましょうか」
大鳳さんにもメールで連絡し、準備を始める。
「ちなみに、俺らが行っても良いのはどこ?」
「えっ、基本的にダメだよ?」
「協力してあげたじゃん。なぁ、優司」
まぁ、そう来ると思った。
「良いですよ。廃屋なら」
「マジで!?」
「ちょっと優司くん!」
テンションが上がる悠斗くんと、僕に詰め寄る舞衣さん。悠斗くんに関しては、すぐに他三人を呼びに行った。声が既に浮かれている。
「危険よ。やめておいた方が良いわ」
「大丈夫ですよ。話を聞いて、確信しました。廃屋だけは問題ありません」
「でも、何かあったら……」
「そのための我々ですから」
支度を完了させ、立ち上がりながら言う。
「大鳳さんがもうすぐ到着します。参加するのであれば構いませんが……」
「はいはい、お守りは必ず持て」
「指示には必ず従うこと」
「勝手な行動は許さない」
「何かあれば報告・連絡・相談、な」
警告する前に、自分たちで確認する四人。問題なさそうだな、と微笑み、僕は舞衣さんを立ち上がらせた。
「僕の友人です。ある程度の事情は知っていますから、彼らを信じてください」
舞衣さんは、少し戸惑いを見せたものの
「……わかったわ。信じてみる」
こちらの目を見据え、口角を上げた。
『着いたよ』という連絡を受け、外に出る。そこには、軽装に弓を装備した大鳳さんの姿があった。
暑さの残る夜、虫の音の方へと足を向ける。明るめの夜道を歩く七人の姿は、さぞ、青春を感じるものだっただろう。
少なくとも、僕はこの瞬間、仕事が楽しいと思えた。
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