謳歌爛漫
正直なところだ、この時すでに俺はどうでもよくなっていた。頑張りすぎたんだよ。もし本当に「やる気スイッチ」ってのが俺の体についていたとしたら、いくら押しても付くことが無かった。中の機構がすっかり壊れ切っていたのだと思う。いわゆる「燃え尽き症候群」ってやつだな。
でもな、相棒。面白いことにそんな状態になっても"好きなこと"はすることができたんだ。俺が思うに、"好きなこと"ってのは多少燃え尽きたところで灰になることはないんだ。中でくすぶってる...そう!炭ってやつさ。一見消えかけているように見えても新鮮な空気を送り込んでやりゃ燃えることができるんだよ。
だけどな、相棒。どうでもよくなっているときってのはやる気が起きねぇ。それじゃ本末転倒だって?まぁ普通に考えたらその通りだな。だが...ここ大事だぞ?...本当に何もしないんだ。そう、何もだ。罪悪感とか全て忘れて、何もしないでみるんだ。柔らかい布団の上で寝っ転がってみたり。虫や小鳥の声に耳を澄ましてみたり。時には友人と騒いでみたり。するとだ、こういう時に人ってのは忘れていた好きなことをふと思い出すもんだ。次はそれをやり始めてみる。昔の記憶だったり、自分のやりたいことを想像しながら好きなようにするんだ。するとだんだんと楽しい気持ちになるもんさ。
結局のところだ、相棒。頑張るってのはよくないと俺は思うんだ。頑張るってのはつまり「嫌いなことをやること」だろ?確かに、嫌いなことをしなけりゃいけねぇ時もあるだろう。けどよ、それで何もできなくなるんじゃまっったくもって意味ないだろ?だったらよ、どうしてもする時だけしてそれ以外好きにすればいいと思うぜ。
なんだ?相棒。そんな勇気が出ない?ったくしょうがねぇなぁ...じゃあ俺の信念を特別に教えてやるよ。
「人間ってのは死のうと思えば案外簡単に死ねる。だが、どうあがいたって生き返ることはできない。なら悔いが残らないように謳歌しよう。この人生を」だ。
ただし、他人に迷惑はかけるんじゃないぞ?
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