死ぬ迄
君が死んだ。
馬鹿みたいにあっけなく、君は旅立って逝った。
君を生かすことを目的とし、毎日毎日私は懸命に看病した。
それが今、あっけなく終わった。
まだ、君の手にぬくもりが残っていた。
まだ生きているんでしょ?と聞いても、心電図の機械的なブザーしか聞こえなかった。
君の声はもう返ってこなかった。
変な話だ。
心電図の電源が切られ、周りのすすり泣く声が聞こえるが私には涙が流れていなかった。
死装束に着替えた君を見ても涙が出なかった。
お通夜で棺に入った君を見ても涙が出なかった。
お経を読まれても、お焼香をしても涙はちっとも出なかった。
葬式を終え花を手向けるため最後に君の姿を見たとき、突然君の姿がにじみだした。
そして、私の瞳からあふれ出した熱い液体が頬を伝った。
今、私の中で君が死んだのだ。
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