日陰者

 俺は、今まで沢山の人を傷付けてきた。だから罰を受けることになった。罰は単純で残酷なものだった。

 人に同意や同情を求めてはならない。例え自分が死んでしまいそうになっても、一人で全てを終わらせねばならない。

 人間誰しも辛いことがある。俺も例外ではない。そんな時の解決方法の一つとして、他人に打ち明け、慰めてもらい、気持ちを楽にする。それを俺は封じられてしまったのだ。正直に言うと今の気持ちは最悪だ。自分の心を内側からスパイクで削り取られていくかのように苦しく、今にも吐き出してしまいたかったが、罪人となった今、自由に打ち明けることもできなくなった。

 周りと自分の時の流れが変わり、移りゆく世界の中、俺は徐々に孤立していくのだった。

 この足枷のせいで俺は、輝く人々の輪の中に入ることすら許されなくなってしまった。俺は輪の外からあなた達を眺め、苦しい気持ちになっていた。昔は人の幸せのために生きていたのに。いつから俺は道を踏み外したのだろう。

 息をするたび、肺が膨らむたびに自分の心は弱り、縮んでいるように思えた。俺はとても弱い人間だ。この苦しみの中生きるなんて無理だ。このままじゃ正気を無くして何をするかわからない。そんな気がした。だから俺は情けないが逃げることにした。俺は長く頑丈なロープで命綱を作った。それを巻き取るように洗濯機に固定し、反対側は首にかけた。そして脱水ボタンに手を伸ばした。

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