第11話 新入寮生歓迎会

「えー、これで全員だね。それでは新一年生の入寮を祝って、かんぱーい!」

「「「「「「かんぱーい!」」」」」」

紙コップを軽く掲げてオレンジジュースを飲む。

用意されてるのは、オレンジジュースにコーラ、ウーロン茶のペットボトル。流石に未成年者の集いなのでアルコールはない。


叔母が酒豪と知ってるのは私だけか。


並んでる料理は和洋折衷というか、摘めるものを中心にとにかく量を作った感じ。唐揚げにポテトサラダなんかのオードブルからラザニアや一口大のハンバーグ、ハーブバターを添えたバゲットなど、高校生らしいものが並んだと思う。私が基本的な下拵えをして、本格的な調理を叔母が担当する、という流れでスムーズに料理は出来、それを持て余していた花谷さんにテーブルに運んで貰ったり寮生を呼んでもらったりしてもらった。

尚、花谷さんも唐揚げに下味を揉み込んで染み込ませるなどの作業はしてもらったのだが如何せん料理の腕前が互いに分からないということで、今日のところは任せてもらうことにした。


「さちちゃん、腕上げたわねぇ」

「え、これさちちゃんが作ったんですか!?すごい美味しい!」

「ありがとう、叔母さん。ひとみ先輩も。でも花谷さんにも少し手伝ってもらいましたよ」

「私なんてそんな‥‥‥。味付けはほとんど幸さんがやっていたし」

「これでお酒呑みたいわぁ」

「おばさん、後で残りの材料で何か作るから今は止めてね」

「冗談よ〜」

という女性陣に対して、黙々と食べ続ける男性陣。

個人に配られた紙皿一杯に料理を盛っては食べ続けている。見てるだけでお腹いっぱいになりそうだ。


「えっと、盛山先輩と岸先輩でしたよね?味は合いますか?今後も叔母と食事を出していくと思いますので、意見があれば何か‥‥‥」

と言った所で掌をすっと出された。待て、ということだろうか?

すると口の中の物を飲み込みウーロン茶を一息で飲み干すお二人。なんでそんなに息ピッタリなんですか。


「めちゃくちゃ美味い。これがあるなら部活頑張れる」

「待って、こんな可愛くて料理も上手なんて‥‥‥ひとみも見習わなきゃ」

「あ?」

「さーせん」

「で、でも。本当に美味しいよ幸。いつから練習してたの?」

「いつからって、中学はお弁当だったじゃない。その時から作ってたよ」

「そうだったのか‥‥‥‥じゃあ、あいつともおかず交換とかしてたの?」


多分この瞬間、他の人には悪いけど空気が冷える音が聴こえたと思う。

「は?」

自分でも驚くほど、お腹のそこからナニかが沸き上がった。なんでこの男はこの場でそんな事を言い出すんだ。

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