第3話 隣人は生徒会長

こんこん

「すみません、隣に入寮したものですがー」


結局寮の住人に挨拶している。

寮監の親戚に声を掛けたところ「歓迎会とかはやるけど、それとは別に顔合わせだけはした方がいいよ」と言われたからだ。少々の面倒さを感じつつもやることもないので言われたとおりにしている。


「はいはい〜、あら〜可愛い子が入ってきたのね〜」

と間延びした喋り方。身長とかからして上級生の女子だろうか。


がちゃ、とドアを開けるとやはり女子生徒が出てきた。

休日のはずなのに制服を着てる以外、変なところはない。どころか、隙すらないように思える。


「私は一ノ瀬 瞳いちのせひとみね〜。4月から3年生で、来年度の一応生徒会長やるよ〜」


まさかのお隣さんが生徒会長。

これも見越して挨拶に行けと言われたのか。


「来年度から一年生になります、高田 幸たかださちです。隣人としてお願いします」

「あはは〜、ちょっと固いけど、よろしくね〜。さちちゃんって呼んでいいかな?私のことはひとみでいいから〜」

「えっと、じゃあひとみ先輩ってよばせてもらいます。これからよろしくお願いします」

「お隣ってことは〜、私が最初かな〜?それなら長く引き留めないほうがいいね〜。他の人にも挨拶に行くんでしょ〜?」

「はい、そのつもりです」

「それなら〜、男子に気をつけてね?」

「え?はい。 ?」

なんか、空気変わったような?


「それじゃとりあえずは歓迎会でね〜。私これから生徒会の用事があって行ってくるから〜」

あ、だから制服だったのか。

「はい、お時間をもらってしまってすみませんでした」

「いいのよ〜、可愛い子とのお話は大好きだから〜」


そう言うと一ノ瀬 瞳先輩は行ってしまった。間延びした声に一瞬苦手意識を持ったけど、振り返ってみれば話し方以外はまともな人だ。生徒会長が隣人としている、というのも心強い。



現在寮に入っているのは私を含め5人。私と同時にやってきた幼馴染と今挨拶をしたひとみ先輩。あと2人。

ひとみ先輩の話からすると最低でもどちらかは男子生徒なのだろう。しかも気をつけてってなんだろう?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る