第2話 引っ越しと私の体質

入寮は入学式の前の週の日曜日。

これから約一週間かけて周りの土地やお店、自分に必要なものを揃える場所を探さなければならない。


とはいえ、文房具の類は一揃いあるし、家具もある。スーパーやらは後で探せばいいとして、何が売ってるか確認しておけばいいのではないか。


あとは、周りのクラスメイトに馴染む努力としての趣味が必要か?



余談だが、私は漫画を含めた本は読まないし、ゲームもしない。実家から持ってきたのはベッドにテレビ、勉強する用のテーブル、小さな本棚。いくらかのクッションに衣類。それに財布とケータイくらいだ。

既に教科書は配布されているので本棚に入れてあるし、備え付けのクローゼットには衣類が入っている。



当面の目標としては周りに合わせて無難に生きること。女子同士の会話には注意を払う必要があるが、それはおいおいだ。

あとはせっかくバイトしないで自由になるお金が手に入るのだ。それに報いたい。料理でも覚えてみるか。映画なんかの趣味、に・・・いや、映画はいいや。それも周りに合わせるときでいい。これ楽しかったね。そんな言葉を言えば人間関係が良好になるのだ。無理はすまい。



漫画や小説、映画など。私は中学3年になってから見れていない。正しくは見られなくなっていた。

どれも簡単に人が犠牲になる。人が理不尽な目に会い命を落とす。誰かが殺される。そんないわゆる盛り上がる要素が、私はダメになった。


人の命を軽く扱うな。


重なるのは親友の死。

命というものが、人を喜ばせるためだけに消費されていくソレに、どうしても耐えられなかった。感情移入のしすぎ、というのは分かっているがダメなものはダメなのだ。

唯一まともに見られるのは、人が絶対に死なないと分かるコメディーやアニメの類。

さすがにアニメは虚構であると認識できているようで何よりである。

一番駄目なのはホラーやゾンビとか巨大な生物のナニナニと戦うようなやつ。必ず誰かが死ぬ、殺されるシナリオに見る事ができない。


それでもこの状態になってしばらくは頑張った。これは見れるこれはダメ、と分類しようやくここまで改善された。それまでは何が行けないのかすら分からず不快感を押し殺していたから。



話が大分逸れたが、要は暇である。周辺の散策に行くか、既に入居している人に挨拶に行くか。

私は・・・。

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