第5話 牛のひとりごと(京野side)
うん?体を起こしてみるが、上手く体が動かん。嗚呼、今うちは牛をしてるんやった。
壁に掛かった時計を見れば短針が2と3の真ん中くらいにおる。昨日ガッツと一緒に作った晩御飯を食べた後一緒に下らんテレビを観たっけ。ほんで、私は途中で眠なってガッツは「疲れとるやろから
牛、やっとると変にエネルギーを使うんやろか。ああ、こないな時間に起きてしもうてることがその反証やわ。
何や机の上が明るいな?ガッツあかんやろ。電気つけたまんまにしとったら。起きたついでに消しといたろか。
動かしにくい体を起こすと、さらさらと何がが床に落ちていった。ブランケット。
ガッツが掛けといてくれたんか。ふ~ん、『藤村精肉店』ねぇ。その名前の通りタイガースファンの気前のええおっちゃんがやっとるお肉屋はん。こんなブランケット作っとったんや。それにしても、仮にも牛に精肉店のやつはどうなんや?その上、ホルスタイン柄やで、ええ、センスやわ。
何や、机の上で寝とるやんけ、ガッツ。それで卓上灯が付けっぱね。机の上には学校から配られたタブレット端末と紙が置いてある。
調べもんしとったんか?ドレドレ……
【 ・京野をもとに戻すには?
『朝起きたら飼い犬が牛になっていたんだが』カクヨム
これは主人公の恋人が飼い犬に取り憑いて何故か化学反応で牛になった話
→人間を取り出すには飼い犬を殺さなければならないという決断に迫られる
・牛が遊べる場所
……】
いや、私は別にガッツの彼女とちゃうし。取り憑いたって、何かイメージ悪いやん。
それにカクヨムて。フィクションやんか。いや、こないな変な状況を思いつく奴がいたことにも驚いてるんやけど!
ガッツが調べたことは半分くらい頓珍漢で……。
でも、何か目頭が熱うなってきて……。今までこんなに私に親身になってくれる人に出会ったことがなかったから……。
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