第24話 退魔

この世界には英雄と呼ばれる存在がいる。

 この大陸の四強【白銀】【狂王】【賢者】【盗王】


【気】なる特殊技能を備えた最強の侍。


【真空波】という必殺技にて大悪魔殺しを成し遂げた忍者。


 迷宮保険屋にして最強の君主にして■■の王。


 世界最強の忍者と呼ばれるヒイズル国の商家の娘


 俺ですら憧れを抱く(盗王除く)偉大な先輩達だ。

 神話や英雄譚の登場人物であり遠く及ばない存在だ。


 しかし俺達はこの日偉大なる先輩方の領域に一歩だけとはいえ足を踏み入れたのだ。




 新生黄金の剣において最も成長したのは君主に転職した僧侶だろう(面倒なので転職しても転職前の名前で呼ぶ)。


 今までは前衛としてギリギリのラインの戦力であり麻痺の対策として後衛に下げられることが多かったものの転職による能力上昇に加え君主の鎧の力で俺を越して侍に次ぐ戦力となっている。


 何と言っても君主の鎧が強い、強すぎる。搦手を持たない相手であれば圧倒的な防御性能と回復性能による異様な耐久力でねじ伏せられる。搦手も耐性付与能力で大部分は無効化できる。先手必勝一撃必殺を絶対の摂理とする迷宮戦闘において長期戦を可能にする規格外の装備だ。まさに鉄壁。


 ワルドナの所持する魔除けも、味方と認識したものへの即死攻撃等への耐性付与、持続回復付与、物理魔法両面への耐性付与と規格外の性能だったがそれにまさるとも劣らない。


 もとから技術以外はそれなりに優れていた僧侶の身体能力に無敵の鎧が加わりどつきあいにおいて異様な力を発揮している。


 しかし真に恐れるべきはこれの装着による特殊攻撃【退魔の剣】


 極限の集中状態に入って神に祈りを捧げつつ起動せよ《エクスペールギースキー》と唱える事で剣に光が宿る。


 その状態の剣で切りつけられた生物は問答無用で爆散する。


 要は俺の首はねみたいなものだ。


 成功率は俺のよりも低い上魔除けで即死を防ぐワルドナには効かないだろうがそれでも規格外の効果だ。


 忍者となった魔術師も負けてはいない。


 俺のように前衛の後ろに潜みヒットアンドアウェイをする技術もない、領域も未完成、オーラでの盗賊の短剣作成能力も未熟と近接戦闘に限ったら俺の劣化に近いがこいつは剣圧という特殊技能を侍に頼み習得していた。


 要は剣振ったら飛び道具が出るアレだ。


 剣圧を使って後方から援護射撃しているだけでも役に立つ上に俺の指導によりメキメキと力をつけている。


 俺に近い戦力の忍者となるのも遠くは無いだろう。


 そうなった場合核撃魔術が使える俺に近い戦力という俺の存在価値を脅かす化け物が完成するのだがそのときはその時だ。




 最後は侍となった戦士。


 こいつは大した魔術は使えるようにいなかったが睡眠魔法の使い方が上手い。


 核撃魔術を覚えられないものだと割り切って睡眠魔法を使いこなす方面にシフトしたようだ。


 また、【気】なる目に見えないエネルギーを扱い始め剣圧を飛ばしたり劣化版領域とも言える探知能力を発現させる、複数名の敵をまとめて切れるようになるなどやれることが大幅に増えた。



 上記の強力な転職組を入れた新生黄金の剣は五層の新規敵相手にもある程度抗うことができている!


 この分ならそう遠くないうちに五層の踏破も可能だろう!


 そう思った直後に俺達は全滅した。理由は俺が罠の対処ミスってテレポーターで石の中にぶち込まれたこと。


 なんで罠のテレポート先に石の中があるんだよ。

 頭おかしいだろ。


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