第23話 転職
職業を変えて新たな力を得る転職のルールは二つ。
1つ目は前職から引き継ぐのは魔法の習得と戦闘経験のみ。
戦士職で培った能力はほぼ受け継がれないということだ。
2つ目はある程度の能力がなければ転職できない職がある。
迷宮潜りたてなら侍、忍者、君主、司祭に転職するのは難しいがマスターレベルに達した俺達には関係ない。
基本的に成長するまではなりにくい侍、忍者、君主になるか魔法職経由で戦士系職になり魔法も物理もいける職になるのが基本だ。
そうでないなら転職なんかせず
そしてそれぞれの転職先だが俺は忍者のままだ。
消去法でなった盗賊及び忍者だが今はこれが俺の天職だと感じている。
たとえ俺に力があろうがよく回るオツムがあろうが高い信仰心があろうがなんだかんだで盗賊か忍者になっていただろうなと確信できる程度には。
金髪侍も俺と同じく侍が天職と感じているため転職するつもりは一切ない模様。
司祭も転職する気は無い模様。たとえ戦力外一歩手前でも一人は鑑定要員が必要な以上転職しないほうが貢献できると思っているようだ。
反対に魔術士は忍者志望らしい、何でも魔法使いとしては打ち止めな以上新たに力を得る必要がある、俺に鍵開けを習っているから盗賊系職は都合が良い。忍者には無駄に面倒見が良い優秀な先輩がいるから習熟も早いだろうとのこと。
あまりにも真顔で話すので俺が褒められている事に気づかんかった。
戦士も侍になるようだ。
最近前衛としての役割を果たしきれて無いと思っていたことと単純物理攻撃オンリーのスタイルではいつか限界がくると悟って侍に転職するのを決意したらしい。正直職人気質のこのジジイがあっさり新しい職に乗り換えるとは意外だった。
僧侶の転職先は君主だ。【白銀】に憧れを持っていたこいつは君主の鎧を着て白銀ごっこを始めるつもりのようだ。動機は意味分からないが君主の鎧を有効活用できるのは良い、こいつも前衛としては物足りない戦闘力になってきていたので良い転職先だとは思う。
後者三人が訓練場で転職の準備を勧めている間に転職しない組で今後の事を話し合った。
転職したらマーヴィーボコってレベルあげようとかレベル1でレベルドレイン喰らったら消滅するから当分四層より下行くのやめようだとか転職連中のフォローに関することがほとんどだった。
しかし俺のパーティへの印象も変化している。
侍に対しては初対面のときに感じていた嫌悪感がだいぶ薄まってきている。
偽善的な面も傲慢さも全て自覚したのか発言の臭さが薄くなり割とゲスな発言が飛び出すようにもなってきたのが大きな理由だろうが、自分の悪性を受け入れ自分を悪人だと思いつつも本物の善人になれるように必死な姿に0.0000000000000000000000000000001ミリくらいは俺も感化されてしまった。
いつの間にかこいつに親友認定されていたのは最悪だったが
司祭も俺を善人扱いしてきた時点で頭に脳の代わりにうんこ詰まってるおっぱい扱いしていたのだがまあ昔のこいつのやらかしに比べれば俺は相対的に善人なのだろう。
こいつ曰くいくらでも悪事を働けるのにそれをせずしょぼいことしかしないから盗賊君は善人だ、とのことだがそんな適当な理由で俺を善人認定しないでくれ。他人を傷つけないから善人というのなら人類の99%は善人だ。他人を傷つけないだけでなく他人の幸せを願って初めて善人になるのだ。マイナスを作らないのとプラスを作るのは全く違う。
そこで意見の相違があるものの元クズと現クズどうし話が通じることが多く、善良な人間でありながら俺の拒否反応が出ない数少ない人間だ。俺にとばっちりを与えてしまったことへの誠心誠意込めての謝罪を受けたがまあそれは今更どうでも良いだろう。
そうこうしているうちに転職組が帰ってきた。全体的に5歳くらい年を取ったようなやつれようだがこれ後でなんとか治るよな?
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