第21話 龍帝

迷宮の魔物の中で最強の種を決めろと言われたら筆頭は悪魔だろう。

高い魔術抵抗力、凶悪な魔法。美しさすら感じてしまうほど人類を殺すのに最適化されたこの種族が対人においては迷宮最強だ。


 対人以外なら核撃魔術使いの【マイルフィック】が含まれるアンデッドも強いだろう。


 正直迷宮の龍種がこいつらに勝てる点はブレス吐けることのみだ。そのブレスも威力は上位凍結魔法以下だ。


 それでも世界最強の種族はと言われたら間違いなく龍となる。世界最強の個が龍だったといったほうが近いかもしれない。


 そいつ一体が龍の評価を引き上げている。

 そいつの名は【金剛龍帝】

 たった一体で過去の人類の9割を喰い荒らした化け物。


そこらのチンピラですら上位凍結魔法を使えるほどに魔法の発展していた過去の世界で世界全ての魔術師の命と引き換えに放たれた月すら滅ぼす15の魔術【月光殲滅】で封印するのがやっとだった正真正銘の怪物だ。


 喰らった物の能力をコピーする能力を持ち、物理攻撃はこの世界そのものを歪め、魔法は時間すら支配し、ブレスは概念すら殺し尽くしたと言われる真正の化け物。


金剛騎士と呼ばれる自身の7割程度の戦闘力の眷属を3体まで呼び出す特殊能力まで持っていた。


 これでもまだ発展途上だったのが心底恐ろしい。喰えば喰うほど強化されるこの化け物はまだこの世界のどこかに封印されているらしいがそんなワルドナ超えの化け物と戦うつもりは無い。

 凡人の俺は凡人にできる事をするだけだ。


 眼の前にいるのはその化け物の眷属、龍種の【ドラゴンゾンビ】【レッドドラゴン】


 どちらも迷宮の龍種最強種であり迷宮最強のブレス能力がある。そのレッドドラゴンは魔法まで使いこなす強敵だ。


 いつもは出会ったら即逃げ出す枠に入れていたもののマスターレベルの直前となった俺達の能力が通用するかの腕試しに使っている。


 前衛は先手を取り一撃で魔術抵抗持ちの敵を殺す。


 黒魔法使いは先手をとってそれ以外をまとめて殺す。


 白魔法使いは死者が出ないようにしつつ先手をとって殺すという迷宮戦闘の基本に立ち返った結果たった4回全滅しただけで勝利できた。


 何と言ってもカシナートの剣の効果がでかい。これ一本で確実に殺せる敵のラインが大幅に上がる。


素でも大体の相手を殺せる侍ではなく最近戦闘で遅れを取り気味の戦士にカシナートを渡した結果侍、戦士、俺がそれなりに多くの種類の敵を一撃で仕留められる様になった。


 その結果ある程度五層の敵にも対応できるようになった。


 10回戦えば9回は全滅か敗走だったのが8回に変わる程度には。


 そうこうしているうちに宝箱の鍵が空いた。

 中身はなんだこれ、よろい?


 それを鑑定した司祭が絶叫した。

 三種の神器【君主の鎧】だと

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る