第13話 覚醒

何度も死んだ。二層の再来だ。ふざけるなよ。

 盗賊の短剣の力を解放。盗賊の短剣が俺の手のひらに取り込まれる。


 自身が全能の存在になったのかと誤解するほどの身体能力の爆発的上昇が起こる。


 領域も縮小されたが敵の攻撃を先読みしやすいよう改造されたのが伝わってくる。


 取り込まれた盗賊の短剣と同質の武器をオーラで作り出し手のひらから出現させる能力も付与されている。これはすごいぞ。


 しかしそれと同時に器用さ等盗賊に必要な能力が少しずつ下がっているのも感じた。

 

 結局そのループでは能力の検証のしすぎて後ろから迫るボーパルバニーに首はねを食らったものの地獄のスタンピードにある程度対応できるようになった。


 筋力強化に伴い首刎ね能力が覚醒。レッサーデーモンの首を手のひらから出現させた短剣で吹き飛ばしたときは喝采が上がった。


流石に成功率は30%くらいだが首はねに失敗した攻撃でも、いい感じに急所を攻撃できていることがほとんどのためほぼ確実に全ての魔物を一撃で倒せる様になっていた。


 先手必勝一撃必殺至上の迷宮戦闘において敵を一撃で倒せる様になるのはものすごく大きなアドバンテージだ。


 僧侶に攻撃を仕掛けようとしている奴に礫を放ち隙をつくる。


 戦士と鍔迫り合いしているワイバーンにワイヤーを利用して接近し首を跳ねる。


 噛みつこうとキメラがこちらをターゲットにした気配を領域で感知。


筋肉の動きで行動を先読みして回避し戦士と僧侶の後ろに引っ込む。


 強力な前衛の後ろに隠れながら飛び道具で出鼻をくじき敵の集団をコントロール。


 孤立したり隙ができたり前衛と鍔迫り合いしている奴らを横から首はね。


 これが忍者となった俺の戦闘スタイルだ。


 さらにオーラで盗賊の短剣を3本まで体のどこからでも出現させられる様になったため右手左手に短剣装備して二刀流に、三本目は背中から出して外套の様に変化させる。


 オーラで武器防具を作成できる以上下手な装備品はいらない、言い方は変だが一切の装備品を持たず素手で戦うのが一番強い。


 凄まじい力を手に入れた事に気を取られた一瞬の隙にレッサーデーモンに突き飛ばされて転倒する。


 転倒しながらも足から盗賊の短剣を生やし逆立ちの体勢でレッサーデーモンの首を跳ねる。


 そのまま蛇のように相手の首に絡みつく双剣がワイバーンの首を跳ねる。


 後ろから音を殺して飛びかかってきたレッサーデーモンも背中からレイピア状にした盗賊の短剣を射出し貫く。


 領域持ちに不意打ちが通るわけ無いだろう。


 

火を吹きかけようとしている小型の龍種【ガスドラゴン】を領域によって解析。火を吹き出す直前に感知した火炎袋をエストック状に変形させた盗賊の短剣で貫く。爆弾の様にガスドラゴンは破裂した。


俺恐ろしく強くなってるぞ、今ならおそらく戦士や魔術士の戦闘能力すら超えている。


先日侍と模擬戦をしていた時に言われた事を思い出す。


君の剣は僕と違って非力で才能が無くてどうしょうもなく戦いに向いて無くて(以下略)とにかく弱い無才の人間が必死で努力して努力して努力してつかんだ執念の剣だ。


シュートで三層まで落とされたときの事を覚えているかな。あそこから帰還する時に思ったよ。君に比べれば僕の努力等子供の手習いの様なものだって。


だからこそ君は僕の中ではヒーローなのだ。絶望的な才能の無さにも負けずに僕の努力すら追い越したのだから。


こいつ馬鹿でやんの、死に戻り中に流されるままに長い事戦闘経験積んだだけの俺を鍛錬を欠かさない努力家だと勘違いしてやがる


あの時はそう思っていたが本当に俺の戦闘技術は異常な戦闘経験によって迷宮都市屈指のものとなっていたのだ。


それに身体能力が追いついたおかげで戦闘力が花開いた。




 圧倒的な戦闘能力、そのおかげで今回は体感半年程度の時間で地獄のループを抜けることができた。

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