第112話 俺を誰だと思ってる?

遅れてすみません……ユルシテ 



 一年に一度のビッグイベントである文化祭がついに明日訪れる。校舎の外にはテントが設営され、体育館はステージの設営やリハーサル諸々が行われ、各教室では出し物のために魔改造が施されていく。とても慌ただしい雰囲気が学校全体を包んでいるが、それと同時に楽しそうな声や表情が見受けられる。


「そういえば晴翔は文化祭どうすんの?誰かと回る予定とかもう決めた?」


 ある程度作業を進め、休憩時間に入る。近くにあった椅子に座り込むと同時に颯太が文化祭についての話を振って来た。


「一応誘われたからその人達とは回る予定。でもそれ以外は決めてない」


「ほーん」


「そういう颯太はどうなんだよ」


「俺は部活の奴らと回るくらいかな。どうする?今年も一緒に回るか?」


「回れたら良いんだけどどうなるかまだ分かんないんだよなぁ」


「はぁ~……そういうモテてますアピールすんなよな?俺だから許したけど他の奴らにしたらそれはもう大変なことになるぞ?」


 見せつけるように大きなため息を吐き、気怠そうに俺にアドバイスをしてくる颯太に俺は続け様に口を動かす。


「鈴と一緒に回るかまだ分からないからって話、別にモテてるとかそういうのは無いから」


「その鈴乃さんと一緒に回りたい男がこの学校に何人いるかお前は考えたことあるのか?」


「考えたことあるわけないだろ。というか俺を誰だと思ってるんだ?」


「そういえばお前シスコンだったわ……まぁ妹ちゃんとよろしくやってればいいんじゃないすかね」


 呆れたと言わんばかりに急に話を投げ出す颯太。俺が鈴乃のことを大切にしているのは前々から分かっているはず、一体どこに呆れる要素があるのやら。


「でも今年は鈴乃も友達とかと一緒に回るかもしれないだろ?俺のせいで友達との時間が減るのはよろしくないからまだどうなるか分からないんだよな」


「きもいのかきもくないのか……いやきもいか」


 きもいとは失礼な、こっちは妹を大切にしているお兄ちゃんの鏡だぞ?世のお兄ちゃんがドン引きするくらい家族愛に溢れているお兄ちゃんだぞ?……ドン引きしちゃ駄目か。


「ほらそこの二人~さぼってないで働け~?」


「休憩時間に休憩することをさぼりとは言わないんだぞ美緒」


 だらだらしながら話を続けているとこちらをからかうようなにやにやとした笑顔を浮かべながら、美緒がこちらへと近づいてきた。


「全く、私が若い頃は休憩時間も休むことなく働いていたというのに……これだから最近の若者は」


「ブラック企業にいる無能な上司かよ」


「晴翔君この書類も終わらせといて。もちろん今日中にね」


「退職します」


「冗談じゃ~ん。で、二人は何話してたの?」


 深く(?)悩んだ末退職するという決断をしたところでいつも通りの美緒に戻る。社畜ならぬ学畜を卒業できるところだったのに。


「文化祭一緒に回るかどうか話してたんだよ」


「そう、それで晴翔が俺もう女の子と回る予定あるから一緒に回れるか分からんって急にマウント取って俺モテてますアピールしてきた」


「晴翔……浮かれてるのは分かるけど流石に良くないと思うよ……?」


「してないわ!人の事なんだと思ってんだよ」


「シスコン」


「シスコンだな」


「よく分かってるじゃん」


「晴翔……堂々とシスコン認めてるのやめた方が良いと思うよ?」


「分かる。晴翔、俺もやめた方が良いと思うぞ?」


 その可哀そうな人だなぁみたいな視線を向けないで?流石の俺でもなんか悲しくなってくるから!!






文化祭が始まると言ったな……あれは嘘だ()

文化祭前にもうちょいだけ話があります。多分続きは明日か明後日に上がります……!多分!!

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