第103話 美緒さん!?
「それじゃあ今日は文化祭当日の役割とかその他諸々を決めていきまーす」
ついにこの日がやって来た。文化祭の出し物についての話し合いpart2、ここで当日の配置が決まるというかなーり大事な日。
「晴翔妙に気合入ってるな……どうした?」
「俺、裏方、勝ち取る。執事服、着ない」
「あぁ……そういう事ね」
不思議そうな顔をしている颯太に、俺は悲しきモンスターの様な喋り方で今日の話し合いにかける思いを話す。執事服を着るのは陽キャとイケメンと女の子でいいのです。俺みたいなフツメンは裏方で働いているのがお似合いなのですよ。
「じゃあまずは接客する執事さんを決めていく訳なんだけど……」
早速勝負どころがやって来る。俺はここで出来るだけ身を潜めて影を薄くし、このクラスにいなかったかのように振舞う。これで俺は晴れて裏方役になれるという作戦だ。前世で机に突っ伏し、クラスの端っこで陰キャ陰キャしていた俺の力を舐めるなよ!
「はい!室長、私に提案があります!!」
「はい、美緒さんどうぞ」
ビシッと元気に手を上げる美緒。頼むから変なことは言わないでくれよ……。
「せっかくの執事喫茶なんだから男子は全員着た方が良いんじゃないかなって思います!!」
「ふむ……なるほどね」
……はぁ~!?!?一体何を言ってくれちゃってるの!?!?
身を潜めてやり過ごそうと思っていた俺に対して、「隠れてるならここら一帯を爆破しちゃおうか!」という脳筋作戦により俺は表舞台に引きずり込まれる。頼むから余計なことはしないでくれ、幼馴染からの一生のお願いだから。
「美緒さんの意見について何か意見はありますか?」
「せっかくだから良いんじゃない?」
「ね!こんな機会滅多にないしね」
「一応執事喫茶だからね、女子よりかは男子がメインのコンセプトだから全然良いと思うよ」
女子から賛成の意見がちらほらと聞こえてくる。まずい、このままだと流れで強制参加になってしまう……何とかして手を打たなければ…!!
「はい、室長!」
「ん、どうしたの高橋君?」
「接客の経験が無いのにいきなり執事の真似をしながら仕事をするのは無理があると思います!なのでここはコミュ力の高い人達に──────」
「晴翔なら大丈夫だって!それに晴翔もコミュ力ある方でしょ~?そんなに心配することないって!!」
美緒、余計なこと言わないで!頼むからお口チャックしてて!!
「接客に自信が無くても大丈夫だよ、うちには複数名バイト戦士がいるから。接客初めてでもしっかり指導してくれるから問題ないよ」
室長にそう言われた手前、これ以上屁理屈をこねることが難しくなってしまう。このまま反対意見を出し続けるとシンプルに接客をしたくないだけの奴になってしまう。時間に大きな余裕はない今、ここで足踏みをするのはみんなに迷惑が掛かっていまう。
「……なるほど」
「うん、だからそんなに心配しないでね高橋君。はい、他に意見ある人いる?ないなら──────」
「じゃあとりあえず今日から練習初めてくから接客担当になった人たちは放課後集まってねー」
「結局男子全員参加になったな」
「どうしてこうなった……」
他にも反対意見を出した人はいたが、その悉くが女子たちに言いくるめられ最終的に男子は全員執事として接客をすることになるのであった。
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