第69話 何してる!?
鈴乃たちと無事に合流することが出来た俺たちは、時間も時間だと言う事でお昼ご飯を食べることにした。海のお昼ご飯と言えばもちろん海の家。焼きそばやたこ焼き、フランクフルトなどお祭りを想起させる食べ物の香ばしい匂いが食欲とお腹を刺激する。
行列に並んで各々食べたい物を買った俺たちは、自分たちの荷物を置いている場所へと戻りそこで食べることにした。出来れば屋内で食べたかったけど、この時間帯は流石に満席ですよねぇ。
「いっただっきまーす!……う~ん美味しい!」
「あむ……うん、美味い。こういう所の焼きそばって大体味濃いよな」
「分かる」
雑談をしながらご飯を食べ進めていく。疲れた体に塩分が染み渡る。あれ?これってあんまり体的には良くないのか……?ま、まぁ美味しければセーフってことで……。
「ごちそうさまでした!よしっ、遊ぶぞ~」
「……元気だなぁ」
ご飯を食べ終わって早々遊ぶ気満々の美緒を見て自分との体力差に愕然とする。おじいちゃんもう疲れたよ?というか食後なのによくそんな動けるね君。
「晴翔たちはどうする?」
「俺は休憩」
「俺は適当にぶらついてくるかな」
「晴翔おじいちゃんは休憩で、颯太はナンパしてくるのね。おっけー!」
「誰もナンパするとは言ってねぇよ」
とてつもない言いがかりをされ、苦笑いを浮かべる颯太。これには流石の俺も同情の念を抱かざるを得ない。
「鈴ちゃんと椿ちゃんはどうする?」
「うーん……食後にすぐ泳ぐのはちょっと……」
「わ、私も」
「分かった!じゃあ一人で泳いでくるね!」
そう言って美緒は一人海へと向かって駆けていくのでした。……体力お化けって怖いなぁ。
お腹休めの時間を取った後、俺は適当に砂浜をぶらりと歩くことにした。再び海に還る……じゃなくて海を漂ってもよかったのだが、せっかくだから周辺の景色を見たり、何があるのか散策したりするのも悪くないと考えたのだ。
浜風と波の音がとても心地いい。海という事もあって夏とは思えないほど快適な気温で、ただ歩いているだけなのに心がどんどん浄化されていくような感じがする。流石は生命の始まった場所、なんかこうすごくすごい(小並感)。
「お、いいじゃん。あっち行ってみよう」
見つけたのはごつごつとした岩場。こういう普段じゃなかなか見れない自然の景色というのは、どういうわけが心が惹かれるもの。今回はしっかりとサンダルも履いているし、石を踏んでしまっても足が痛くなる程度で済むだろう。
「っと……ん?」
岩場ゾーンに足を踏み入れるとすぐに俺は人の気配を感じる。こんな岩場で一体何をしているんだろう……釣りとかかな?
「ちょっと……こんなところで……人来ちゃったらどうするの?」
「大丈夫だって、こんなところに人なんか来ねぇよ」
「……」
な、ナニしてるううううう!?!?!?
ちょちょちょ、こんなところで何盛っちゃってるんですか!?いくら開放的な気持ちになったからってこんなところで欲望を開放しないでくれよマジで!
男と女の生々しい声が聞こえた俺は、呆然とその場に立ち尽くしてしまう。まさか本当にこんな場所でする人とかいるんですね……。流石におじさんドン引きよ……?
「お兄ちゃん、こんなところで何してるの?」
「っ!?」
す、鈴乃?何でこんなところにいるの?というかこのタイミングで一番来ちゃいけない人来ちゃったって!
思わず声が出そうになったが何とかひっこめることに成功、さすが俺。
ど、どうする?「あっちの方でちょっと取り込んでる人たちがいるから」と言葉を濁して伝えるのが一番か?でももう雰囲気的に始まりそうなんだよなぁ……。兄として妹にこんな破廉恥な物を見聞きさせたくはない。うーむ……ここは少し強引な手段を取って距離を取るのが丸いかぁ?
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