第67話 海だー!
「海だー!!」
燦燦と煌めく太陽、その光を浴びて白く輝く砂浜、そして見るもの全てを開放的な気持ちにさせる青い海。俺たちは今夏と言えばこれ、夏of夏の海へと遊びに来ている。
「そんな大きな声出すなよ美緒、他の人もいるんだから」
「でも海に来たら一度はやってみたいでしょ?」
「まぁ気持ちは分からんでもないけど」
白川のお誘いがあった俺は美緒と颯太に声を掛けた。仲が良いかつ、白川と割とすぐ馴染めそうなメンツを選んだ結果今回はこの二人を含む5人のメンバーで海へと足を運ぶことになった。
「椿ちゃん!誘ってくれてありがとね!」
「いえ!こちらこそ来てくれてありがとうございます。美緒先輩!」
「か、可愛い……ねぇ椿ちゃん、うちの子にならない?」
美緒と白川は今回が初対面。だったのだが、いつの間にか打ち解けていた。美緒がコミュ強であり、可愛い物や人が好きな人間なため、仲良くなるのは必然だったのかもしれない。パーソナルスペース?何それ美味しいの?と言わんばかりにべたべたとくっついている。
「あんま後輩困らせんなよー」
「椿ちゃんは困ってないもん!ねー?」
「えーっと……」
「困ってんじゃねぇか」
何と答えたらいいか苦笑いを浮かべる白川。うちの幼馴染がなんかすまん。
「いちゃつくのも良いけどそろそろ着替えたりなんだりしようぜ。せっかくの時間がもったいないし」
「だねー」
颯太の発言により、俺たちは海で遊ぶための準備を始める。
「にしても人多いなぁ」
「まぁ海だからしょうがないところあるよな。これでもまだ少ない方だと思うぜ?」
「こ、これでかよ……」
夏と言えば海、というのはほとんどの人にとってのことなのだろう。カップル、男友達、家族連れ、色々な人が夏を満喫している姿が見られる。
「準引き篭もりの俺にとってはかなりの地獄だな……」
「そんなこと言ってたら夏祭りとか晴翔多分卒倒するぞ」
「毎年死んだ顔で屋台を見歩いてるよ」
「お祭り向いてないよお前」
「分かる」
俺も出来れば家でのんびりして多いんだけどね、半ば強制的にお祭りに連れていかれるのですよ。
「おっまたせ―!!」
声のする方に体を向けるとそこにはこちらへと駆けてくる水着姿の美緒がいた。
「おぉ、可愛いじゃん」
「ふふん、あたぼうよ!」
「なんで急に江戸っ子になった?」
俺に褒められドヤ顔をする美緒。最初からそんなに元気だと終盤電池切れないか心配になる。まぁ美緒なら終盤も余裕で元気そうだが。
「お待たせしました……どう、兄さん?」
「おぉ……」
後ろで手を組み少し恥ずかしそうにこちらを見つめる鈴乃を見て、思わず感嘆の声が漏れてしまう。フリルが多くあしらわれた可愛い水着に身を包んだ鈴乃。彼女の持っている可愛さというステータスが限界を突破し、魔王すら倒せてしまうほどの魅力を放っている。めちゃくちゃかわいい。
「天使が海に遊びに来たって言われても納得できるくらい可愛いよ」
「そう?……ふへへ、ありがとう兄さん」
「はぁ、こーれだからシスコンは。どう思う颯太?」
「可愛いのは分かるけど流石にあそこまで行くとちょっときもいかもな」
おいそこ、しっかり聞こえてるからな。今は鈴乃の水着姿を見るので手一杯だから見ないふりしてるけど、ちゃんと聞こえてるからな。
「あぁ……鈴ちゃん可愛い~……。もうこれだけで海に遊びに来た甲斐があるよ~……。」
鈴乃の横で恍惚とした表情を浮かべる白川。そういえばこの人鈴乃ガチ恋勢だった。両手を頬に添えて鈴乃に見入っている姿は、アイドルを前にしたファンの様にしか見えない。うちわとか作ってそう……というかマジで作りそう。
「白川も水着似合ってるな、可愛いよ」
「へ?……あ、ありがとうございます」
鈴乃とはまたベクトルの違う可愛さをしている白川を俺は素直に称賛する。良きものは良いと褒める、そしてそれを相手に伝える。これが大事だと僕は思うんですよ。
「晴翔ってあんなに女たらしだっけ?」
「いや?単純に人褒めてるだけだよ。晴翔昔からそうだから」
「……無自覚って怖ぇ」
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