-08.5-【外伝】1次試験と2次試験の狭間で

「ねぇ。カゲちゃん。探索者になってお金儲けするって本気なの?」


「本気だ。いくらダンジョンポイントが有っても、お金が無いと困るんだよ」


「でもダンジョンポイントで色んな物が買えるよ」


「勿論知ってるが、食べ尽くしたら終わりだ。ダンジョンポイントで買える種類は有限なんだから、いつかは飽きる。それにダンジョンポイントだって買い続けたら無くなるからな」


「ふ~ん。それで温泉を考えたんだ。でもお客は来そうにないよぉ」


「そ、、、それは、、これから考えるんだ・・・」


「やっぱり、カゲちゃんの魔法でゴールドを作って売った方が早いんじゃないの?」


「メイ・・・まだそれを言うのか。2年前の事を忘れたとは言わせないぞ!」


「・・・えっ・・・」


「ハァ~。2年前、お前の口車に乗せられてゴールドを作った事が有っただろ」


「っしょっ・・・しょんな・・・事も有ったカナ」


「あの時、俺に内緒で売りに行ったよナ!。それも未成年だったから俺の名前使って売ったよナ!」


「あ~。そうだった・・・カナ?」


「その後、俺の家に税務署が来たのは・・・まぁ、しょうが無いだろう。そこまでは許す」


「たしか・・・5000万円くらいで売れたからネ。納税は義務だしネ」


「だがな。密輸だとか訳の解らない嫌疑まで掛けられて、家宅捜索されたんだぞ!」


「・・・それは、私のせいかな?」


「お前・・・ゴールドを売る時に店の人に『外国人から貰ったのかも』と言っただろ。刻印も無いほぼ100%のゴールドと外国人、完全にOUTだ!」


「だって・・・知らなかったんだモン」


「家宅捜索で俺のお気に入りだったソファーは破かれて、テレビは分解されて、俺のお宝だった白と赤の貴重なゲーム機本体までバラバラにされたんだぞ!」


「あのゲーム機は使ってなかったし・・・」


「おまけに、家中の床板まで剥がされて、便器の陶器まで割られるとか意味がわかんねーよ!!」


「そのおかげで、リフォームの決心が付いたんだよネ?」


「リフォームしないと住めなくなっただけだ。そのリフォームの代金と納税で5000万円だ」


「私があんなに苦労して運んだのに、お小遣いも残らなかったネ。重かったんだよ」


「ハァ~。少しは反省しろよ」


「じゃあ!今度はレア?メタル?とかにしたら良いんじゃないのかなぁ」


「どこから仕入れたのか解らない物を買う奴なんて居ない」


「それなら、ダンジョンから発見した事にすれば良いよ」


「俺にしか発見出来ない事が、すぐにバレるな。大騒ぎになって2回目はもう売れない」


「カゲちゃんの魔法って全然使えないネ」


 だから爺さんも全然使って無かったんだろうな。

 トンデモ過ぎて現代では全く使えない。

 使ったら平穏な日常が失われるって、爺さんは知ってたんだろうな。

 ダンジョンがある世界になったんだ。少しくらいはバレても大丈夫だろうか・・・







              第1章 完

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疑似特異点 と 余剰次元 VENUS @nautilus07

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