第22話 おばあちゃんのために

「入院してるおばあちゃんにアクセサリーをプレゼントしたいんだ」


 白金君が真剣な表情で僕らに話してくれた。


「最初は食べ物とか、花とかにしようと思ってたんだけど……。しっくりこなくて。そういうのは他の人がもう贈っちゃってるし。おばあちゃんが驚いて喜びそうな、真新しいものがいいなと思ってさ。そんな時にこの藤咲さんの店を見つけて、土曜日に試しに入って見たらいいなって思ったんだ」


 僕と藤咲さんは時々相槌あいづちを打ちながら白金君の話を真剣に聞く。ノアはというと退屈そうに作業台の上。藤咲さんの近くに座っていた。


「この星空のネックレスみたいにおばあちゃんが好きそうなものを作って欲しい!ハンドメイドだから要望通りに作ってもらえるかなと思って藤咲さんに声をかけたんだ」


 白金君は商品棚から球体の中に星空を閉じ込めたネックレスを持ってきた。それは僕も見惚れた作品だ!誰かにプレゼントしたくなる気持ちが良く分かる。


「ほら!本物の景色みたいに星が流れるだろう?こんな風に動いて、綺麗で面白いネックレスがあったら……病室にいても楽しいし勇気づけられると思って」


 白金君、なんていい奴なんだ!僕は早くも感動していた。

 すんなり魔法の存在を受け入れていたのもおばあちゃんが辛い状態にいるからだと知って納得する。


「すごい良いアイデアだと思う!おばあちゃん絶対喜ぶよ!」

「そ……そうかな?」


 僕の熱がこもった誉め言葉に白金君が圧倒される。


「うん。そうしたら……そのネックレスと同じ感じで作ってみようか!これよりももっとすごい、レジンアクセサリーを!」


 藤咲さんの言葉に白金君の表情が明るくなる。


「うん!ありがとう、藤咲さん!」


 白金君がアイドルさながらの爽やかな笑顔を浮かべた。うっ眩しい。

 ついでに藤咲さんの優しい笑顔もあって、僕はずっと目がしょぼしょぼしている。

 よしっ。僕も白金君のためにも白金君のおばあちゃんのためにも頑張るぞ!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る