それぞれの 中学時代の お話です③

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八葵は4人と中学校が違います。親の意向でエスカレータ式のお嬢様学校に通っています(高校で4人と合流するかたちです)。


朧谷おぼろや 小霧さぎり】他者と分かり合いたいと思えどそれが叶わず、腐っている。

井雲いくも 八葵やつき】たまに顔を合わせる幼なじみの顔が日に日に暗くなっていることに対する心配を隠せなくなってきている。




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[クラスメイト1]『朧谷さんさあ、もうちょっと皆に合わせるってできない?』


[小霧]「(……うるさいな)」


[クラスメイト2]『朧谷さんって、なんか斜めに構えてるよね。一匹狼が格好いいとか思ってる感じ?笑』


[小霧]「(……わたしはわたしのままで生きたいだけなのに)」


[クラスメイト3]『その雰囲気で最低限をこなせないことってあるんだ笑』


[小霧]「(……苦手なことを苦手って言っちゃだめな佇まいって何?)」


[クラスメイト4]『悪いことは言わないから、まずは普通を目指してみましょう。そうすれば不和なんかすぐに解けますよ。受け入れられる準備をするんです』


[小霧]「(……大人に期待したわたしが馬鹿だった。大人だって歳が上なだけで、欲しい答えを必ずくれる存在じゃないのに)」


《インターホンの音》


[小霧]「(……こんな平日の昼間に、誰だろう)」


《階段を駆け上がる音》


[小霧]「(えっ? わたしの部屋に来ようとしてる?)」


[八葵]「合鍵にて失礼! さ〜ぎりちゃん、遊びましょ! って、部屋ったな!」


[小霧]「……八葵」


[八葵]「久しぶりだね。時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」


[小霧]「……何も栄えてない。それに、慶ぶことなんてないよ」


[八葵]「最近チラ見えする小霧の顔が浮かないからさ。まあ早いところ、どしたん、話聞こか? ってコト」


[小霧]「……お悩み相談にしてはふざけた調子過ぎない?」


[八葵]「真剣と茶化しはいい塩梅で混ぜてこそ輝くってものさ」


[小霧]「じゃあ下手くそじゃん」


[八葵]「へへっ」


[小霧]「……で、本当は何の用?」


[八葵]「昔みたいに“やっちー”って呼んでほしい」


[小霧]「気分じゃないから嫌だ」


[八葵]「まあまあ、変わっちゃって。私がいない3年の間に何があったのさ」


[小霧]「本題はやっぱりそっちじゃん。いいよ、わたしがいちばんの悪者なんだから」


[八葵]「やっぱりなんか闇が生成されてるね。ブラックホールが語尾の伸ばし棒を食べちゃったみたいだ」


[小霧]「何の話?」


[八葵]「元気ないなあって。私の知ってるさぎはもうちょっと思考に無頓着だ。あとすっごく自分軸」


[小霧]「……他人軸で悪かったねー」


[八葵]「ちょっと調子戻ったんじゃない?」


[小霧]「……だから何の話?」


[八葵]「戻っちゃった。まあだから、話に来た目的は話をすることってコト。さぎ、聞かせてよ。私がいなかった3年の間にキミが抱えた、良い夢も悪い夢も」


[小霧]「……わたしは──」




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【ひとこと】

小霧の語尾伸ばしやのほほんとした柔らかな雰囲気の佇まいは、作られたものでした。

でも後にそれを演じることがつらくなくなるにつれて、次第にそちらが本当の小霧になっていきます。信頼できる友達に囲まれるうち、そちらのほうが何かと生きやすいことに気がついたからです。


だから今(高校生時)は、のほほんとしたほうが本性なのです。

可愛いね、猫がよ。

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