3年目第三節 失う者と入る者
昨日の夜あたりから冷房と照明が使えなくなった。
コロニー全体で停電になっている。
これじゃ仕事ができない。
というより冷房が止まってしまって暑くて眠れない。
Mariaの死の影響かコロニーのメンバーの機嫌も悪い。
仕事する気が失せてしまった。
睡魔に負けて寝てしまったみたいだ。
夕方になっている...電力は復旧したばかりみたいだ。
部屋がまだ生ぬるい。
やる気も起きないことだし夜飯を冷凍庫から出して解凍して自分の部屋でこっそりと食べよう...
記:5502年第三節1日
朝、Zoeちゃんは大きなたんこぶができていた...
それよりも...どうやら悩んでいるみたいだ。
レーヌというクオリーラジーナスからの救援メッセージの応対をしているみたいだが。何者から逃げている様子らしい。
こちらのコロニーに身を隠す代わりに入植すると言っているが何やら怪しいと言っている。
Sanfordはこういった入植者はやっかい者だったり後に大きな襲撃を誘発させたりするのでやめておけと言っていたがお人好しのZoeちゃんは入植者の補填をしたいからと強引に受託してしまった。
数時間もしないうちに例のクオリーラが到着した。
妙に気に障るキンキンした声をしている彼女はレーヌ。
未成年のクオリーラジーナスだ。
何やら物騒なガトリングを持っているが...
陸田が早速不審に思ったのか彼女から追手の内容を聞き出す。
彼女は高笑いしながら"古代エルフに追われてるのwww"と暴露する。
陸田の顔面が真っ青になる。
そして匿った犯人探しを始める。
Zoeちゃんが私が匿ったと暴露すると陸田はすん...とそっぽを向いて作業に戻る。
数日後にレーヌを追ってくる古代エルフの襲撃が発生する事が確実となった。
(この時陸田が思いっきり古代エルフの悪口を言ってLeach姉貴にげんこつされていた)
昼、大広間の掲示板に衝撃的な事が書かれた。
"私達、結婚することになりました。"
注意:Zoeちゃんの名字が陸田に変わります。間違えないように!!
Zoeちゃんが陸田の方に籍を移した事によりクオリーラのロイヤル・ブラッドのひとつが途絶えた瞬間でもあった。
この一件である問題がCalixtaから指摘される。
定住民と脱出民の選定が必要だということだ。
Zoeちゃんはこうみえてエンテレケイアの地球管轄のメタトロニオスとして活動している。
陸田との結婚がどう響いてくるか今後が不安になる。
クーリン達は地元愛が強く脱出は依然として考えていない入植者が多数。
仮にZoeちゃんが陸田についていくと言い出したらかなりの問題になるだろう。
無理やりコロニーに参加してもらってるEudokiaさんを地球に連れて行くわけにも行かないし...
気になったので抜き打ちで現地民に考えを聞いてみた。
Sanfordは"この惑星の生活はうんざり。この惑星からも今の生活からも脱出したい"と脱出一択であった。
Evantiaは"ん"っ...他の二アメ―ア達に合わせるけど私は脱出したほうが幸せになれると思うかなぁ"と言ってて考えがまとまっていない様子。
Nenvolkは"Daughertyもいるし脅威もない全く新しい環境は怖すぎるッス..."と定住する意見もあった。
全員に聞き出すとキリがなさそうだ。
結構個人個人で意見が分かれている一方、サクリーンのProseriaやEudokiaさんなど意見が固まっていない入植者も多い印象だ。
記:5502年第三節2日
3おじ用のマシンは正常に動いているみたいだ。
この白いサラサラした粉がプラネタリウム。
オヤジたちを狂気の状態にした元凶の粉だ。
いままで飲料に加工したスパイスティーしか見たこと無かった。
オヤジたちはこれを吸引してプラネタリウムを補給している。
こんなの直に吸ったら絶対むせるだろ...
新人のレーヌは地底人で外を嫌に嫌っている。
外よりも屋内作業の方が好きみたいだ。
それにしても...貴族派閥のエンテレケイア出身と思われるが恐ろしい程素行が悪い。普通に入植者を侮辱してくるし度の過ぎたイタズラもしてくる。
このクソガキが...
逃げ足も速いので尚の事むかつく。
同じ種族のAdeodataも"あんなに素行が悪いと補正教育の対象になるはずなんだがな...脱走して自治区外で遊んでいたのだろう"と半ば呆れた様子でボヤいていた。
記:5502年第三節3日
南側の薬草保管庫の横に桜の木が植えられきれいな桜が育った。
入植者の永久の眠りの場として、この桜の木の周辺にこの前亡くなった入植者のお墓が立った。
クーリン達は仲間の死を軽く見ているのか...意識の差なのか...野卑の墓には雑草が生い茂り墓石の近くには枯れかけでシナシナになった花がお供えされてしまっている状態になった。
その反面Mariaの墓には毎日昼頃にはキレイな花がお供えされている。
レイスワンズ組の入植者が毎日のように何処かから花を摘んできてお供えしているみたいだ。
そして朝昼晩とCalixta、Evantia、Athanasiaの誰かしらが墓石を水を使ってきれいに掃除している。
それだけ尊敬される偉大なるリーダーだったのだろう。
この感じを見るといかにクーリン派閥の人使いの粗さが目立つ。
確かに陸田や隼人らはシャトルの墜落事故でこちらに救出されて無断で入植した。
シャトル事故によって消息不明になった彼らの籍は死亡扱いとされはもう元の派閥にはないからだ。
かつての仲間であった健太がこのコロニーに一旦入植したものの精神崩壊で出ていく際は引き留めようとせず"出ていくなら出ていけば"と突っ放している様子だった。
クーリンは仲間の逃亡や死など対してあまり気にしていないのだろうか...
それとも彼らがサイコパスなのだろうか...
記:5502年第三節4日
朝食中に緊急招集がかけられる。
ドドドドドド...と何かが大量に落ちてくるような音が聞こえる。
EudokiaとZoeちゃんは入植者はすぐ西側の護衛用戦闘エリアに集まれと指示を出した。
Zoeちゃんの口調がいつもと違う。
どうやらただ事じゃない事はわかった。
恐れに恐れていた古代エルフからの襲撃だ。
どうやらレーヌの追手が大量に援軍を呼んで攻撃してきたみたいだ。
人数は50人...いやそれ以上か...
この前のウーンドワード以上のコロニー崩壊の危機。
いや、死を悟った。
Zoeちゃんは単騎で散らばった敵の処理に行くと言って南側に走っていく。
僕ら残存組はこちらに突っ込んでくる敵を倒すしかなさそうだ。
南側で大きな爆発音があった。
それなりにメンバーを失った古代エルフ達は撤収を開始する。
Eudokiaにあるインコムが入る。
Eudokiaは顔を真っ青にして何回も謝っている。
なにか問題が起きたみたいだ。
何がともあれエルフは追い払えたが...Zoeちゃんがアダマへレヴをぶっ放した影響で家屋は一部倒壊し客を怪我をさせたとハム連合の客は怒り、コロニーは返り血だらけになった。
そして何より問題なのは古代エルフの捕虜が恐ろしい事に9人もいるということだ...
せっかく完成したばかりの集合住宅東側の新築が古代エルフ達勧誘のための独房として転用されてしまった。
記:5502年第三節5日
6日、ハム連合のモヨ達はカンカンに怒って帰っていった。
0点を下回って-54点とマイナス評価で帰っていった。
もちろん見返りの品はない。
おまけに派閥間の友好関係も悪くなったみたいだ。
Zoeちゃんはコロニーの清掃と修復が終わるまで旅館の営業を止めようかと提案していた。
昼前、Calixtaが囚人に逃げるように説得すると理由のわからん事を言っていた。
どうやら彼女は勇人と恋人関係だったみたいだがサクリーンのProseriaに寝取られてしまい勇人に振られた事が原因でコロニーに迷惑をかけてやろうと企てていたみたいだ。
その噂を聞いたAthanasiaはCalixtaを説得するが言う事を聞かなかった。
Athanasiaから力づくで止めてくれと頼まれた。
原型種は容赦なく攻撃するので彼女が命を落とさないか心配になるがやれと言われたならやるしかなかったが止められた。
衝撃の槍を使って意識を飛ばしてくれと言ってきたので仕方なしに衝撃の槍を使った。勿体ない。
古代エルフ達の心情も非常に悪く勧誘どころか会話すら成り立たない。
この子達ホントにこっちに入植するのだろうか...
記:5502年第三節6日
朝、念願?の焼却炉が完成した。
これで白骨化した動物や襲撃者の死体。
襲撃者が落とした危険ドラッグを焼却できる。
ただし恐ろしく電力を使うので使用時以外は電源を切っておくようにと書かれている。
朝からロリババァ様が山積みにされた古代エルフの死体を文句を言いながら焼却していた。
ここ数日、ものすごい勢いでせっかく周辺派閥からかき集めた衝撃の槍が消費されていく。
古代エルフの捕虜達の誰かしらが数時間おきに凶暴化して暴れるからだ。
古代エルフはあんな華奢な体つきでも怪力の持ち主である為暴れられると素手で粘板岩製のドアを破壊したりするので非常に危険だ。
だからと言って重火器を使うと何かしらに障害が出たり最悪の場合死亡事故を起こす可能性もあるので使えないらしい。
Zoeちゃんが鎮圧にアダマへレヴを使うとか言ってるが...大丈夫なのだろうか...
記:5502年第三節7日
朝からZoeちゃんの怒号が聞こえる。
どうやら勧誘中の古代エルフ達からレーヌのとんでも話を聞いたらしい。
レーヌは古代エルフを侮辱する癖?がありしょっちゅうLeach姉貴にぶん殴られている。
どうやらエルフの奴隷?として使われておりリーダー格と結婚(強制)まで確約していたところエルフの拠点から脱走し追われているさながら古代エルフの前哨基地を手持ちのガトリングでイタズラがてらに襲撃。前哨基地の連中らは激怒し更に襲撃者の人数を増やす結果となったみたいだ。
さすがのZoeちゃんも憤怒。
お説教された直後にもLeachおばさんと揶揄ってぶん殴られていた。
ちなみにレーヌは普段ウェルブムバイザーを着用しており素顔がわからないがLeachにぶん殴られた時に外れたりAdeodataと違い温泉に入る時はバイザーを外しており素顔が見れる。
ちょっとEudokiaに似ている。
夜、設置されたテレビに"笑点"に似たような番組"汚点"が放映されていた。
どうやら亜人工業が放映しているみたいだ。
ゲイビデオの切り抜きのようにしか見えないが...
Adeodataはこんな番組よりもビリヤードの方が面白いと言っていた。
記:5502年第三節8日
昼まで寝てしまった...
課長が何やら血相を変えて誰かを探しているみたいだ。
"Fishちゃん見なかったか?"
どうやら朝からFishが見当たらないみたいだ。
Calixtaが散歩に行ったはず...と言っていたが...明らかにコロニー内にはいないみたいだ。
これFish出ていったのでは...??
夜。エンテレケイアからお客さんだ。
ほとんどはクオリーラジーナスであったが一人異質なクオリーラがいる。
ついに新聖王のお出ましだ。
聖王の本名はアイリーン・ストラウド。
18歳の若手のロイヤル・ブラッドだ。
勧誘活動しているらしいけどこれ以上王族種が増えるとコロニー崩壊する。
妙になにかがガツガツ食べたい。
ウマいものじゃなくてもいい...どうやら過食症状が出ているみたいだ。
暴飲暴食は血糖値スパイクが起きるから控えてくださいねと医者に言われているがたまにやってしまう。悪い癖だ。
Leachがスパイスの回収時にFishの置き手紙を見つけたみたいだ。
手紙の中身は省略するが単刀直入に解釈するとFishはコロニーから出ていった。
記:5502年第三節9日
おやつ中に招集がかけられた気がするんだが...食品のパウチ開けちゃったし聞かなかったフリをした。
南の方で銃撃音が聞こえる。
かなり激しい戦闘が行われているみたいだ。
入植者たちは何もなかったかのように作業に戻ったので追い払えたのだろう。
夜、Eudokiaに徴兵に従わなかった事に怒られた。
Zoeちゃんは説教する必要はない...と呆れた様子だ。
気分が悪くなったので今日は時間が早いが睡眠に入ることにした。
記:5502年第三節10日
目が覚めたが何やら外が暗い。
サンブロッカーかなと思ったがどうやら違うみたいだ。
どうやらまた日食みたいだ。
朝、課長から電力不足にならないようにエアコンの電源を切るようにと指示があった。
この時期は気温が高くならないが湿度が高いのであまり切りたくはないが冷凍室の冷凍機が止まると死活問題になるので仕方がないことだろう。
コロニーの女性陣のムードが非常に良くない。
島田がぼやいていたがどうやら今までにないくらい強力な女性型サイコドローンが仕掛けられているみたいだ。
Hoodは呆然としはじめ、古代エルフの捕虜は凶暴化を繰り返す...
しばらくはダメそうだ。
昼明け...南側に何かが落ちてきた。
どうやら金属のメテオが落ちてきたみたいだ。
掘削すればスチールとして使えそうだ。
Zoeちゃんは気さくな性格とはいえサイコドローンと捕虜の鎮圧による寝不足で発狂寸前だ。陸田がそこを何とか...と頼んでイヤイヤながらやってはいるが...
この状況下で逆にEudokiaが発狂しないのが不思議なくらいだ。
記:5502年第三節11日
サイコドローンの影響の余韻か...まだHoodは呆然としている。
レイスワンズからの襲撃だ。
Mariaが死亡後では初の襲撃だ。
和平交渉の件はどうなったのかわからないが襲撃してきているということはあまり友好関係は良くなってはいない様だ。
仕方ないが追い払うしかないだろう。
Zoeちゃんが向かっていったのでこっちからは徴兵命令がなかった。
ここ最近は古代エルフの捕虜も大人しくなった個体が何人か出始めた。
話しも通じるようになるまでに精神状態が安定してきている。
そろそろ何人かこっちに入植してくれると空き部屋が出て助かるのだが...
記:5502年第三節12日
朝、見慣れない古代エルフが食事を調理していた。
どうやら古代エルフから捕獲した捕虜のひとりがこちらに入植したみたいだ。
古代エルフ出身のエルフの村人、Riliaだ。
戦闘面ではあまり期待しないでね...らしい。
普通の人間よりかは強いだろこいつら...
そして彼女は胸が大きい。エルフの衣装は比較的胸の膨らみを許容できる服のサイズになっているが明らか服の容量に対してに胸の部分がパンパンに膨らんでいる。
彼女は胸の大きさを気にしているのか常にケープを羽織って胸の部分を見せないようにしている。
午後、冷凍庫の冷凍装置の設置が完了し、いよいよ建設完了間際の冷凍庫の建物に欠陥があるとDaughertyから指摘される。
どうやっても天井が崩壊する構造をしていた。
支柱を図面上で追加し忘れた事が原因だ。
支柱の建築をお願いし無事冷凍庫は完成した。
電力さえ止まらなければ食物が腐敗するということはなくなるだろう。
この冷凍庫は相当なサイズなので満タンになるということもないだろう。
記:5502年第三節13日
Zoeちゃんは目の下に大きな隈を作っていた。
どうやら古代エルフの捕虜が数時間おきに発狂して凶暴化するのでそれの鎮圧で昼夜問わず全く休憩できていないみたいだ。
彼女のストレスもそろそろ限界に近いだろう...
誰か代わりに監視できれば良いのだがエルフのパワーは半端じゃないのでZoeちゃんしかできない現状なんだろう...
彼女頼りな事は非常に良くないことだが...人がいなければ仕方がないことなのか...?
記:5502年第三節14日
暴飲暴食後の影響かすぐに腹が減る。
とは言っても冷凍スペースにはマズメシしか食事が無かった...
深夜だから仕方がないと思ったがふと思った。
捕虜の食事があるからこんなに食事の調理が間に合っていないのでは...
ブロック製造機ちゃんに冗談がてらにボソッと言う。
"古代エルフの捕虜を何人かボコせば食事とか手に入らないのかなぁ..."
何もなかったので仕方なく部屋に戻ろうと思ったがブロック製造機ちゃんは冗談を真に受けて混乱しEudokiaに言ったことをそのまま報告する。
Eudokiaは血相を変えて自分をとっ捕まえる。
冗談くらい通用するコロニーになってもらいたいなぁ...
独房に入れられて朝には釈放された。気分が悪い。
見慣れないエルフの入植者がいた。
金髪で緑眼。ストレートのロング髪のShepardだ。
かなり強い口調で喋るのが特徴か...?
朝っぱらからメカノイドの襲撃だが...
Zoeちゃんが向かっていったので問題なし。
Eudokiaはアーマーが痛むからああいうのはやめてもらいたいって言っているが...
彼女とZoeちゃんではアーマーやアダマへレヴの扱いが違うのだろう。
夕方、大広間付近で大きな爆発があった。
どうやら配線が古くなり漏電した結果バッテリーに蓄えられた膨大な電力が一気に放電してしまい爆発に至ったみたいだ。
爆発の影響でバッテリーに蓄えた電力が損失。
停電になった。
停電になると室内灯が消えてクーラーが止まるのはもちろん、温水システムも停止してしまうのでシャワーが冷水になる。
井戸から汲み上げるのに使われる動力は風力なので影響は無いが女性が多いコロニーで温水シャワーが使えないのは割と不満になる原因にもなりそうだ。
こういう時に限って熱波で高温になる。
幸い、北側の新築巨大冷凍庫は別電源(2機の変動性パワーコア)で動いているので食べ物が腐るという最悪の事態は避けられる。
しばらく眠りが浅い日が続くだろう...
普段だと気温がやや下がり気味の第三節だが熱波により気温が高い状態が比較的多かった。ウーンドワードの襲撃による入植者の死、恐れていた古代エルフの襲撃といった嫌でも記憶に残るような出来事が多かった節となった。
次の節を超えるといよいよ4年目に突入する。
月日が流れるのは早い(Rimは60日で1年だから早いのは当たり前だが)
入植者も25人を超え比較的大規模なコロニーに成長したが...
これからどんな入植者が入り、出ていくのか。
それが少し楽しみでもある。
記:5502年第三節15日
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