2年目 第三節 コロニーの冷房化とエンテレケイア

今日もなにもない平和な一日であったが...

旅館にとんでもないサービスを始めると連絡があった。

お客さんからの要望で始めたらしいが...

お客さんとの同意のもとお金を頂いてウフフアハハなサービスをするというもの。

旅館の方針がだんだんおかしな方向に進んでる気がするんだが大丈夫だろうか...

記:5501年第三節1日


早朝に、エンテレケイアの方々が出発した。

評価はまずまずで悪くはなかったらしいが敵対する派閥のメンバーを混ぜられた事に少々腹を立てていたが部屋の評価はかなり良かったようだがもう少し接客を徹底してくれとのことだった。

聖王様にはきちんと報告するとの話なので前向きな考えをしてくれることを祈るばかりだ。


今は牢屋に拘束している古代人Britのゴ―ジュースの離脱症状はだいぶ静まってきたがまだ精神状態が不安定なままだ。いつ意識が飛んでもおかしくないだろう。

このままの状態では仕事もさせられないし薬物依存の状態では奴隷として売りつけることもできないみたいだ。


迷惑な入植者なら遠くで野放しにしちゃえばいいのに...

記:5501年第三節2日


午前中、ZoeちゃんとLeach姉貴がハーフエルフのキャラバン隊が何らかの取引をしたみたいだ。

その際に離脱症状で働けない状態だった古代人のBritを押し付けたみたいだ。


ドゥアンゴの宿泊客は豪華な部屋に大変満足したみたいで少々のシルバーを置いていった。

こっちからすると低い文明の蛮族が好評でも全く意味が無い。

これはエンテレケイアの聖王様のおもてなしの為に作られた空間だからだ。

エンテレケイアに評価されなければほぼ意味がない。

逆に連中らに好まれては都合が悪い。


エンテレケイアから追加の連絡が来た。

4日後に別のグループが到着するみたいだ。

それまでには部屋を完成させたいところだ。


午後、何故かBritが気絶した状態で発見された。

もう自派閥の所属ではないが一応保護した。

ハーフエルフのキャラバン隊も彼女の状態にうんざりして置き去りにしたのだろう。

記:5501年第三節3日


総合空調装置の研究が終わり遂に施工に入る。

ここは熱帯なので常夏、常に稼働し続ける過酷な環境だ。

ほんとに大丈夫なのだろうか...

空調方式は個別制御ではなく集中式。

一部屋ごとに室外機が設置する方式ではなく大型の室外機を使って何部屋に冷媒を送る方式だ。


客室を除く全ての部屋に冷房装置用のパイプを引く必要があるが設置が面倒な室外機の設置が数か所で済むのでコストが軽いらしい。


昼下がり、奇妙な動物から襲撃を受ける。

ミンムーンの人狩りだ。

ミンムーンはミンチョスライムのナノマシンと犬を組み合わせたキメラだ。

殺害すると肉ではなくミントアイスが副産物として採れる。

地面に落下したアイスは食べたくない。


精神崩壊した現場監督が襲われてしまった事とガトリング装備のロリババァ様がZoeちゃんに誤射した事以外は目立ったけが人は出なかった。


午後...女性陣がイライラしている様子だ。

変な怪文書みたいな音声が右に左にと聞こえるらしい。

Nenvolkや自分らには聞こえていないのでおそらく女性に向けたサイコドローンが照射されているのではないかなと...


夕方、モヨ派閥のハム連合からお客さんがやってきた。

身売り男も同伴していた。

このタイミングで来られるとまたエンテレケイアとダブルブッキングしそうだ。

記:5501年第三節4日


午前中は平和であったので原型種のメンテナンスをした。

彼女らは生命体なのか機械なのかよくわからない生き物だ(生き物なのか?)


午後、昼下がり

シロクマの人狩り集団だ。

キャラバン隊との応戦になったが数がかなり多かったためキャラバン隊側に何人か負傷者が発生した。

最近人狩り集団多くないか...?

記:5501年第三節5日


人狩り動物はスカリア病という病気に感染している個体があり殺害されると即腐敗して食用としては使えなくなる。

しかも腐敗した死体は他の入植者やお客さんに悪影響を及ぼすので早急に処理したいものだ。

しかしそんなに甘くはないのが現実。

大量のシロクマの腐乱死体が村のあちらこちらに放置されているのが現状だ。

焼却用の穴を掘って焼却してしまうのが一番手っ取り早いが風向きの方向によっては燃やせない日もある。

焼却炉は高コストで高消費電力。

使用中は冷房や冷蔵室の冷蔵装置が停止せざるを得なくなる。

そういえば亜人工業かなんかがシル缶の材料に使ってるケモミミ―トという材料。腐敗や白骨化した動物などからも作れる万能合成肉らしい。

レシピ知らんけど。

焼却だけではなく可能な限り再利用って考えもありなのかもしれない。

記:5501年第三節6日


朝、何かが落ちてきたみたいだ。

襲撃ポッドでもクーリンのシャトルでもなさそうだ。

何かの残骸のように見えた。

Zoeちゃんから南東の方向には狩猟や採掘に行かないようにと忠告があった。


午後にZoeちゃんが例の落下物を見てきた。

女王種レクイーンの残骸のようだ。

周囲にメカノイドが防衛しているのでヘタに刺激しちゃダメとの事だ。

この星の派閥なのかどうかはわからないが周回軌道上を飛行しているレクイーンを誰かが刺激しているみたいでその残骸がコロニーの周囲に落下してきたみたいだ。

後日Zoeちゃんが撤去すると言っているのでそれまでは南東には行かないように気をつけないといけない。

記:5501年第三節7日


朝、エンテレケイアのクオリーラが来訪している事に気づいた。

どうやら夜中に到着してしまったらしく接客係は全員就寝中だったみたいだ。

夜番のCalixtaが対応してくれたみたいだが最低限のことしかやらなかったらしくお客さんは少々不満げそうだ。


エンテレケイアのお客さんからこれから熱波が来る趣旨を聞いた。

これ以上気温が上がるとどんなに軽い衣類でも熱中症のリスクが高くなる。

集中冷房設備は完成済みだが電力不足で冷蔵施設や客室の冷房が停止しないように電源をあえて落としていたが仕方ないので電源を入れることにした。

数台の風力発電と貧弱なバッテリー1機のみに頼っている現状、風が止まない事を祈るしかなさそうだ。

記:5501年第三節8日


翌日...エンテレケイアのお客さんからあの物騒なものを撤去してと頼まれてしまったので入植者総動員でレクイーンの残骸を撤去することに...

近づいてみると何やら自分のペットとして飼っている原型種に似たような生命体がいた。

アレは先鋒種じゃ。原型種よりも攻撃力が高いが柔い。

じゃが普通の人間や生身の奴らとは桁違いで硬いから気をつけるのじゃ。

とロリババァ様が言う。


入植者達の集中砲火で何とか先鋒種を撃退。

Zoeちゃんが少々遅れ気味にバフと眷属の召喚を行うが遅かった。


あとは残骸の周りにいるメカノイドを破壊して完了。

せめて客がいない時にこういうものが落ちてきてもらいたいものだ。

記:5501年第三節9日


エンテレケイアのお客さん達は真夜中に出発したらしく朝にはもういなかった。

客室には御駄賃とメモ書き。

"Eudokia様は忙しいので近辺に立ち寄った時に呼ぶ。それまでには電力対策を徹底してくれ"

これ次あたり聖王様が来そうな雰囲気だ。

Evantiaと雑談した時に彼女がぼやいていたが入植する気のなさそうなレイスワンズのリーダーのMariaが入植を考え出したみたいだ。

彼女は建築と調理のスキルがあるみたいなのでこちら側に入ってもらえると非常に助かる人員だ。


意地でも脱走しないように注意しつつこっちに入ってくれないか頼み込むのみだと思う。

元レイスワンズ組の2人はMariaの入植には反対していない模様。


クーリン2人とブロック製造機ちゃんの腹痛と吐き気の原因が回虫とわかった。

しばらくの間は体調不良に悩まされるだろう。


2人分の仕事が増えるのはイヤだが病気を放置した結果死なれると面倒なので仕方がないことだろう...


夜、やっと太陽光パネルの研究が終了。

これで電力問題からは開放...されるわけがない。

太陽光パネルは昼間に有効な発電方法だが発電した電力を溜め込むバッテリー設備が不足している。

バッテリーは開発して生産することも可能だが敵の拠点などに設置されているものを奪ってくるのが一番早い...がそんなにポンポンと敵の拠点なんて生成されるモノではない。

そう言えばクーリンから救難信号を受信していた気がするが...

記:5501年第三節10日


朝、しれっと厨房にMariaが調理をしていた。

どうやら気が変わって入植してくれたみたいだ。

入植1日目からかなり馴染んでいるような雰囲気だ。

レイスワンズ組の2人も元リーダーがレイスワンズ時代よりも楽しんでそうな感じでほっこりとしたような感じだ。


...それにしても電力問題は深刻だ。

朝から停電が続いている。

早朝頃から風が止んでしまい風力発電がほぼ発電しない状態になっている。

バッテリーに貯蓄した電力を使い切ってしまっており部屋の冷房はおろか冷蔵室の冷凍装置や水道用の電動ポンプも停止してしまっている。

この状態が長時間続くと食材が腐って食糧難になったり不潔状態による感染症が発生しかねないだろう...

大広間の北側にはソーラーパネルの設置指示があったので一時しのぎで設置するのだろう...夜は停電になるだろうけど。


停電でシャワーが使えない状態が続く中温泉の採掘は進んでいる。

無事に温泉が湧いたみたいだがまだ風呂にブロックを敷き詰められていないみたいだ。

Daughertyが頑張って作業しているので夜には温泉が使えるようになりそうだ。


夜...完成していないのに入ったZoeちゃんが少々建築係に怒られたみたいだが温泉自体は使えるようになったみたいだ。


ただ混浴なので女性陣がいない時に入らないと恥をかくことになるだろう...

温泉が使いそうなところがここしか無かったとはいえ男女別にはできたと思うが...

記:5501年第三節11日


朝、Leach姉貴がちょっとやらかしたみたいでサイの集団を刺激してしまったみたいだ。

大型動物の集団なので当然撃退には何人もの入植者がかき集められた。


ミンチョ魔女が逃げ遅れてしまい入植者を誤射しないようにサイを仕留める事に鳴ったのだが...Nenvolkが手をすべらせた。

Nenvolkが装備するモヨロイヤルバリスタは非常に1発が重い武器だ。

もちろんミンチョ魔女に被弾してしまい彼女の右足が吹き飛んだ。

ミンチョ魔女は必死にもがいて逃げ、サイは仕留められた。


依怙贔屓されたツケが回ったなと思った。


やっぱり実力ないとダメだね。


右足が無くなってしまって歩けなくなったミンチョ魔女は即戦力外と判断され古代遺跡にある休眠カプセルに入るように指示された。

午後、いつ降ってきたかわからないメカノイドクラスターの処理をした。

入植者も増えたお陰でメカノイドの無力化がだいぶ楽になったような気がする。


記:5501年第三節12日


朝、だるさがいつも以上なのでしばらくの間入植者の指示を無視することにした。


昼寝をして午後からは気分が晴れたので仕事に戻ったが入植者から指摘やお叱りを受けなかった。

ついに呆れられたかな...まぁ気にしてないけど。


午後に入ってエンテレケイアのお客さんが訪問してきたみたいだ。

聖王様はいない。

昼間の電力問題や衛生問題も解消したのでこれで文句言われる筋合いは無いだろう...

接客に問題なければの話だが...


とおもった矢先に文句を言われたみたいだ。

どうやら南側に山積みにされているゴミの山を指摘してきたみたいだ。

ゴミの山といってもスカリア病によって腐敗した後に白骨した動物の死体や破壊されたメカノイドの残骸だ。

エンテレケイアは高貴な派閥なのでこういった下らない事でも腹を立ててくる。


エンテレケイアのお客さんが疲れて休息に入った頃合いにCalixtaがMariaの入植記念パーティを開こうと言ったのでお遊び程度ながら入植者全員を集めてパーティ(?)を行った(入植者同士が集まってワイワイ喋るだけだが)

こうやってじっくりと入植者と話し合える時間はある意味希少な時間だ。

有意義な時間であった。

記:5501年第三節13日


早朝にZoeちゃんと元レイスワンズ組が買い出しと売り込みに出発したみたいでコロニーから不在となった。


何やら西側から変な声が聞こえる。

入植者達が急いで向かうとFishが奇声を上げながらもがいていた。


Fishの足元には前回襲撃時に蛮族が落としたであろう娯楽薬物"フレーク"の箱が10箱あり空箱が2箱程転がっていた。

そう、薬物の急性中毒だ。

本来は1箱ずつかつ少しずつ吸引して摂取するのが正しい使い方であるがFishは通常量の2倍の量をイッキに摂取したみたいだ。

フレークは使用すると興奮状態になるクスリで大量に摂取すると離脱症状が出るほど強力な娯楽薬。

課長達もちまちま使っていたみたいだがこんなものをイッキしたら意識飛ぶのが当然。

Fishは日頃の薬物制限のストレスに耐えきれずイッキしてしまったのである。

以前にも3おじ以外禁止されているプラネタリウムをこっそり飲もうとして止められているのを見かけていた。

Fishは精神過敏なのでヘタをすると3おじよりも危険かもしれない。

記:5501年第三節14日


朝、Zoe達が戻ってきた。

急性中毒で倒れたFishを見て遂にやったか...と呆れた様子だった。

お客さんがまだ出発していない事も少し不審そうな感じだ。


それにしてもMariaがここのコロニーに入植してまだそんなに経っていないがもうかなりコロニーに馴染んでいる。

やはり元同僚がいるからかもしれない。

彼女は建築もできるし料理もできる。

リーダーなのである程度のZoeちゃんのやらかしもカバー出来ているかなり優秀な人員だ。

自分の人員選定も良かったのかもしれない。


太陽光発電も設置され昼間はエアコンがしっかりと機能するようになり部屋が更に快適になった...

思わず昼寝してしまった。


もう第三節が終わりあと15日でここの惑星に不時着して2年が経とうとしている。

入植者が増えて個人個人の仕事に余裕が出てきた事は良いことだが脱出まではまだ程遠そうだ。

それよりも...親密になったエンテレケイアの聖王様を無理やりここに繋ぎ止めておくとか専用武器とアーマーだけ奪うとかレクイーンが降ってくる?とかそういった不穏な話を聞く...無事に脱出はできるのだろうか不安になるばかりだ。

記:5501年第三節15日


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