穂乃果 4

私は、ホテルのレストランで拓也くんが来るのを待っていました。

約束の時間を少し過ぎていましたが、彼は来てくれました。


私を見た拓也くんの目は、大きく見開かれていきます。

きっと、垢抜けた私の姿を見入っているのでしょう。

私は幸せな気持ちになりました。

拓也くんは言ってくれました。


「久しぶり。とってもきれいだね」


「そう? ありがとう」


「あのさ、香織も誘ったんだけど、連絡がつかなくて……」


「それは残念。でもさ、せっかくだから二人でお話しよう!」


「そうだね」


私は拓也くんと、高校時代の思い出話に花を咲かせました。

拓也くんは言いました。


「紗季は……」


「その話は、今は聞きたくない」


「そ、そうだったな。穂乃果……」


私は、拓也くんのことが好きでした。

でも、拓也くんは香織ちゃんと付き合っていたのです。

いつか、私は拓也くんと付き合える。

そう信じていたのに、ずっと信じていたのに、その夢は叶いませんでした。


でも、今日、私はもう一度アタックしてみます。

どうやら、香織ちゃんは来れないみたいだし。


拓也くんは、私の胸や足を見てきます。

私は言いました。


「ねぇ、私の部屋で話さない?」


拓也くんは、私の言葉の意味を理解したようでした。


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