夢の守人 ②
「脅威度測定……エラー。妨害されました」
俺の後ろからライアが人型兵器を測定したが、初めての反応を返した。
「妨害…?」
「はい。どうやらあの兵器はウーシアシステムへの権限を持ち合わせているようです。あるいは魔法や神秘で情報を秘匿した可能性もありますが、それは最悪の可能性です。もしそうなら、あの兵器の脅威度は最低でも10/10、それ以上の可能性も…」
「なんじゃそりゃ…10/10が最高値じゃないのかよ」
文句を言いつつ、現状唯一まだ使用可能な多機能戦略兵器を取り出す。
その俺の様子を見て取ってか、人型兵器は両腕を広げ、前腕からレーザーの剣を展開した。
「敵兵器、戦闘準備…戦う気のようです。002、逃げてください」
「あ?」
「あれは恐らく、無人戦術兵器。人類解放戦線が隠し持つ、千年前世界を荒野に変えた兵器の一つです。目的はコアである私のはず、ですから、どうか逃げてください。私は、あなたに生きていてほしい」
「おいおい、さっき言った事もう忘れたか?黙ってみてろ、ライア。今から証明してやる。もう、お前を縛るものは何もないんだって事をな」
「ですが…!そんなボロボロの状態では…!」
なおも反駁するライアに構うことなく、俺はプラズマ・キャノンを初手からぶっ放した。
激甚な爆発を上げ、土煙が舞う。
「やったか!?」
やってないんだろうな、と思いつつフラグを立ててみると案の定、煙の先にはパルスシールドに包まれた傷一つない人型兵器の姿があった。
「
その声が、聞こえた瞬間だった。
「あっ」
気づけば、俺の右手は宙に舞っていた。
振り返れば、目の前にいたはずの人型兵器は一瞬で俺の横を通り過ぎ、俺に背中を見せていた。
目で追う事も叶わぬ刹那の接触で、俺の右腕は肩口から切りおとされていた。
「おいおいおい!?速すぎだろ!?」
咄嗟に飛び退き、失った腕を再生していく。
「……その異常な再生能力、プネウマによるものか…?」
ポツリと独り言を呟く様子に、俺は冷や汗を拭って話しかけた。
「喋れんのかよ、お前?」
「……」
「あぁ、そうか。無人つっても遠隔操作されてるわけね。いぇーい見てるー?」
おちょくるように手を振ると、人型兵器は会話する気はないようで、背中から小型の誘導ミサイルを無数に放った。
咄嗟にパルスシールドを展開して防御態勢に入ると、畳みかけるように接近し、両手のレーザーソードを振るう。
瞬間、パルスシールドはダメージの蓄積に耐えられず、ガラスのように砕けて割れた。
「マジか…!?」
すぐさま飛び退いて距離を取るが、それを読んでいたように前腕の下部分から銃身を出現させ、プラズマ砲を放ってきた。
「やば──」
癖になっていたのだろう。
再びパルスシールドを展開しようとしたが、一度壊された影響か展開できず、眼前に翳した両手にプラズマ砲が当たる。
吹き飛ばされて、壁に沈み込む。
人型兵器はさらに容赦なく、距離を詰めずに両手を振るった。
すると、レーザーソードから斬撃のようなものが放たれ、俺の胴体にバツ印を刻み込んだ。
「かっ…ぁっ…」
まるで格ゲーでハメられているかのように、反撃の隙も与えず。
気づけば、人型兵器の右手の剣が俺の心臓を貫いていた。
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