第401話 道立山士幌高校一年一組クラス名簿(第二版):資料
(本日は三話連続投稿となります。こちらは2/3)
本話では一年一組のキャラクター設定を紹介します。
あくまで現段階のものであり、予告なく新しいプロパティが追加されたり、設定が変更される場合もありますので、フレーバーとしてお読みください。
また、前話までのネタバレを多数含みますので、その点についてはご了承ください。
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出席番号零
●滝沢昇子|(たきざわしょうこ)二十五歳、女性
●【豪拳士】十一階位:視野拡大、睡眠、集中力向上、平静、身体強化、反応向上、体力向上、痛覚軽減、身体操作、鉄拳、視覚強化、頑強、剛力(400話終了時点の所有技能で取得順。なお技能には熟練度が存在するため、取得していても効果には各人の差がでる)
『緑山』元騎士団長にして、ショウコ・タキザワ名誉男爵。一年一組永遠の旗頭である。
女性としては長身の身長百七十。伊達メガネクール美人で普段は冷静沈着に生徒たちを見守るが、イザという時には感情があふれ出してしまうのが萌えポイント。実はズボラオタク(婚約破棄からの溺愛モノが大好き)であることを自白するも、そんなことはなんその、実績として残していた言葉と行動もあり、生徒たちからの絶大なる信頼は揺るがない。
クラス全員が認める一年一組の精神的主柱で、子供たちが理想とする大人でもある。
ロールは超近接物理アタッカー。冷静な判断力を買われ独自の行動を委ねられるも、必要とあれば
特徴としては【鉄拳】【剛力】【頑強】という物理一辺倒な技能と、地球から持ち込んだ持ち前の空手技を組み合わせた異世界マジカル空手の使い手。地味なショートレンジでの戦いであれば、十三階位の近衛騎士ともガチれる戦闘力を誇っている。
ちなみに掛け声である「あぁぁぁいっ!」については、プロ野球ファンならばどこかで聞いたことがあるはず。
あだ名は『無手』『人と魔獣の境目』『魔獣狩り』『名乗らず』などなど。
帰還への願掛けと、判断力低下を恐れたがための断酒は、未だ続いている。
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出席番号一
●藍城真|(あいしろまこと)十五歳、男性
●【聖騎士】十一階位:体力向上、平静、痛覚軽減、聖術、睡眠、身体強化、身体操作、頑強、反応向上、魔術強化、解毒、視覚強化
上記の滝沢先生にクラスの実務的取りまとめをぶん投げられた学級委員長。通称委員長。
ただし先生と同じく一年一組全員から委員長として認められている存在でもある。細いフレームのメガネ男子で、髪を短く揃えた真面目系イケメン。ただし無条件で善良な勇者ではなく、むしろ取引や利害関係を重視してクラス全体の利益を狙うタイプだ。
クラスの対外交渉担当で、政治が関わる件については彼に判断を委ねられることが多い。また、クラス内部での調整役も担っているが、同時にクラスメイトたちに役目をポンポンと押し付ける判断力が持ち味。
ロールは盾役とヒーラーだが、技能のとおりに両方において必要十分であるものの、突出した性能を持てないそこまででしかない構成になっている。騎士としては高いレベルの最低限をこなすことができるが、ヒーラーとしては一流には及ばない。
結果としての行動は【聖術】により自己回復ができるゾンビナイトかつ最前線におけるサブヒーラーというのが現在のポジションだ。
あだ名は『勇者の中の勇者』など。『ほっておいてもいい壁』とか言ってはいけない。
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出席番号二
●上杉美野里|(うえすぎみのり)十五歳、女性
●【聖導師】十一階位:体力向上、聖術、魔力浸透、平静、睡眠、魔術強化、治癒識別、解毒、痛覚軽減、造血、魔力回復、覚醒、身体操作、聖導術
聖女。常に微笑みを浮かべ、黒髪をうしろでまとめた容姿はお母さんを連想させる。ただし結構黒い部分があり、暗黒微笑み聖女とも。
まごうことなきクラス最高峰のヒーラーであり、欠損部位すら修復可能とされている神話レベルな技能である【聖導術】を持つに至った。アウローニヤ的にはその時点ですでに聖女認定のレベルとなる。
上記委員長と並び、実は政治力に優れたタイプで、実家の小料理屋を手伝っていた経歴から老若男女、職を選ばずに様々な人の在りようを『知って』いる。隠していたわけではないが歴女。一年一組の食事を司る料理長のポジションは不動だ。
特技はこれまた家での経験でお客さんの顔と名前を暗記してしまうこと。
ロールは純ヒーラーで、積極的に前線には出しにくいユニットと言える。最近ではそこに一歩を踏み出す判断力を得て、覚醒の兆しが感じられるとかなんとか。
戦闘時は重大な大怪我、前線で応急処置してから後送された患者の治療などを受け持つ。戦闘後の治療も彼女がメインとされる。
直近で【身体操作】を取得したため、動ける聖女に進化する可能性もあるが、機動聖女というタイトルはアリやなしか。
あだ名は『聖女』『迷宮で会うことのできる聖女』などなど。
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出席番号三
●海藤貴|(かいとうたかし)十五歳、男性
●【剛擲士】十階位:身体操作、平静、睡眠、身体強化、体力向上、痛覚軽減、一点集中、視野拡大、反応向上、視覚強化、魔力付与、遠視
短髪で素朴な野球少年。何気に八津とは仲良くしようとしていて、暇があればキャッチボールに誘っている。誰にでも明るく気さくであり、クラスの中では調整側の立ち位置を取ることが多い。
お姉ちゃんに可愛がられる属性の持ち主で、とくにベスティ、ガラリエから目を掛けられている。山士幌に残した実の姉にもイジられていた経験を持っていて、クラスの男子の垂涎の的になっていたりするのだ。爆発などとケチなことは言わない。四方八方から腕を掴まれクラスの女子から冷たい目で見られるているがいいさと、なんとも回りくどい嫉妬を浴びている。もちろん本人にその自覚はないのだが。
ロールは遠距離物理アタッカー兼、近接盾。
一年一組の盾役は騎士職の五人がメインとなっているが、枚数が足りない時に呼び出されるケースが多い。近接戦闘時には完全な防御スタイルなのでスコアを稼ぎにくく、アタッカーとして階位を上げる順位がうしろになるケースになりがちなのが目下の悩み。
それでも直近で物体に魔力を込める【魔力付与】を取得したため、ボールをぶつけた際の攻撃力が飛躍的に向上している。
明確なあだ名は確認されていない。
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出席番号四
●加朱奈ミア|(ミア・カッシュナー)十五歳、女性
●【疾弓士】十一階位:身体操作、身体強化、平静、睡眠、一点集中、上半身強化、体力向上、痛覚軽減、遠視、反応向上、視覚強化、魔力付与、鋭刃
端的に表現すれば耳の短いエルフ。白い肌で金髪ポニーテールに緑の瞳と、黒髪黒目とされる勇者とはかけ離れた存在だ。
そんな見た目に反し、性格はヤンチャの一言であり、クラスの中ではムードメーカー兼好きにさせておけ、という扱いを受けている。妖精顔の圧倒的美少女が武力全振り系おバカキャラとして自己を確立しているのがなんともはやだ。そういうのを受け止めてしまうのが一年一組というクラスなのだが。
八津には自覚しきれていない淡い想いを抱いているようだが、
戦闘面においては武術家の
ロールは遠近両用物理アタッカーで、防御力を考えてはいけないタイプ。
海藤と同様に【魔力付与】を持ち弓術も達者なため、制限を掛けない戦いでは先制攻撃で獲物をかっさらっていく。階位競走では常に上位を走り続ける経験値泥棒だ。
ちなみに掛け声の「イヤァァ!」などについては、某ニンジャな声を想像していただきたい。
あだ名は『偽勇者』『魔族勇者』など。
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出席番号五
●草間壮太|(くさまそうた)十五歳、男性
●【忍術士】十階位:体力向上、平静、気配察知、身体強化、睡眠、気配遮断、痛覚軽減、魔力察知、反応向上、身体操作、視覚強化、視野拡大
メガネ装備で長めの前髪が特徴の典型的陰キャでありながら、実は普通というギャップを狙っている忍者男子。
一年一組の斥候リーダーで、同じく斥候担当の
彼だけのユニークである【気配察知】【気配遮断】【魔力察知】は、生存性という視点でクラスでも図抜けた存在だ。
物語的には便利なキャラであるため、イザという時に突如登場し、美味しいところを持っていくことを数度やらかした。
ロールは完全に斥候型。もちろん近接戦闘も可能だが、ほかのアタッカー連中からは技術的にも一段落ちる。中学までは卓球部だった経歴を持つが、決して運動神経が良い方ではない。【気配遮断】からのニンジャクリティカルが持ち味で、一回の戦闘で一体を倒すタイプの戦闘を得意としているが、一撃で落とせる敵がそう多くないのが目下の悩みだ。
目立たない行動を心掛けているため、目立ったあだ名はないが、クラスの内部からカッコいい名前を付けようと狙われている存在でもある。
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出席番号六
●酒季夏樹|(さかきなつき)十六歳、男性
●【石術師】十階位:体力向上、平静、高揚、石術、睡眠、魔術強化、痛覚軽減、多術化、魔術拡大、視野拡大、魔力回復、遠視、視覚強化、身体操作
クラス内男子最低身長(
主人公の八津からは親友認定されていて、夏樹自身もそれを受け入れている。
なにせ『柔らかグループ』に含まれる男子は彼ら二人だけなのだから、その友情は永遠なのだ。ただしどちらかに【身体強化】が出ると、その関係も……。
ゲーマー趣味を持ち、この手のお話に出てくるアルアルを知らないまでも、異世界でのお約束にある程度対応できる人材でもある。とくに迷宮でのレベリングなどについてのシステム解析には積極的だ。
ロールは遠距離魔術攻撃担当。三個の石を自在に操る、彼の性格を反映したかのようにわかりやすいごく普通の魔術を得意とする。だがシンプルゆえに攻撃力は保証されており、一年一組の中で唯一、魔獣に対して致命の一撃を放てる可能性を持つ優秀な攻撃系術師だ。
あだ名などについては特になし。
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出席番号七
●酒季春風|(さかきはるか)十六歳、女性
●【嵐剣士】十一階位:身体強化、平静、身体操作、体力向上、睡眠、一点集中、痛覚軽減、視野拡大、反応向上、視覚強化、風術、魔術強化、聴覚強化
双子な
ボーイッシュな顔立ちが弟とよく似ているのだが、快活さでは姉が完全に上回っている。
クラスの中では唯一、一人称を『ハル』と、自分の名を使うキャラだ。
警官である父親を尊敬しているが故にストレートな正義感を持っていて、異世界転移モノにありがちな、困っている人がいたら助けるのが当たり前という考え方をしがちだが、そこを委員長をはじめとするほかの面々がたしなめて事なきを得ている。
悪即斬の傾向というか、敵認定した相手に対し容赦のない面があり、クラスメイトたちが対人戦でビビる中、弟である夏樹と一緒に、わりとクリティカルな攻撃をできてしまう精神の持ち主だったり。
ロールは高機動近接物理アタッカー兼トレイン上等な斥候。【風術】持ちのため、魔術を使っての行動阻害や自身の移動補助を習得しつつある。
両手にメイスとバックラーを装着し、左右を問わず、短距離走で鍛えた瞬発力で勝負をかける高速アタッカーだ。階位による身体の大幅な強化を持て余していたが、試行錯誤の末に低い姿勢でのフォームを見出すことで覚醒を果たし、移動速度だけなら十三階位を相手にしても負けないレベルになっている。
残念ながら武術についてはまだまだ素人であるため、攻撃に雑さが目立つのが難点。
あだ名などについては特になしだが、そのうち『疾風』とか『二棍』とか言われそうな予感がある。
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出席番号八
●笹見玲子|(ささみれいこ)十五歳、女性
●【熱導師】十一階位:熱術、平静、高揚、体力向上、睡眠、魔術強化、痛覚軽減、身体強化、水術、身体操作、反応向上、視野拡大、魔術拡大、多術化、視覚強化
クラス女子最高身長のアネゴ口調キャラ。髪型は太めのおさげを一本降ろすフィッシュボーンスタイル(作者は画像検索でしか把握できていない)。
口調こそアネゴでみんなの士気を高めるような言い方をするが、精神的にはそれほど強者の部類ではなく、むしろ強がりな部分が多い。それでも一年一組でコールをする際に音頭担当になるのは、自分自身を鼓舞するためかも。
勇者拉致事件の際、一度に【魔術拡大】と【多術化】を取ったため、熱水球の運用には優れているが、減らした魔力量との折り合いに苦しんでいる。
最近四層の魔獣を倒すために試行錯誤が繰り返されている『煮殺し戦法』、またの名を『芋煮会』の主たるメンバーとして、裏方での戦いが激化中だ。
ロールは阻害型遠距離魔術担当兼芋煮会主催。熱水と高温空気を使い分けて、敵に地味なダメージを重ねるのが役割となっている。
あだ名は『第三の勇者』『導師』など。【熱導師】などという神授職であるため、アウローニヤ視点では委員長、上杉に次ぐ三番手の勇者として目されている。
たしかに本人には【熱導術】が出現しているが、取得の条件についての目途は立っていない。
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出席番号九
●白石碧|(しらいしあおい)女性
●【騒術師】十階位:体力向上、大声、奮戦歌唱、鎮静歌唱、平静、睡眠、音術、痛覚軽減、遠隔化、遠視、魔力回復、魔力譲渡、魔術強化、魔力浸透、鋭刃
ダブルおさげ丸メガネ文学女子という、絵にかいたような大人し系少女である。メガネを外したら超美少女なんていう設定はない。
クラスメイトから認められる昔からの役割として、当たり前のようにクラスの書記を務めあげている健気な少女である。思考が論理的な傾向を持ち、それが早い段階でバレたため、シシルノ教授から目を付けられた。実は普通にそういう会話も楽しんでしまえるタイプなので、シシルノとは良好な関係を築いている。
アニソンを歌うのが大好きで、大人しめな性格のクセにその時だけは大声になる系女子。
ロールは後方からのバフ、並びに【音術】による牽制、魔力タンク。
傑出した【音術】の使い手であり、対人戦では『エアメイス』をはじめとした牽制、威嚇を得意技として裏のMVPを張っている。
あだ名としては『書記』『ジェサル卿の後継者』など、文系能力を高く評価されているものが多い。
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出席番号十
●田村仍一|(たむらじょういち)十五歳、男性
●【聖盾師】十一階位:体力向上、聖術、魔力浸透、平静、睡眠、造血、解毒、痛覚軽減、身体強化、頑強、治癒識別、覚醒
クラス男子の最低身長(夏樹と同じくらい)で小太りな田村だが、理系知能を以って委員長と一緒になって八津らの明け透けな異世界常識に対し、地球の常識をぶつけ合う無謀な戦いを挑む男でもある。
なんとか科学的に魔力の存在を取り込もうとしているが、まだまだ謎が深すぎて先が見えない状態だ。
測量班ということで八津との接触も多く、共感できる部分もあるため、わりと意思の疎通はできている。
口の悪さには定評があり、彼の言葉には慣れるまでが大変。だが時間を掛けて性格を知れば、田村の言葉の内容は優しいことが知れる。
ロールは【身体強化】を活かした前線に出ることのできるヒーラー。
能力こそ高いものの柔らかいために前に出しにくい上杉に代わり、そこそこに高い防御力を以って前線の維持に努めている。
あだ名としては『聖女じゃない方』『ワリといいヤツ』などなど。
本人としては大層面白くないらしい。
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出席番号十一
●中宮凛|(なかみやりん)十五歳、女性
●【豪剣士】十一階位:身体強化、平静、視野拡大、身体操作、睡眠、体力向上、一点集中、痛覚軽減、視覚強化、魔力伝導、反応向上、剛剣、聴覚強化
クラス副委員長にして風紀委員タイプな黒髪ポニーのキリリ美少女サムライガール。
当初こそ階位やら技能を前提とした武術を嫌っていたが、生き残るためにはやむなしと受け入れ、さらには圧倒的暴力(十六階位を振りかざすおっさん)のせいで、なんでも使って強くなってやると決意をすることとなる。
目指すは王国騎士たちの持つ基本技能を看破した上で、自らもこの世界の魔力を使いこなし、そこに彼女の持つ技『北方中宮流』を乗せる強者だ。彼女の道はどこまでも続く。それが武芸者のあるべき姿なのだから。
アウローニヤの常識を覆す完全に盾を捨てた両手剣、すなわち木刀一本で戦うスタイルが特徴。両手剣ではなく、木刀だ。
事情を知らない迷宮探索者から見ればなぜ模擬戦用装備で戦っているのか意味不明の極致ではあるが、本人は大真面目であり、さらには調査会議でのやらかしが広まっているため、誰も文句を付けられないでいる。
【魔力伝導】を木刀に掛けることで相手の魔力を削ぎ取ることができるため、魔獣を適度に弱らせて味方に経験値を回すような戦い方も可能だ。
あだ名としては『頭蓋割り』『鈍器』『木の棒』などなど。滝沢先生と並ぶくらいに好き勝手な呼ばれ方をされている。
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出席番号十二
●野来孝則|(のきたかのり)十五歳、男性
●【風騎士】十階位:体力向上、平静、痛覚軽減、睡眠、身体強化、身体操作、頑強、反応向上、視野拡大、視覚強化、風術、魔術強化
騎士職メンバーの中では細身で小柄な文学オタ少年。
身体系技能を概ね網羅した段階で、【風騎士】特有の【風術】にシフトしたことによりほかの騎士たちより高い機動力を持つことになった。本人曰く機動騎士である。元々の体格が小さいことで、周囲に比べ抑え込む能力が一歩劣っていたが、動ける騎士としての境地を開いた。
手本となる【翔騎士】ガラリエからの師事もあり、【風術】を使った移動補助、敵の行動阻害なのを練習しているも発展途上といったところだ。
ロールとしては前衛で敵の攻撃を抑え込む盾職ではあるが、小柄な体と運動性を買われ、移動しながら細かいところに手が届く、ユーティリティ的なポジションを獲得しつつある。
同じくオタ仲間の文学少女
あだ名としてはアウローニヤ呼称こそないものの、自称『空を舞う騎士』『機動騎士』などがある。
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出席番号十三
●佩丘駿平|(はきおかしゅんぺい)十六歳、男性
●【重騎士】十階位:体力向上、平静、痛覚軽減、睡眠、身体強化、身体操作、頑強、反応向上、視野拡大、視覚強化、剛力、広盾
強面でヤンキー風の雰囲気を纏う大柄な男。
ただし買い物上手で炊事洗濯、果ては裁縫までこなし、しかも学業成績は一年一組トップクラスという、実は万能超人でもある。
シングルマザーという環境で培われた技能と性格ではあるが、本人はそれをハンデだとは思わず、むしろ大学に進学する四年間の母親の生活を心配しているくらいだ。
それゆえにクラスで最も強く帰還を願うひとりでもあり、周囲との温度差に思うところも持っている。
アウローニヤに呼ばれてからは上杉料理長と並びクラスの副料理長の立場を確立し、アウローニヤ風の味付けをいち早く取り入れた料理の開拓に余念がない。
ロールとしては【剛力】を主軸としてパワー重視の盾役。【岩騎士】の
あだ名などはとくになし。
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出席番号十四
●疋朝顔|(ひきあさがお)十六歳、女性
●【裂鞭士】十一階位:体力向上、平静、高揚、身体操作、睡眠、魔力伝導、痛覚軽減、身体強化、反応向上、視野拡大、視覚強化、聴覚強化、鋭刃、魔力凝縮
茶髪をウェイビーに伸ばした、見た目はチャラ子。口調もチャラいが北海道弁が多数使われているため、ガチっぽさには届いていない。
だが、そのチャラさが激動のアウローニヤにおいても維持されているあたりが彼女の強さでもあるだろう。曲がらないということは、心の柔軟な強靭さを示すのだ。
さりげに縫物を得意とし、クラスメイトの誕生日プレゼント作成にも貢献している。
アウローニヤに召喚された面々の中で、純戦闘力という観点では現状で一番伸びた存在だ。全くの未経験だったムチを見事に使いこなすようになれたのは生来のセンスと、不断の努力の結晶といえるだろう。さらには器用さでもって短剣をも使いこなすため、ラストアタックシステムが採用されているこの世界では、どこからでも階位上げが可能である。
ロールは中距離物理アタッカー兼索敵。アタッカー統括指揮も可能。
【魔力伝導】をムチに流すことで敵の魔力を削りながらの拘束ができるので、本人のみならず、他者にトドメを回すことも可能な中衛の便利屋的存在となっている。それがどれだけ一年一組のレベリングに貢献しているのか、本人がどこまで理解しているかは定かではない。
あだ名などはとくになし。
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出席番号十五
●藤永陽介|(ふじながようすけ)十五歳、男性
●【雷術師】十一階位:体力向上、雷術、平静、水術、睡眠、魔術強化、痛覚軽減、身体強化、身体操作、魔力譲渡、反応向上、魔力回復、魔力浸透、遠隔化、魔力凝縮
細身の体に長髪ぎみの姿恰好がどうしてもチャラくみえてしまう男。その実は弱気な下っ端キャラだが、一年一組ではそういう藤永はイジメられるようなこともない。
むしろ魔力タンクと細かい指示出しの甲斐もあって、前衛騎士職たちからは厚い信頼が寄せられている有様だ。
クラス内では唯一成立しているペアとして
【雷術師】という強力そうなジョブを得ているが、攻撃はスタンによる阻害効果がメインで、攻撃系術師としては目立つ存在ではない。
なにげになんでもこなせる器用なタイプで、なんでもソツなくこなすせいか【身体強化】をはじめとする身体系技能も取得するに至る。結果、動けて前に出ることができる魔力タンクという、完全なお助けキャラとしての存在感を見出してしまった。
さらには細かいところに目端が効くせいもあり、騎士職たちの細かい調整役を担うまでになったせいで、八津などからは前線専門の指揮担当として仕事を丸投げされることもある。
上記理由により、ロールとしては前衛専用魔力タンク兼スタン係、ついでに前線指揮担当となった。
あだ名などはとくにない。
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出席番号十六
●古韮譲|(ふるにらゆずる)十五歳、男性
●【霧騎士】十階位:体力向上、平静、痛覚軽減、睡眠、身体強化、身体操作、頑強、反応向上、視野拡大、視覚強化、魔力伝導、広盾
クラスのオタクリーダー的存在。ギャルゲーの主人公友人お助けキャラ的な印象を持つチョイイケメン。
八津と並び、ワリとツッコミ気質な明るい性格はどうにもオタクらしくない。
【霧騎士】という神授職は【水術】を得意とするが、現状彼はそちらを選択せず、騎士としての基本セットを取得した上で、敵との魔力を相殺する【魔力伝導】を選択した。
疋がムチ、中宮が木刀に通す魔力を大盾に通すことで敵の弱体化を図るという戦術だが、接触面積が大きいため自身の魔力消費も大きい、いわば相打ち的な戦法となる。
そんな戦い方を選択できるのは、本人の持つ魔力量と魔力タンクたちの存在があるからこそだ。
海藤と並び曲者が多いクラスのバッファー、この場合は緩衝材としての役目を持つことも多い。できるオタイケメンといったところか。
もちろんその中にはクラスの新参者である八津も含まれている。古韮が傍にいなければ八津がクラスに溶け込むまでにはもう少しの時間が必要だったかもしれない。
ロールとしては純粋な前衛盾であり、【魔力伝導】を併用した魔力的デバフを使う騎士ということになる。魔獣の魔力を削る特技から、後衛職のレベリングには大きく貢献しているひとりだ。
あだ名などはとくにない。
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出席番号十七
●奉谷鳴子|(ほうたにめいこ)十五歳、女性
●【奮術師】十階位:体力向上、平静、鼓舞、魔力浸透、睡眠、魔力譲渡、痛覚軽減、身体補強、魔力回復、聖術、魔術強化、解毒、身体操作
背丈が百五十に届かないというクラス最低身長でありながら、一年一組の精神的支柱として君臨しつづけるのが彼女である。アホ毛付き元気ボクロリっ娘という属性過多な少女。
明るく快活で、悲しい時は泣き、嬉しければ笑う。そんなストレートさが、彼女の姿かたちとマッチすることで、周囲に勇気与え続けるクラス最強の天然バッファーとなった。
ロールは多岐に渡り、部隊としては八津に続く副指揮官を担っている。
技能配分からすればバッファーに加え、魔力タンクもこなし、そして【聖術】を取得するに至り、サブヒーラーとしての活躍も可能となった。
直近では【身体補強】を取得したことにより、直接的な意味でのバッファーとして、後衛の戦力強化にも貢献している。
もしも八津がいなければ彼女か疋が『タキザワ隊』の隊長であったと目されているくらいに、しっかりとクラスの皆を見ている存在だ。
あだ名は『御使い』。それ以外にも『魔力渡し』、『迷宮の我が娘』などと、上杉と共にポジティブな意味で癒しとしての存在感を振りまいている。
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出席番号十八
●馬那昌一郎|(まなしょういちろう)十五歳、男性
●【岩騎士】十階位:身体強化、平静、痛覚軽減、睡眠、身体操作、体力向上、頑強、反応向上、視野拡大、視覚強化、治癒促進、広盾
見た目はゴツイ体格の筋肉系男子で、【岩騎士】という堅牢な神授職を持ち、誰かを守るという意志に特化した無口な騎士だ。筋トレマニアでミリオタな馬那には、こんな世界に飛ばされてしまったが故に、いろいろと質問をしにくる者も多い。八津などもその中のひとりだ。
特徴的な技能として自らの治癒速度を上げるレア技能【治癒促進】を持っているため、軽い怪我ならばソレをものともしない戦い方をすることができる。
自衛官志望という意志を持つからか他者を守るという意識が強く、総長との戦闘でも自分より格上のヴァフターの危機に体を割り込ませて重傷を負うハメになる。結果として上杉の【聖導術】覚醒に至ったわけだが、彼にそんな打算があったわけがない。
ひたすら寡黙に目の前の他者を守る。それが馬那の本質である。
あだ名などはとくにないが、本来の意味での『聖なる加護を受ける騎士』とは彼のためにある言葉かもしれない。
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出席番号十九
●深山雪乃|(みやまゆきの)十五歳、女性
●【氷術師】十階位:体力向上、冷術、平静、水術、睡眠、魔術強化、痛覚軽減、魔術拡大、多術化、視野拡大、冷徹、魔力回復、魔力譲渡、鋭刃
アウローニヤに召喚された当初はオドオド系女子であった、アルビノ系栗毛赤目薄幸っぽい少女。
迷宮での戦いの末に得た【冷徹】を使うようになってからは、むしろ本来のポヤポヤ系女子としての本性を現すようになった。天然系キャラというヤツだ。
【氷術師】という神授職から想像される『アイスバレット』的な攻撃は得意ではなく、【水術】と【冷術】を組み合わせた広域系を持ち技にする。代表技として『氷床』と『氷瀑』があるが、前者は床を凍らせることで相手の動きを阻害し、後者は氷片を吹き散らす範囲魔術の様相を帯びている。
その他ロールとしては【魔力譲渡】を持ち、開幕魔術ぶっぱのあとに、後衛のメイン魔力タンクとして動くことが多い。
特徴としては【冷徹】と【鋭刃】の両方を持つことで、柔らかい魔獣ならぽややんとしたまま冷静にトドメを刺せてしまうようになりつつある。十一階位は目の前だ。
ただしヤンデレ系キャラではない。
あだ名としては本人の意志とは関係なく『赤目』『めった刺し』など、物騒なモノが多い。
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出席番号二十
●八津広志|(やづこうし)十五歳、男性
●【観察者】十一階位:観察、体力向上、平静、視野拡大、集中力向上、睡眠、一点集中、痛覚軽減、反応向上、視覚強化、遠視、目測、思考強化、魔力観察、安眠
我らが主人公だが、どうにも弱くて俺つえー展開は望めない上に、勘違いで持ち上げられることもないという、なんとも微妙な存在になってしまった。
メインとなるユニーク技能【観察】で視界内の全てを把握し、【視野拡大】【視覚強化】【遠視】でバフるという情報収集特化型の能力を持つ。
消去法的理屈で一年一組の部隊指揮官という役割を果たすことになったが、本人の努力と取得した技能も相まって、立派にクラスメイトたちを動かす活躍を見せるに至る。
さらにはこれまたユニークである【目測】を使うことで、彼我の距離までをも完全に把握できるため、秒単位、キュビ(八津の肘の長さ、およそ八十五センチ)単位での指示を出すこともできるが、現状ではそれに完全対応できるのは相棒たる綿原のみだ。
そんな能力を持つが故に『指揮官』と呼ばれ、一年一組のみならず、ほかの部隊との連携まで含めての指示出しが彼のロールとなってしまった。アウローニヤの関係者からは高く評価されているが、本人は薄々自覚しながらも勘弁してほしいと思っている。基本的に一年一組依存度が高すぎるのだ。
もうひとつ八津には重要な役割がある。すなわちマッパー。
【観察】の恩恵を受けた八津は、目の前に広げられた地図から、瞬時に状況を把握できるようになっている。そこから脱出を含め、経験値を稼ぎながらも安全性を考慮したルート選定まで。
これこそが八津を『地図師』と呼ばしめる要因である。実は魔獣に溢れるアラウド迷宮探索において、こちらの能力の方が高く評価されていたり。
個人戦闘力という意味では後衛系神授職であることと【身体強化】【身体操作】を持たないため、動き自体は一年一組内で下位に当たる。
それでも【観察】や【目測】を主体とした観察と分析によって、相手の攻撃を見切るという点では何気にクラスでも上位に食い込み、対人戦での回避能力には目を見張るものがあるが、本人は気付いていない。
新たに取得した【魔力観察】は魔力の強弱ではなく、色、すなわち魔力の質を見抜く技能であり、それが今後どのような活躍を見せるかはまだ不明である。
ところでヒロイン綿原との関係はどうなっているのか。
◇◇◇
出席番号二十一
●綿原凪|(わたはらなぎ)十五歳、女性
●【鮫術師】十一階位:鮫術、体力向上、平静、砂術、睡眠、身体強化、魔術強化、痛覚軽減、身体操作、多術化、反応向上、視覚強化、血術、魔力付与
メガネ鮫女。といったらおしまいだが、彼女を表現する場合、これ以上の評価は不可能に近い。
常に自らの付近と、気になる男子、八津を監視するがごとくサメを泳がせるの彼女のスタイルだ。けっしてストーカータイプではない。
青いフレームのメガネをかけた知的クール美人というのがクラス内の評価だったのだが。八津との関わりを深めていくことで一部が先鋭化されて、微妙なポンコツ化も進んでいる。
ハズレジョブ【鮫術師】を授かりながらも彼女はブレなかった。
当初は【鮫術】のみで、実体化もあやふやなサメを出現させていたが、【砂術】を取得することで砂による肉体を。さらには【多術化】で複数のサメを操り、迷宮産の珪砂を用いることで巨大化にも成功する。
勇者拉致事件で【血術】を取得することにより、血だまりからサメを操るに至り、文字通りの【鮫術師】として恥ずかしくない性能を持つこととなった。
直近では【魔力付与】を追加することで、ついに相手の魔力ガードを突き破り、サメによる甘噛みすら可能としている。
ただし本人はまだまだ納得していないご様子。
実に段階的で堅実な成長度合いを見れば、綿原がメインヒロインだということがよくわかるというものだ。
そうだよな? 決してヤンデレ系ヒロインではない。
八津曰く、モチャっとした笑みがチャームポイント。
ロールとしては中距離から衝撃力を持つ砂を使った【白砂鮫】か、粘着を重視した【血鮫】を使い分ける阻害系術師であり、魔術そのものではトドメを刺せない。
しかし彼女は後衛に似つかわしくない【身体強化】と【身体操作】を持ち、勢いの良い掛け声と共に敵を打ち据える、武術家な中宮をして天才肌と呼ぶ通り、強力な物理攻撃力を持つ殴り系術師だ。
主人公が覚醒してヒロインを守るでもなく。ヒロインが謎のパワーアップをするでもなく。
八津と綿原はこれからも肩を寄せ合って、健全に頑張っていくことだろう。
◇◇◇
以上、山士幌高校一年一組二十一名プラス教師一名の紹介でした。
次話はアウロニーヤ人物辞典で、そのつぎからは通常の進行となります。
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