第390話 ヴルム=イィラ
「なんでシシルノさんまで混じってんだか」
「シシルノさんだからじゃね?」
視界に入ったのがあんまりなメンバーだったからか、これまではなんとか小声で抑えてきた一年一組たちからハッキリと聞き取れるような言葉が飛び出した。
観客席も結構な騒がしさになっているから大丈夫だろう。
謁見の間の正面入り口、要は主役たちが入場する門から現れた四人の中に、さっきまで観客席にいたはずのシシルノさんが含まれていたのがデカい。
これは予想外だった。いや、あのシシルノさんならこれくらいやってのけるか。
「
「見えてたけど、さすがに裏方に回るって思ってたんだよ。まさか先頭で登場なんて」
女王様に向けられた刺客がいたのもあって、俺はずっと【観察】と【視野拡大】を使いっぱなしだ。
不審な動きをする者はいないか、出入りする人間はどれくらいか、なんていうのをずっとチェックし続けている。ストーカーになった気分、ではないな。一対一ならまだしも、一対多なんていうのは違うだろうし。
そんな俺だから『緑山』関係者のうち数名が、具体的にはシシルノさんとベスティさん、そしてガラリエさんが一緒になって使用人さんが使う扉から出ていったのは確認できていた。
ベスティさんとガラリエさんは想定どおりなのだけど、まさかシシルノさんがこうも堂々と再登場するとは思っていなかったけどな。
「それにさ、ネタバレはやっちゃダメだろ?」
「そう、ね」
俺の【観察】は外面を見ることができても、内面や行動予測ができるような便利機能を備えてはいない。
せっかくのサプライズなのだけど、事前に中途半端なヒントが与えられてしまうのは、なんかもったいない気もするな。表面だけでも全部が見えるのも善し悪しだ。
いつもどおりに短い声で返事をする綿原さんだけど、サメ映画のネタバレってどうなるんだろう。
襲われますよっていうのは全部に共通するのだろうし、サメの性能とかで差別化するのかな。日本に戻ったら是非ともそのあたりを学びたいと思っているのだけど、綿原さんが提示してくるチョイスが今から楽しみだ。
ひとりで見るのは怖いかもだから、
さて、こちらに広間に敷かれた絨毯の上を行進しながらひな壇に向かってくる集団の先頭を歩く四人なのだけど──。
向かって左から、シシルノ・ヒトミ・ジェサル男爵、ベスティー・エクラー騎士爵、シャルフォ・ヘピーニム騎士爵、そしてヴァフター・バークマットはただの平民。ヴァフターのすぐうしろには同じく平民となったマルライ・ファイベルも続いている。さらにそのうしろはポウテルか。
盾担当のヴァフター、アタッカーを中心としたシャルフォさん、術師を並べるベスティさん、シシルノさんは……、どうやら斥候系の人を連れているみたいだ。
ヴァフターとシャルフォさんたちはわかるのだけど、ベスティさんとシシルノさんはどうやってこんな短期間で人をかき集めたのやら。
「あははっ、色とりどりだねっ!」
「言い様だねえ、バラバラじゃないか」
微妙にダサい新部隊の登場にざわめく会場のお陰で、俺たちが少々声を大きくしても目立つこともない。
ロリっ娘な
彼女たちの言うとおりで、行進している新部隊の面々は、とても同じ部隊とは思えないくらい装備がバラバラだった。
ヴァフターを先頭とする十三人の元第五に所属した騎士たちの恰好は迷宮用革鎧で、部隊カラーの濃い黄色をしている。
シャルフォさんたちヘピーニム隊は、三分隊十九名が王都軍の基本となるカーキ色の革鎧。ベスティさんが率いる術師部隊も同じく革鎧だが、こちらは『灰羽』の訓練用を借りたのか、明灰色だ。シシルノさんが引き連れる斥候部隊は王都軍から引っ張ったのか、こちらもまたカーキ色。というかヘピーニム隊の斥候さん二人はこっちの列か。シシルノさんが好き勝手を言ったのが目に浮かぶようだ。
ちなみにシシルノさんとベスティさんは『緑山』装備の明緑色の革鎧で、これまた色違いだな。
騎士団発足とは違い、武器の携帯はマズいと判断されたのか、全員が手ぶらだ。
短剣すら持っていないし、騎士職がいるのに盾も持ち合わせていない。だからこそ元気に両手を振って歩いているのがよくわかる。
神授職もバラけていれば、装備の色もバラバラ。強いて言えば全員が迷宮を意識した革鎧で統一されていて、緑のマントだけはなんとか揃えているといったところかな。
いや、もうひとつ。全員が元々持っていたはずの部隊章や騎士団章を外し、濃い目の緑色な無地の紋章を左肩に付けているのだ。アレが完成形とは思えないので、暫定であっても統一したってことだろうか。
シシルノさんとベスティさんが『帰還章』を付けていないのは、ちょっと寂しいかな。
それは置いておいて、本当にありあわせをかき集めて、なんとか統一感を出そうとしているのが丸見えだ。だけど、なぜかそれが面白い。
彼ら彼女らは印象に残る限りいつもどおりだ。ヘラっとしたヴァフターや、悪い笑顔がお得意のシシルノさん、陽気なベスティさん、優しげなシャルフォさん、全員が揃って真っすぐ前を向いたままだけど、普段通りのバラバラな表情をしている。
なんだこれ。カッコよすぎだろ。
統一された良さはわかる。俺たちだってお揃いの装備で同じ紋章に誇りを持っているからな。
けれど目の前で行進しているバラバラな格好でいろんな表情をした人たちだからこそ醸し出せる、別方向の一体感はどうだ。
それを作り出した根源が、俺たち勇者を継ぐっていう意志なのだから、これはもうたまらないものがある。自分の身がブルリと震えた気がする。
◇◇◇
「では隊長を迎えましょう」
行進を終え、ひな壇のすぐ下に到着した一団を見下ろした女王様の声が、会場全体に透き通るように響いた。
随分と芝居がかったやり方だけど、そういえば『緑山』の時も
「ガラリエ・フェンタ」
「はっ!」
女王様の呼びかけに、遠く離れた扉付近、並んだ隊列の最後方から大きな声を上げたのは、『緑山』従士にして、勇者の意志を継ぐ新部隊『
四列縦隊になっていた隊列は二列ずつ、中央に人ひとりが通るだけの隙間が空けてある。ニクい演出ってやつだ。
そこをゆったりと……、結構緊張しているのかな、いつもよりぎこちない感じで、女性としては高身長の金髪碧眼な美人さんが歩いてくる。
使命に燃えるその表情は……、やっぱり強張っている。
ガラリエさんはどうやら、主役が苦手なタイプのようだった。
勇者担当者の中でも喜怒哀楽がハッキリして方なのに、いつもそれを隠そうとして失敗するんだよな。
萌える、というのはさておき、俺の中ではガラリエさんへの心配が膨らむのがわかる。
さっきまでの『緑風』の行進で高まった鼓動が、別の方向で高鳴っていくのが。
「……頑張れ、ガラリエさん」
お姉さんキラーの称号を持つ
「ガラリエさん」
「もうちょっとだよ。がんばって」
横一列に並ぶ一年一組一同が、一体となってガラリエさん二十歳に心の底から声援を送り続けているのだ。これはこれで、なんか楽しいな。
ガラリエさんの着ている革鎧は近衛騎士共通だが、『緑山』のものより色が濃い。
左肩に付けた無地の紋章と同じ色合いで、なるほどこれが『緑風』のシンボルカラーということになるわけか。ガラリエさんは隊長が確定していたので、一揃いだけオーダーが間に合ったといったところだろう。
もちろんたなびくマントは俺たちとお揃いのままだ。
新しい風と、引き継がれた何かを纏ってガラリエさんが歩き続ける。
ああもう、新部隊の入場だけで、これだけ感情がジェットコースターだ。
これなら自分たちが行進している方がまだマシなのかもしれない。
場の空気を察したのか、列の一番前に立っているシシルノさんとベスティさんは意地悪な顔で嬉しそうにしている。逆にシャルフォさんやヴァフターなんかは苦笑だな。
会場にいなかったシャルフォさんとヴァフターは、さっきまでこの場で主人公みたいに語られていたのを、控室あたりで聴いていたのだろうか。もしそうでなかったなら是非教えてあげたいとも思うけれど、その機会はもう残されていない。
なんとか兵士の回廊を歩ききったガラリエさんは隊列を抜け、そのまま女王様のおわすひな壇を登り始めた。
転んだりしないだろうな。そういうベタなオチは期待していないから、ホント頑張ってほしい。
◇◇◇
「ガラリエ・ショウ・フェンタ。アウローニヤの剣として、レムトの盾として、そして志を持つ騎士たちを率いる者として、相応しき男爵となることを誓えますか?」
「つっ……誓います」
一瞬噛みかけるも、なんとか宣言をこなしたガラリエ男爵に、俺は心の中で喝采を送る。
なんかこう、会場中からも温かい拍手が響いているし、観客の表情も柔らかい。一部の負け組は例外だけどな。
けれどこうして広間に一体感をもたらしてしまうなんて、ガラリエさんって隊長になる風格みたいなものがあるんじゃないだろうか。などと、同じくタキザワ隊隊長の俺は思ってしまうのだ。
ま、まあ俺の場合は人望で人を動かすタイプじゃないけどな。
「あなたを新たなる部隊。その名も王室直轄迷宮特務戦隊『
「ぶふぉっ」
女王様から飛び出した単語にイケメンオタの
忍者な
さっきから『緑風』関連のイベントは、一年一組の心や腹筋に攻撃をかけてくるものばかりだぞ。今後のことを考えれば攻撃的でなによりなんだけど、俺たちはいちおう味方のつもりなんだけど。
お世話になったみなさんを招いて離宮で開催した宴会で俺たちは出し物をやったわけだが、逆にやり返されているような気分なるな、これ。
それにしても『戦隊』ときたか。たしかに『緑風』は現時点ですら五十人を超えているわけで、単一の部隊としては規模が大きい。八分隊レベルだもんなあ。
かといって大隊とか騎士団を名乗るには小さいのだ。よって戦隊。理屈はわかるし、王国は正式名称プラス俗称で名前を付けるのが通例だから、そういうネーミングになるのは理解できるのだけど。
「鎧の新調が間に合わなかったのが、心残りです」
女王様の前に跪いたガラリエさんが立ち上がるところを見届けたアヴェステラさんが俺たちに振り向き、心から残念そうな表情を浮かべて言う。
戴冠式に間に合わせるためか、それとも俺たちへのサプライズか、たぶん両方の意味を込めてのこの光景なんだろう。
なにせヴァフターたちの勧誘なんて昨日の話だ。シャルフォさんたちヘピーニム隊も似たようなタイミングだったはず。昨夜の宴会に出席できなかったアヴェステラさんやヒルロッドさん、昼間に女王様と接見していたシシルノさんたちは、もしかしたらこのために奔走していたのかもしれない。
だとしたら、やられっぱなしだな。
こんな盛大に新部隊の行進を見ることになるとは思っていなかった。もっとこじんまりと、欠員混じりで建前だけのお披露目になるものだとばかり。
それこそガラリエさんとベスティさんだけの紹介とかになるのかと。
「事前から予定してあったからといって、陛下ばかりがズルいとまで思ってしまいました」
続けて発せられたアヴェステラさんの言葉の意味は、ちょっと捉えかねる。女王様がズルい? あのドレスアーマーがってことだろうけど。
「ではフェンタ隊長、隊の紹介を」
「はっ! ベスティ・エクラー、シャルフォ・ヘピーニム、シシルノ・ヒトミ・ジェサル。壇上へ」
女王様に促されたガラリエ隊長は、四列の先頭にいるメンバーのうち、三名を壇上へと招いた。
ハブられた形になるヴァフターだけど、さすがになあ。本人も納得顔だし、今回は我慢してもらうしかないだろう。アレはアレで大人の人だし呑み込めているはずだ。
功績を上げていけば、そのうち……。って、なんで俺はヴァフターたちの心配をしているのだか。
「ベスティ・エクラーには副隊長と術師の統括をお願いします」
「了解です。隊長!」
ガラリエ隊長の初命令はベスティさんの副隊長就任であった。
昨日の夜に『レイ』という名を俺たちからもぎ取ったベスティさんだけど、どうやらこの場では使わないらしい。男爵になるっていうのはどうなったのやら。
爵位には興味がないけれど仲間外れはイヤだという、なんともベスティさんらしい発想なんだろうなと思ってしまう。いつか名乗る時はくるのかな。
観客席からこちらを見つめているアーケラさんもまたしかりだし。
「シャルフォ・ヘピーニムは前衛職の統括です」
「了解しました」
「シシルノ・ヒトミ・ジェサルは索敵班長と、部隊指揮を任せます」
「了解いたしました。エクラー隊長」
ガラリエさんの指示にシャルフォさんは真面目顔で、シシルノさんは芝居がかった不真面目顔で返事をした。
シャルフォさんが前衛を取りまとめるのはわかるし、シシルノさんに索敵班長をお願いするのも理解できる。
だけど、部隊指揮までもか。たしかにこのメンバーならシシルノさんが適任なのはそうなんだろうけど。何気に勇者との同行期間が一番長い人でもあるからなあ。
「そして、アヴェステラ・シ・フォウ・ラルドール閣下」
「なんでしょうか、エクラー卿」
そしてガラリエさんは、続けてアヴェステラさんの名前までも呼んだ。
お互いに一段階偉くなった二人は白々しい肩書で呼び合うのだが、そこに距離は感じない。
質問への返事も待たず、アヴェステラさんは女王様の横から当たり前のように進み出て、ガラリエさんの脇を抜けてからシシルノさんたちの列に並んでみせた。絶対打ち合わせ通りの内容だろ、これ。
「特別指揮官をお願いしても、よろしいでしょうか」
「喜んでお受けしましょう」
◇◇◇
『新部隊の指揮官、ですか』
『ヤヅさんから見て誰が適任か、正直に教えてほしいんです』
つい三日前、最後の迷宮泊の夜にあった会話だ。
これまで何度となく出てきた話題だったが、最終確認とばかりに俺に迫るガラリエお姉さんの図である。横で威嚇しているサメをチラ見しながらも、彼女は引こうとはしなかった。
魔獣の群れに対し部隊規模を大きくすることで対応する、索敵を厳密にして常に経路予測を怠らない、後衛職による阻害攻撃の重視、などなど。俺たちはアラウド迷宮の常識にいくつかの石を投げ込んだ。
知識チートというわけではなく、一年一組全員が揃って強くなるための方便がたくさん混じっていたのはご愛敬だな。
そんな中で魔力量に優れる『勇者チート』や同一色の魔力という『クラスチート』とは違い、アウローニヤの人たちでも導入可能で、効果が大きく思えたのが『責任者』と『指揮官』の分割だ。
アウローニヤの常識で両者の区別をすることは少ない。
偉い人が指揮をする、それが当たり前。さらにはその偉い人というのが、貴族的地位だったり家柄の影響に異存してしまうのが問題なのだ。
一年一組は絶対的な能力主義という考え方をしない。
どちらかといえば、明らかに向いていないコトをやらせないだけで、向いているからといって必ずソイツにやらせよう、なんて話にはならないのだ。むしろ推薦や立候補、言い出しっぺが重要視される。
ウチのクラスの責任者は
面白いのはそこから先。
サメ使いな
ならば指揮官としての俺はといえば、どちらかといえば推薦だ。それも消去法的な。
【観察者】なんていう謎な神授職のお陰で戦闘に向かないとなれば、せめてその【観察】でうしろから指示を出していろ、と。悪く表現すればこうなる。
綿原さんと同じく、結果としてはそれがハマって、俺はこうして迷宮委員として戦闘指揮を担当している。
新部隊を結成するにあたり隊長をガラリエさんがやるからといって、それがそのまま戦闘指揮担当とはならないという考え方を、当時は名前も知らなかった『緑風』は積極的に導入しようとしたようだ。
それこそが勇者風だからと。もちろん理屈が通っているからこそだけどな。
で、俺はそれほど難しい理由は要らないと思うクチだ。
まずは前衛で魔獣と近距離で渡り合うメンバーは除外。この段階で前衛職は遠距離系でもない限りアウトになるな。前衛職偏重のアウローニヤスタイルとは真っ向から反することになるが、そういうのはキャルシヤさんとゲイヘン軍団長が研究すればいい。勇者スタイルの全部が全部、正解というわけではないのだから。
俺の感覚からすれば、とにかく必要なのは理由に基づいた判断だ。それに必要な反応の良さと目の良さ、視界の広さがあれば、誰でもいいんじゃないかな、と。
『基本はシシルノさんでいいんじゃないですか? 忙しくて同行できないならベスティさんで』
だから俺はあっさりと回答したのだ。
『やっているうちに向き不向きが見えてくるかもですし、何人かで試して、一番いい感じになった人にすればいいと思います』
なにせシシルノさんは【魔力察知】と【魔力視】を持っている。さらには【視覚強化】もだ。【反応向上】や【思考強化】こそ所有していないが、階位を上げれば取れるだろうし、そもそも地頭ならば俺なんか及びもつかない。
俺が『全部が見える』指揮官ならば、シシルノさんは『判断の適切な』指揮をするんじゃないかと思ったのだ。
『けれどなんですけど、本当に一番向いてるって俺が思うのは、アヴェステラさんなんですよね』
地上勤務が多いアヴェステラさんの名を出すのにちょっと悩んだが、俺の知る範囲だと、やっぱり推したくなるんだよなあ。
◇◇◇
翌日俺が総長の影にヤラれて迷宮はお開きになり、この話題は有耶無耶になった上に、今日になってこんなサプライズイベントがあるとは思っていなかったので、指揮担当については意識の外だった。
「ラルドール閣下は迷宮泊も経験済みですし、期待しています」
「ええ。お任せください」
ひとり事務官の制服で革鎧を着ていないアヴェステラ伯爵は、ガラリエ男爵に恭しく頭を下げた。
なるほど、だからさっきアヴェステラさんは鎧が間に合わなかったのを悔やんでいたのか。
かといって式典の流れ的にアヴェステラさんが初手から『緑山』の革鎧ってワケにもいかないだろうし、途中で着替えようにも隙間が無かった。
それはさておき、アヴェステラさんの技能構成は、基礎能力の上昇を重視する一年一組の考え方に近い。しかも指揮官向きときた。【疲労回復】【体力向上】【思考強化】【集中力向上】【反応向上】【視覚強化】【聴覚強化】【睡眠】【平静】。
クーデターに備えて万全を期したのもあって、魔力不足がちではあるが非戦闘系の斥候兼指揮官としてならば、むしろシシルノさんの上を行くくらいだ。
強いていえば、実戦経験が浅いという欠点を持つのがアヴェステラさんだが、それこそ場数で勝負してもらえばいい。
なにしろ俺たちだって迷宮に入るようになってふた月程度なのだから。
当面はシシルノさん、ベスティさん、参加できる時はアヴェステラさんが指揮官を試してみる。そういう方向性だな。
それとなにより、アヴェステラさんが普通に迷宮行に付き合う姿勢になっているのが、なんか嬉しい。
アウローニヤ全体の意識改革というか、内務卿なんていう文官のトップになった人が、自ら進んで迷宮を目指すなんて、これはもうお手本中のお手本だろう。
「では『ガラリエ隊長』、わたくしにはどういった役目をいただけるのでしょう」
俺たち勇者サイドが納得ムードになりかけたタイミングでそんなコトを言い出したのは、アウローニヤの女王様だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます