第11話 好きにして

 後輩にお風呂で蹂躙された後、脱衣所で私は後輩に体を拭かれていた。


 「ねぇ、渚。体くらい自分で拭けるんだけど……」


 「駄目です。先輩の心を傷つけた償いですから!」


 うーん。償いというか、後輩の楽しみじゃないかこれ?

 さっきから何度も胸ばかり拭いてるし。


 「先輩、今日は遠慮しないでくださいね」


 「私は渚に遠慮をしてほしいな……」


 まぁ冷たい態度を取ってしまった償いと考えれば何とか……

 だから、胸はもういいって。


 体を拭かれた後は服を着て、髪の毛を乾かす。

 私の長い髪は乾くまでに時間がかかるので、後輩にドライヤーを譲る。


 「先に乾かしちゃっていいよ。私時間かかるから」


 後輩の髪は肩口までの長さなので、私よりは早く乾くだろう。


 「わかりました。パパッと乾かして、先輩のこと手伝います」


 忠誠心がすごいな……。まぁいいか。


 「わかった、お願いするね」


 ブーンとドライヤーの駆動音が聞こえる。後輩が髪を乾かしている間に、私はタオルを使って髪の水けを取る。


 後輩のほうを見ると、髪をなびかせながらこちらを見ている。

 目が合うと後輩がニッと笑って、


 「私の顔に何か付いてますか?先輩」


 そんないい顔で私のセリフを取らないでほしい……。


 「なにもないよ。ただ、夜ご飯食べていくのか気になってさ」


 「紫苑さんからお誘いを頂いたのでご馳走になるつもりです」


 母さんめ。勝手にそんな約束をするなんて……。


 「あっ、先輩もしかして嫉妬してます?お母様と仲がいことに」


 「してない。ただそういうことは事前に…」


 いや、無理か。スーパーで会った帰りって言っていたし、突発的な約束なのだろうから。


 「それより、後輩。昨日は、なんでいきなりあんなことしたの?」


 結構気になっていた。後輩の昨日の態度、行動が。

 時間を置くことで気持ちも落ち着いたし、聞いておきたかった。


「あっ、あれは。つい勢いに任せてというか、気持ちが早ってしまったというか、その……。先輩を見たら抑えられなくて」


 私は何かのフェロモンの様なものが体から出ているのか?

 抑えられないって……。


「今は大丈夫なの?その症状」


「はい、お風呂で補充しましたから、先輩成分」


 そっかー。

 あれは補充行為だったのか。


 ブーンという音が止まる。

 どうやら、後輩のドライヤーは終わったようだ。


 「じゃあ先輩、私に任せてください!!」


 ドヤ顔で後輩がドライヤー握り、私の背後に回る。


 「はいはい、好きにして…」


 後輩の乾かし方は、見ていて丁寧に乾かしているのがわかったので、私は特に抵抗することなく後輩のされるがままになった。








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 2日ぶりの投稿です。

 もう一つの作品と同時並行で更新していきます。

 

 

 


 


 

 

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