第7話 おかしな私

 昨日のことはよく覚えていない。……いや、思い出したくない。布団を抱き寄せてうずくまる。


 いつも癖で枕元に手を伸ばす。あれ?スマホがないな。まぁ……リビングに置いてあるか。


 それよりも……失敗したなぁ。まさか、後輩が攻めてくるなんて思いもしなかった。おかげでキス待ち顔は撮られるし、腰は抜かすし、後輩に抱きしめられながら説教されるしで大変な目にあった。 


 思い出すと顔が赤くなっていくのを感じた。唯一の救いとして今日は土曜日だ。昨日あんなことがあった後輩と会う心配はない。それに、会ったらきっとまともに話せない。


 うーーー、駄目だ駄目だ。考えれば考える程、頭の中が後輩のことで埋まっていってしまう。布団をまくり、起き上がる。気分を変えよう!!


 本棚から適当に小説を取り出す。ベットの上に腰かけて、ページを捲る。


 タイトルを見ずに取り出したが、捲っていくうちに気付く。どうやら恋愛小説だったみたいだ。


 失敗した。気分転換するはずが、余計に後輩とのことを考えさせられてしまう。


 本を閉じテーブルに置く。はぁ~。


 外に出ようかと考えたが、後輩に会う可能性があるからこの案は拒否だ。こんな調子では、月曜日に後輩から逃げまわる羽目になる。


 後輩が元凶とはいえ、それはさすがに後輩に悪い。


 対策を考えないと……


 ピンポーン


 インターホンがなった。宅配は頼んでないし、特に連絡は来ていなかったはずだから友達じゃないだろうとなると、チラシ類かな?


 画面から見ると、後輩が立っていた。……よし。居留守しよう。


 そもそも、人前に出られる状態じゃない。髪はぼさぼさだし服装は寝間着のまま。自分に言い訳をして結論を出す。


 だからこそ、居留守だ。


 ピンポーンともう一度インターホンが鳴る。


 「先輩、いませんか?昨日忘れていた携帯を届けに来たんですけど……」


 スマホ、後輩の家に置いて帰っちゃったのか私。


 仕方ない、会話ボタンを押して応答する。


 「ポストに入れておいて。まだ寝起きでさ、人前に出れる格好じゃないから」


 「わかりました。入れておきますね」


 後輩が一泊置いて昨日の出来事を謝ってきた。


 「昨日はごめんなさい。先輩にいつも揶揄われていたから……つい、やり返してしまって。昨日の写真ちゃんと消しましたから」


 「うん、ありがとう。別に気にしてないからっ///」


 画面越しなのに照れてしまった。こちらの照れが伝わっていないといいけど。


 「そうですよね……それでは私は帰りますね?」


 「……またね」


 「はい、また」


 帰ってくれた……かな。後輩と話していただけなのに、緊張していたのか手には汗が滲んでいた。


 とりあえず、スマホを取るためにドアの鍵を開けてドアを開ける。


 私の今日最大の失敗は、この時にドアスコープから外を確認せず、ドアを開けた時に周りを確認しなかったことだろう。


 ポストまで行きスマホを手にして安心したところで、声をかけられた。


 「先輩♪おはようございます。良い朝ですね?」


 顔を上げると、陽に照らされて輝く後輩の笑顔があった。


 


 





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 後輩が強すぎるな……どこかで先輩に攻めさたい


 昨日投稿したXmas SSはだいぶ先の先輩後輩の話です。

 まだ、本編は5月ですからね



 

 

 


 

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