第5話

ゲームは驚く程順調で、ある程度の部隊を倒し残る部隊数は俺たちのを含め3部隊となっていた。


Lさんの成長が早く昨日一緒にやった時とは見違えるほどAIM(敵に照準を合わせる能力)が良くなっていた。恐らく昨日俺が眠ったあともやり続けていたのだろう。


もう射撃能力は俺と同等レベルまで上がっていたので俺は自分が得意な指示役兼サポート役に回っている。


Lさんは射撃能力こそ磨かれているがやはりまだ初心者という事もあり、試合の立ち回りや咄嗟の対応力は未成熟なので俺がサポートする形だ。

これが意外とハマりここまで順調な試合運びができている。


「おっ、敵が撃ち合い始めましたね。画面右上の戦闘ログで1人倒れたら少し近づいてみよう。」


「りょーかい!」


残り2つの部隊が戦い始めてくれたのはラッキーだ。このゲームで1番リスクを抑えて戦闘で勝つのは俗に漁夫の利といわれる戦法で敵同士が戦いあってボロボロになった所を狙って一気に倒すという少しせこい戦い方に聞こえるがFPSで勝利することにおいては必須レベルとなる戦い方だ。


「よし、1人倒れた。Lさん一気に詰めましょう!」


「うん!私が前に出るね!」


今回俺はサポート役に徹する為、そしてLさんに撃ち合いをたくさん経験してもらうようにLさんが前に出て火力を出し俺が後ろでサポートをする隊形を組む。


相手が満身創痍だった事もあって無事撃ち合いに勝利し、チャンピオン(試合の勝者)になることができた。


「やった〜!いくとくんっ!今の試合すっごく良くなかった!?」


「うん。凄い良かったね!Lさんも凄かった」


「全部いくとくんのおかげだよっ!ありがとうー!」


「いやいや、俺はサポートをしただけでLさんが強かったから勝てたんだよ。ナイス!」


「ほんとっ?えへへ、ありがとうね!にしてもまさか1試合目から勝てるなんてね!」


1試合目からチャンピオンになる事ができたのは俺自信正直驚いている。恐らくLさんとプレイスタイルの相性が良いのだろう。


その後、結局夜になるまでLさんと一緒にゲームを楽しんだ。


「あ、もうこんな時間か。ごめんLさん俺そろそろ落ちるね」


時計を見ると針は午後7時を過ぎたところだった。


「うんわかった!ごめんね長い時間」


「ううん、楽しかったし全然大丈夫それじゃあまた」


「あっちょっと待って!」


Lさんが突然何かを思い出したかのように声をあげた。危ない…ゲームの電源落とすところだった…


「どうかした?」


「あの…いくとくんが良かったらでいいんだけど…ゲームで色々聞きたい事があるから連絡手段が欲しいなぁ〜…って」


うん?俺の聞き間違いでなければ連絡先の交換を求められているのだが…?まさかな…

一応確認しておこう。うん。


「それは…連絡先を交換したいって事で合ってます?」


「うん…迷惑じゃなければで良いんだけどやっぱりダメかな?」


うーん。俺を信頼した上で言ってくれているのであろうからこんな事を思うのは失礼なのだろうが少し警戒心がなさすぎるのではないだろうか…


顔も知らないネット上だけの関係の相手に普通連絡先の交換など求めるだろうか…もし危ない人だったらとか考えないのだろうか…

それとも最近の女子って皆こんなものなのだろうか…


「いや…俺は全然構わないんだけどLさんは良いの?その…一応顔も知らない相手でましてや男だし」


「うん!いくとくんが優しい人だって事は分かってるから!私だって知らない人と誰とでもこんな簡単に連絡先交換しようなんて言わないし!」


信頼してもらっている事は素直に嬉しいが連絡先の交換などそういった事はもう少し慎重に行うべきだ。


「でも、俺も良い人を演じてるだけかもしれないし…」


「ふふっ。ほんとに悪い人はそんな事言わないよ。私はいくとくんだから一緒にゲームをしたいし色々な事を話したいとおもってるんだよ?」


そんな事を言われてしまったら何も反論できない…ってか反則だろ…


「いくとくん?やっぱりダメかな…?」


「あぁ、いやなんでもない。交換するのはDiscordとLineどっちがいいかな?」


俺としてはゲーム関連でよく使うDiscordが望ましいのだが…


「でぃすこーど?ごめんそっちはダウンロードしてないからLINEでお願いしますっ!」


うん…しょーがないか。ダウンロードしてないんだもんな。


「分かった。じゃあゲーム内のチャットにID貼るね」


「ありがと〜!…うん!申請できたよ!」


LINEを開いて確認すると確かに友達申請がきている。

それと母親からご飯になるから1階に降りてこいとの連絡も入っている。


「うん。確認したら届いてた。ごめん時間なくてもう落ちるね。後で友達申請承諾しとくから!おつかれさま!」


「あっうん!お疲れ様!またね!」


ゲームの電源を切って下の階へと向かう。LINEの画面を確認して友達申請の欄に 雨宮璃紗 というアカウント名からの申請を承諾する。

どこかで聞いた事のある気がする名前のような…?まぁ気のせいか。




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ゲーム友達の女の子をいつの間にか攻略していた りゅうさん @Chronoir1212

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