第3話
入学して4日目。
今日は午後から各種身体測定を行うとの事で授業は午前中で終了した。
身長と体重、視力、聴力、眼の検査をそれぞれ別の教室で測定を行うようで俺たち1組の生徒はまず身長と体重の測定をする為に保健室へと向かう。
測定が終わると保健室の先生から結果を記された紙を手渡された。
そこには身長と体重そして筋肉量や骨量など善し悪しがわからん数値等も一緒に並んでいた。
俺の結果は身長170cm体重47kgと去年よりも身長が1cm程伸びていたので素直に嬉しい。
…体重が変わっていないのは食事が面倒で抜くことが頻繁にあったからだろう。そろそろ痩せ型から脱却したい...。
次は視力検査を教室で行うらしくやけに長い廊下を歩いていると後ろから突然1人の男子が隣に並んできた。
「なぁ
(誰だろうか…面識がない男子である事に変わりないがまだクラスの人の顔と名前が一致していないので本当に誰だか分からない...とりあえず返答しなければ)
「ご覧の通りだよ。結果の善し悪しが分からないから何とも言えないけど」
と、俺は持っていた用紙を見せる。
「痩せてんなぁ...ちゃんと食ってるのか?あ、ちなみに俺はこんな感じ」
俺に倣ってかあちらも用紙を見せてきた。
身長はほぼ俺と同じで体重はおそらくこの歳の平均程だろう...俺と違って非常に健康的だ。名前の欄を見ると
「健康的だな。筋肉量の数値も俺よりだいぶ高いしスポーツでもやってるのか?」
「おぉよく分かったな!小学生の頃からずっとバレーやってるんだ!」
ただならぬ陽の気に引け目を感じるがこちら陰キャとしても気さくに話しかけてくれた方が話しやすい。
「じゃあやっぱバレー部に入るのか?」
「おう!そのつもりだぜ!郁杜はどっか入るのか?」
「ゲームしたいから今のところ特にその予定はないかな。」
「おぉ!ゲーム好きなのか!俺もやるぜ!メロンゲームとか!お前はどんなのやるんだ?」
「銃で撃ち合うゲームとか格ゲーとか色々触るよ。その日の気分によってやるゲームは変わるけどな。」
他愛のない会話をしているといつの間にか教室へとたどり着いていたようで先に来ていた何人かが既に検査を初めていた。
「俺ちょっとトイレ行ってくるわ!」
教室横のトイレを目にして思い出したかのように晴希はそう言ってトイレへと向かっていった。
その後も晴希と共に行動して残っていた測定を全て終わらせた。
「なぁ郁杜、3組のアイドル知ってるか?」
帰りの準備をしていると晴希が唐突にそんなことを聞いてきた。
「3組のアイドル?アイドルやってる人がいるのか?」
聞いた事がない、というか聞く伝手がないのでもちろん知っている筈がない。
「いや、そうじゃなくてそれくらい容姿が整っててもう既にクラスのアイドル的存在になってる
「へぇー。そりゃその人も気の毒に」
俺からしたらぼっちより人気者になる方が圧倒的に辛く思える。人気者になるということは必然的に学校での振る舞いや全ての行動に周りからの視線が付き纏うという事だ。
それは相当神経がすり減ってしまうことだろう。
そんな事を思うと同時にふと先日ぶつかりそうになった女の子の事を思い出す。
(そういえばあの子もアイドル顔負けの顔してたな...)
その後晴希に別れの挨拶を済ませ足早に帰路についた。
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