第101話不祥事

総理がアニメ業界支援を発表した翌日

プライベートルームでくつろぐ総理


しばらくすると凄い勢いでドアを開け番場が入ってくる


「ふぅ〜もう慣れましたが出来ればノックしてほしいな〜」


番場「そんな事はどうでもいい…これを見ろ」


手に持っていた週刊誌を机に置く


「おっ! アニメの方ですか? やっぱり年金の方が話題になっていますか?」


週刊誌を覗き込むと男女4人の写真が載っている


「うん?誰ですか?芸能人とかですか?」


番場「違う…よく見ろ! この男性は2人共大臣だ」


「ゲッ」


記事には未成年女性と飲み会 お酒を呑ませる


と大きな文字で書かれている


番場「2人共 我々が国民から選んだ大臣だ…

任命責任を問われるぞ」


就任当初 若くて優秀な人材ならと番場 堀田に選ばせた大臣2人の不祥事…


「今すぐ2人に連絡つきますか?」


番場「堀田が2人を連れて来る」


「えっ…直接会うんですか?モニター越しのつもりだったのに…そんな〜」


番場「馬鹿か…すぐ対処しないと支持率低下する」


「くっ…なんだか嫌なタイミングですね…せっかく仕事を覚えてもらってたのに…私なりに今後のビジョンを描いていたのに…」


番場「とりあえず事情を聞いてから どうするか考えよう」


堀田が2人を連れ入室


堀田「2人を連れて来ました。」


「はい…どうぞお座り下さい…あ〜あんまり私を直視しないでくださいね」


堀田「え〜コチラが多田さんで37歳 元弁護士

 こちらが神木さんで42歳 元エネルギー学の専門家です。 当然ですが いきなり大臣になるほどの方々ですからエリート中のエリートです」


「はい…とりあえず事情を説明してほしいですね。」


多田「違うんです総理…我々は ただ飲みに誘われただけです。」


番場「誰に?」


神木「鈴江議員です。正確には鈴江議員の秘書から我々の秘書を通してです。」


「鈴江議員ですか…」


番場「元財政大臣…現在 大臣ではないが国の財布 財政省との敵対を避ける為 とりあえず大臣のグループに相談役として所属させている」


「残念ながら国の財布は私ですがね…ハハハ

官僚 財政省にとって私ほど邪魔な存在はいないでしょう」


多田「参加は自由で他の大臣にも声がかかってると聞いて当然 政治資金でもなく議員 自らの給料で割り勘と言う話だったので行ってみたら我々2人しかいなくて…」


神木「それで待ち合わせ場所で待っていると女性2人に声をかけられて鈴江議員の行きつけのガールズバーの従業員で本人は少し遅れてくると聞かされたんです」


番場「それで未成年と飲んだ…相手は無理矢理飲まされたと言ってるようだが…」


多田「そんな事はしてない! 未成年とは分からなかったしガールズバーの店員だと聞いていた…」


神木「結局 鈴江議員は来なかったので後日 本人に聞いてみたら そんな話は知らないと言われました。自分の秘書に確認したら話をもってきた鈴江議員の秘書も それ以来 見かけてないと言われ不安になってガールズバーまで確認に多田さんと2人で行きました…ガールズバーがあった場所はレンタルスペースで1日単位で誰でも借りられる土地で その場所に もうガールズバーはなかった」


「なるほど…証拠は何もないと…」


多田「我々は騙されたんです」


「そうかもしれません…しかし大臣としての自覚が足りない…もしかしたら私の任命責任を問う為の罠で お二人は被害者かもしれませんが…」


神木「我々はどうすれば? 謝罪会見をさせていただきたい」


「申し訳ないですが議員を辞めていただきます」


堀田「2人共 超エリートです…大臣から外して議員として残す選択肢もあるかと思います」


「駄目です…私は最初に約束しました…悪い事をすれば大臣でも議員を辞めてもらうと言ってます…例え副総理だとしても私は こうします」


堀田「でも悪気があった訳では なさそうです。」


「2択です。自分で辞めるか私がクビにするか…私がクビにする場合は公民権も一定期間停止します。選挙に出れません」


2人共うなだれ諦めた様子


「私を恨んでもかまいません。お二人共 私より若く優秀なので職に困る事はないでしょう。

いずれ政界に復帰するでもいい…応援してます」


2人を退出させる


堀田「せめて鈴江議員に一度話を聞いてからでもいいと思います」


番場「いや…証拠がない…無駄な時間だ…」


「恐らく彼らの話は本当だと思います。しかし未成年と飲んだ事実は変わらない。」


堀田「謹慎処分でも良かったのではないですか…せっかくの優秀な人材」


「………本音を言えば そうしたい…私も彼らの経歴は ちゃんと調べてあります。特にエネルギー学の神木さんには残っていてほしい。我々が喉から手が出るほどほしいエネルギーの研究者…再生可能エネルギーとメタンハイドレートの研究者」


番場「メタンハイドレート

次世代エネルギー 燃える氷か

シェールガスに続く新エネルギー

実現出来れば我々の国のエネルギー問題解決 エネルギー輸出国になれるほどと聞いた事がある」


「その認識は間違っているみたいです。全てを取り出せる訳ではなくコストもかかり実現にも まだ時間がかかる…実際には輸出なんて とんでもない 自国だけでも10年ももたない と言う話もあります…しかし可能性はある…

彼にはいずれエネルギー大臣でもエネルギー庁 長官にでもなってもらいたかった…」


堀田「そこまで考えていたなら なおさら…」


番場「いや…この選択は正しいと私は思う。

今までの政権は ころころと意見を変え口約を守らず倒れてきた…」


「そもそも この1年ほどの期間 いくら私の独裁政権と言っても ほとんど邪魔が入ってない方が不思議でした。議員の給料は下げてないですが政策活動費も私の許可がなければ渡してない…パーティーも禁止…議員の収入は 恐らく半減していると思います。賛同している議員もいると思いますが政界に長くいる方々は不満な議員の方が圧倒的に多いはず…」


堀田「それはクビや解散が怖くてじゃないですか?」


「当然それもある…しかし それだけではないと私は思っています。私は馬鹿ですが勘は悪くない…恐らく敵が多い私を守ってくれている人物がいる」


番場「だろうな…私は ずっと前から そう感じていたが総理が気づいてないなら それはそれでいいと思って あえて言わなかった」


堀田「えっ…そうなんですか?」


「何をしているかは分かりませんが数少ない私の仲間で こんな事出来るのは1人しかいません…彼には一生 頭が上がりませんね…

やはり最初に仲間に引き入れて正解でした。」


堀田「えっ…副総理ですか?」


番場「他に誰がいる…中田に そんな力があるわけない…」


「我々の邪魔が入らないよう色々動いてくれているんだと思います…今回の大臣達の問題まで手が回らない状態なんでしょう…」


堀田「それなら お礼を言うなり話を聞いて副総理のサポート人員増やしてあげるとか…」


「ハハハ…そこは気づいてないふりをしてあげて下さい…カッコ悪いと言うか恥ずかしいと言う気持ちになります…心の中で感謝していればいいんです。我々は前進あるのみ…

とりあえず会見です」






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