第75話代表

翌日 NPO法人 ボランティア 失踪外国人の駆け込み寺 の代表達とリモート会議が行われる


「皆さん 初めまして 萩原です。

今回 皆さんが保護された外国人実習生の方々に協力をしていただきたくて 連絡しました。」


NPO法人50代男性の代表が強い口調で話す


今までの政府の対応が よほど気に入らない様子


「申し訳ないが総理からの要請でも無理だ…彼らは心身ともに憔悴しきっている …夢と希望を胸に抱き借金までして来た結果が奴隷扱い…分かりますか? 1日15時間労働させられ2週間休みなく働いて2万YENしかもらえなかった…中には1ヶ月無給の者もいる…

ビザも切れ帰国出来ず 帰れたとしても自国で働いても借金を返せない…八方塞がり…我々に運よく発見された者は まだマシなだけ…」


「はい…私も最近まで勉強不足で そんな現実 知りませんでした。申し訳ないです…

外国人技能実習制度…これは今後廃止しますが第1の政策に目処が経つまで待っていただきたい…後1年ほどで廃止します。

その代わりに彼らの失踪…これは罪に問わないと約束します。圧倒的に こちら側の責任です…」


代表「それは助かるが本来 当たり前の彼らの権利だ…」


「はい…但し どんな理由であれ人に危害を加えたなどが あるならば その罪は許しません… 例え自分が虐待を受けてたとしてもです…関係ない人を傷つけるのは ただの 八つ当たりですからね…暴力では何も解決しません…やられたら やり返す って時代は もう卒業しましょう」


代表「我々の保護下にある者に そんな人間はいない…職場から逃げ出し食べる為に

窃盗や悪い仕事をする者も確かにいるが

我々のような団体に保護されてない者や生きる為 借金を返すために仕方ない連中がいるんだ」


「はい…確かに生きる為になら

やむを得ない かも知れませんね…こんな制度を作った国が悪いです…本当に

すいません…

ただ

私も人生で何度も何度も失敗して来ました…逃げ出した時もありますし騙された事なんて沢山ありますから 少しは理解出来ます…

だが今回の問題は 彼らを 強制的に入国させて無理矢理 奴隷のように扱った訳ではいない…騙されたのかも知れない…被害者で ある事も間違いない…

しかし今や実習生としてアジアから入国された方々も母国で携帯やパソコンを持っている時代です…ネット環境が ある中で 借金してまで入国されたのは自分が決めた事でもあります…投資でも人に勧められて例え負けたとしても最後に決めるのは自分で全て自己責任です…自分の調べが甘かった面も少なからずあります…弱い人間の味方で ありたいですし助けてあげたいですが全て おんぶに抱っこ という訳には行きません…私も過去の失敗を自分で やり直して来ました…いい勉強をしたと思うしかない時もあります…


私は あなた方NPO法人やボランティア活動されてる方を尊敬しています…そんな

活動した事もないですし 人格者ではないです…なので申し訳ないですが一定ラインで線引きして物事を考えてます。

無条件に全ては救えません…彼らが傷ついた事は承知してますが ずっと悲劇のヒロインを演じてても人生どうにも なりませんので厳しいかも知れませんが あなた方が保護されてる外国人実習生の方には選択肢を与えます。

私は神でも仏でもないです…人種差別は断固反対ですが 実際に この国の生活保護目当てに暮らす ずる賢い外国人も いらっしゃるので 実習生を特別扱いで 支援や保護は出来ません…」


代表「何…協力を求めて支援も保護も ないなら話にならない…」


「いえ…条件があるという事です…ただただ支援は出来ないので働いて下さい…そして借金は肩代わり出来ませんので自分で返していただきます…」


代表「その結果が今の状況なんだ!

また同じ事が おきたら どう責任をとるつもりだ…」


「可能性を0にするのは難しいです…絶対は ないですから…但し今回は民間には任せません…国が直接 雇用します…

まず精神的ダメージが大きい方…

躁うつ病になって とても働ける状況ではないなど…そういう方々に無理に働けとは言いません。他の方でも いいですが 母国に帰りたいという方は帰国してもらって大丈夫です…借金は残るかもしれませんが 帰国する費用は国から お支払いします。

これは最初だけです…帰国されずに この国に残るなら 費用は出しません…躁うつ病などは自分の家族のサポートや安心出来る環境が大切だと思うので…」


代表「だから帰国して働いても返せる金額ではないと言ったじゃないですか!」


「申し訳ないですが借金の肩代わりは しません…この国は難民の受け入れなどは ほとんどしていませんが海外に今まで 散々 お金をばら撒いてきました…私が使う お金は国民の税金なんです…帰国費用を出すのも税金です…ずっと働けない他国の方に生活保護を出し続ける訳には いきませんので ご理解ください…経済成長もして いない現在は豊かな国ではないんです…自国民が生きるか死ぬか まで追い詰められた国なんです…今すぐ動けないほどの重症の方には当然

猶予は 差し上げますが それが偽証だった場合は罪に問います。

つまり帰国されずに残るならば働いて自立してもらうという事です…永住権を与えるとは言ってませんが借金や家族への仕送りが あるなど個別に事情があると思いますので そこは臨機応変に対応します。」


代表「結果的に それは強制労働と かわらん…皆 借金があるから帰国出来ない」


「いいえ…そんな事はない…なんの罪にも問わずに帰国資金まで出すと言ってるんです…この国は ハイパーインフレでYEN安なんですよ…1度帰って違う国に出稼ぎに行けば2倍3倍稼げる国が いくつもありますよ…

こちらにも責任があるから選択肢を与えてるんです…強制送還する訳でも強制的に入国させて奴隷にした訳ではない…もしも無理矢理 連れて来られて強制労働させられた方が いるならば100% こちらが負担しますが そうではないのなら自分の意思が少しでも入ってるなら人生も自己責任はあります…生まれた国や環境 人それぞれ違いますが そこまで こちらで責任は おえません…私も裕福に育った訳ではないですし この国の中では貧乏と言われるくらいの生活水準の家庭だったと思いますが 十分幸せでしたよ…家族や親族に恵まれたと思います。

お金で幸せは買えないと言うのは本当ですよ…子供ながらに自分の家は他よりは少し貧乏なのかな?くらいは わかりました…

その おかげで遠慮する事…我慢する事を覚えました。 子供の頃 両親に回転寿司に 連れて行ってもらっても私は 玉子しか食べなかった…何を食べてもいいと言ってくれてましたが自分は玉子が好きだからと言ってです…本当は他も食べてみようかな?とか思った事もありましたが 玉子が1番安い お皿だと知っていたので それを選び続けてましたよ…ハハハ

それでも外食って事だけでも 凄く嬉しかった。

金額や価値ではないんです…どんな些細な事でも幸せは感じられる…人それぞれ 物差しが違いますからね…

自分より金持ちも貧乏も幸せも不幸せも

いっぱいいますから それは 言い訳です。

隣の芝生は青い 隣の芝生はよく見える ってやつです。生きてるだけ…五体満足なだけでも幸せな人がいるのに自分が誰より不幸だと思って何もしない人を私は神ではないから助けませんよ…貴方達

ボランティアなどは本当に尊敬してますが

私とは考え方が違います。出来れば私も そういう人格者になりたいですが今の私にはまだ無理です…いずれそうなりたいとは思ってますがね…なので最初に協力とは言いましたが これは協力交渉ですから そこだけは勘違いしないでください…こちらは選択肢を いくつも準備しています…選んでも断っても構いません。今までの彼等の待遇など無知で配慮に欠けて国の代表として謝罪しています…

先ほどから ご立腹な代表の お気持ちも理解してますが、少し口調が強すぎですよ…貴方達の活動は素晴らしいですし尊敬してます…代表が偉い方なのも 分かりますが

あまり上から来るならば この協力交渉は決裂でも構いませんよ…他の方法を検討しますので…

私も貴方と同じで全ての国民を救う事を目指してますので 平等の立場で交渉出来ないのならば時間の無駄になるので内容全て伝えてられません。

怒りを ぶつけて来るだけなら 既に謝ってますので この会議は終了です…

私は いつまでも ヘコヘコと貴方の顔色伺って ご機嫌取りしてるほど暇ではないです…

私も国の代表 内閣総理大臣です 」

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