第72話積極財政
部屋の隅では番場と堀田が邪魔にならないよう小声で話す
番場(アイツ 総理と副総理に指示を出してたぞ…最初副総理に怯えてなかったか?)
堀田(はい…生意気な奴です…ただ思っていたよりはプレゼンが上手いかも知れません)
中田議員が着席して内ポケットに眼鏡を入れる
中田「あ〜興奮すると夢中で話しちゃって …すいません」
「いえ…いいんですが それだけ流暢に話せるなら最初から眼鏡してれば いいじゃないですか?」
中田「無理です…すぐに気持ち悪くなるので…出来れば眼鏡は使いたくないです…」
「 なるほど…中々 説得力が ありましたよ。本当に人格が少し代わったかと思いましたよ…なんとなく当選した理由が 分かりました。
外国人技能実習制度 …確かに酷い制度ですね…これは廃止しましょう…しかし それは第1の政策が終わってからです。 今すぐやめる と企業側から反発がありますからね…
その代わり今 制度を利用している方も農地開拓を希望するなら認めます。希望するなら1年で帰国してもらいますが…
そして中田さんの提言は素晴らしいですが
自国民の給与が上がらない…これは その通りですが少し足りない…何故だか分かりますか?」
中田「えっ…足りないですか?」
「給与を上げる…賃上げする為と考えるなら その制度廃止だけでは駄目だと言う事です。
昔ある大臣が この国の健康寿命は他国より10歳ほど差があると言ってました。
同じ65歳でも健康寿命だと外国人は76歳…それだけ この国の65歳は若いと言う事…
何故こんな事 発言するか分かりますか?」
中田「なるほど…年金ですね…」
「理由としては正解です。
国は年金を少しでも払いたくないから65歳 次は70歳 75歳と受給資格を遅らせたいのが本音です。健康寿命と言う 言い訳を使い国民は死ぬまで働けと遠まわしに言ってます。これが結果的に賃上げの妨げになります。企業は安い賃金で人を雇いたい…外国人労働者が足りなくなる…現役世代の国民の人件費は外国人より高い…ならば 現役引退して年金生活している老人…年金だけでは生活が厳しい…もう少し お金が必要…現役世代よりパフォーマンスが悪いから安い賃金でいいよね…となります。老人が働くと現役世代の給与も上がりません。
そして大企業は内部留保があるので賃上げ出来ます…国と一緒で いつでも やろうと思えば出来たのに やらなかっただけです。
しかし今も なんとか生き残っている中小企業に賃上げなんて不可能です…そんな余裕はない…デフレからインフレに転換した10年以上前に賃上げ
可処分所得 (収入のうち、税金や社会保険料などを除いた所得で、自分で自由に使える手取り収入のこと)
を上げると政府は言ってました。確かに大企業は余裕があるから少しずつ賃上げして行きました…しかし中小企業は余裕がなく倒産が相次ぎ 淘汰されて行き路上生活者が増えていきました…
政府が言う賃金上昇は大企業だけ…全体の実質賃金は ずっと下がり続けました…理由は簡単…賃金上昇するから実質負担はないと言って増税してきたからです…もし増税するにしても順番が反対ですよね…賃金上昇して余裕があるなら増税も仕方ないかも知れませんが確定していない賃金上昇予想と確定している増税…机上の空論…絵に描いた餅ってやつですね…YEN安 物価高騰 増税でギリギリの戦いをしている中小企業に賃上げなんて無理です…そして国と大企業は 賃金上昇 可処分所得上昇 出来なかった理由は中小企業が給与アップの為に価格転嫁しなかったからと責任を押し付けました…物価高騰で買い控えが起きてるのに商品の値段上げて 売れなくなってしまえば
中小企業は すぐ倒産です…賃上げ出来ない…ならば本気で可処分所得を上げる為に必要な事…もう分かりますね?」
中田「外国人技能実習制度廃止と合わせて年配の方々が働かなくても年金だけでも生活出来る国作りですね。
そして可処分所得を最速で上げる方法は
減税です!」
「正解! 中小企業が賃上げ出来ないなら減税すれば可処分所得は増える…私の様な馬鹿でも分かる事を意地でも やらない国と政治の責任です」
ここまで聞くだけ だった佐藤副総理が
佐藤「ちょっと待ってくれ…気持ち悪い」
「えっ大丈夫ですか?」
佐藤「いや…違う…おい中田…お前は俺の横の席に移動だ…目の動き 身振り手振り
総理と中田が時々リンクして気持ちが悪い…三者会談と言うより学校の三者面談みたいで親子を相手にしてる気分になる…」
「えっ本当ですか」と中田と総理の声まで
ハモる…
指示に従い中田が佐藤副総理の隣に移動して再開
佐藤副総理「とりあえず100万人の人手の確保だな…友好国かたっぱしから頼むしかないな…」
「そうですね…先進国にお願いしてもYENに価値を感じてないですから重労働する為に わざわざ来てくれません…」
中田「やはりアジアからが第1候補
後は中東 南米 などですね」
佐藤「しかし恐ろしく金がかかる…
人件費だけでも1年分の国家予算を上回るな…」
「ハハハ…今は110〜120兆くらいですからね…そんなの第1の政策で とっくに使い果たしてますよ」
佐藤「大丈夫なのか?」
「大丈夫です…ありますよ…なくてもやりますが…ハハハ
国は国債発行出来ますしね…そもそも税金は財源ではない…意見は分かれますが
バランスをとるものです…それに副総理は積極財政派ですから異論はないかと思いますが…国債でも税金でも正しく使って皆
平和で不自由なく暮らせるなら誰も文句言いませんよ。
ごちゃごちゃ難しく考えても仕方ない…
失われた40年が50年に ならないよう頑張りましょう」
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