第69話エリート議員

副総理公邸


佐藤副総理が来客室で1人椅子に座り客人を待つ


副総理 第1秘書官 女性の松本が客人の政治家と秘書を連れてくる


松本秘書「失礼します…副総理…お客様が お見えになりました」


佐藤「おう…ありがとう

お前らは席を外してくれ…国防に関わる

大事な話だから2人で話す」


松本秘書「承知しました。」


相手方の秘書官を連れ部屋を出ていく


佐藤「ご足労いただきありがとうございます。 どうぞ お座りください」

1度頭を下げる


視線の先には1人の議員

身長173〜175㌢ ほどだが ガッチリとした体型 柔道選手の様な体つき

髪型はオールバック…切れ長の目で一重瞼

貫禄がある…ニコニコと笑顔を作ってる為

一見優しそうに見えるが真顔になるだけで

鋭い目に威圧されそう

男の名は 一ノ瀬 慎吾 55歳

元自由党 最大派閥 一ノ瀬派 代表

一ノ瀬派は62名 佐藤副総理が代表を務めた政党 平和組は30名 倍以上の差がある

曽祖父が元総理 祖父と父は閣僚経験者の

まさに世襲議員。

官房長官 外務大臣などを歴任してきた

エリート議員

今回 抽選総理が誕生していなければ

恐らく この男が110代 総理大臣に なっていただろう…現役の議員の中でも間違いなく

トップクラスの頭脳 頭の回転が早く優秀過ぎる為 自分以外の人間が仕事が出来ない…理解出来ない…遅いと すぐに説教してしまう。派閥内では恐れられ若手には嫌われていたが次期総理を 確実視されていた為

次の閣僚 総理の座を狙うコバンザメ ハイエナ議員が集う派閥であった


一ノ瀬議員は勢いよく向かい合う様に座る


一ノ瀬議員「いえいえ…まさか副総理に

招待されるとは思っていませんでしたが光栄ですよ。我々が二人きりで会うのは初めてじゃないですかね…」


佐藤副総理「そうですね…国会では 何度もお会いしてましたが 我々は常に与党と野党…敵対関係でしたからね。フハハハ」


一ノ瀬「確かに…ハハハ…まあ今や党も派閥も 無くなりましたからね…」


佐藤「いや〜貴方が次の総理になると私は思ってたので こんな強敵どうやって 立ち向かえば いいのかと日々悩んでいました。

しかし現状 敵も味方もなくなった。貴方の優秀な頭脳をお借りしたくて…フハハハ」


一ノ瀬「あ〜私に出来ることなら 何でもどうぞ…外交面ですかね?」


佐藤「まあ そうなんですけど 今回 政治のセのじも知らない馬鹿な総理が適当すぎて偶然にも一ノ瀬議員は大臣の座にもつけなかった。

以前は もっと国会で発言されていましたが

最近は身を潜めてる感じがしまして…

貴方が味方なら これほど心強い事はない。私から総理に提言しましょうか?」


一ノ瀬「いやいやいや…有り難いですが

これが運命だったんでしょう。

国民の為に なるなら立場なんて 何だって私は構いませんよ…さあさあ何でも聞いてください」


佐藤「ありがとうございます…実は少し

外交でトラブってしまいまして お相手国の外交官と近々対談するんですが機嫌取りが私は苦手でして どう 持て成そうか悩んでおります…何か良いアドバイスをいただけますか?」


一ノ瀬「あ〜彼等は公邸に招くより料亭の方が喜びますよ…ついでにショッピングでもさせる時間を少し与えれば楽勝ですよ…良かったら料亭の予約 私が取りましょうか?」


佐藤「えっ…本当ですか…ありがとうございます…さすがですね」


一ノ瀬「いえいえ…これくらいの事でしたら いつでも頼ってください。

我々はもう1つの塊…仲間なんですから…

しかし佐藤さんが副総理になって もう10ヶ月ほどになりますが他の外交官や元外務大臣にアドバイスをもらっていると聞いてました。 今更 私の出番がくるとは少し驚きましたよ…ハハハハ」


佐藤「いや〜私でも 貴方の様な大物には頼みづらいですし緊張しますからね…フハハハ」


一ノ瀬「これだけの事なら秘書を わざわざ退出させる必要はなかったですね…では私は仕事に戻ります…第1の政策グループの

1議員として頑張りますよ」


一ノ瀬議員は立ち上がり 部屋を出る為に

ドアへ向かい歩き出す


佐藤「なあ…オマエだろ?」

先ほどまでの丁寧な言葉遣いから急激に荒っぽい言葉を一ノ瀬議員の背中に浴びせる


一ノ瀬は立ち止まり ゆっくりと振り返る

一ノ瀬「ん…?今なんと?」


佐藤「今回の週刊潮文のリーク記事

お前が指示して出させただろって聞いたんだよ 爺さん」


一ノ瀬「はぁ? よくわかりませんね…

私は深夜の総理演説も翌朝まで知らなかった…潮文なんて雑誌だか週刊誌も興味なくて読まないですし知り合いもいない…」


佐藤「そうか…確かに深夜の演説は 知らなくて当然だが 少なくとも お前には リーク記事の情報は 入っていたはずだ…お前ら

上級国民 貴族 大手メディア お友達から聞いて記事を出すタイミングを図っていただろ」


一ノ瀬「いやはや 困りましたね…証拠か何かあるんでしょうか? 相も変わらず汚い下品な言葉遣い…名誉毀損ですよ…とても副総理の発言とは思えない…私の様な1議員にそんな力ありませんよ」


佐藤「なるほどな…完璧なアリバイでもあるのか…

お前は賢いから今までの政治活動 全て調べても恐らく逮捕される様な件は出てこないだろうな…だが

お前では アイツに勝てないよ…抽選でなく選挙だったとしても国民はアイツを選ぶ…何故だか分かるか? 性格って言うのは顔に出るんだよ…いくら笑顔を作ろうが 意地が悪いのは顔に出てしまう…

社会に出て様々な人に出会い経験を重ねた人は顔を見るだけで そいつが良い奴なのか悪い奴なのか大体予想出来てしまう…お前は間違いなく後者 自分さえ良ければいいクソ野郎だよ」


一ノ瀬「いや〜凄い言われようですね…傷つきますよ…やはり貴方とは友達になれませんでしたね…まあ いいでしょう…

その少ない脳みそを使って副総理 頑張ってください…私は忙しいので失礼するよ」


一ノ瀬は背中を向けドアを開ける


佐藤「おう…どうせ まだ前総理とも繋がってるんだろ? よろしく伝えといてくれ

お前らに邪魔はさせねえ 喧嘩上等 クソ野郎ってな…」


一ノ瀬は 無反応

そのままドアが閉まり立ち去る一ノ瀬

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