第51話正人
3台の車が規制線を越えマンション地下駐車場へ消えて行く
周りからは警察関係車両には見えている
番場「いいか…絶対に情報を漏らすな」
火災現場マンション地下で番場は警察 消防関係 マンション警備などに指示をしている
本来なら緊急災害対策本部は地震 津波 原発危機などで設置される
マンション1室の火災レベルでは あり得ない… 著しく異常かつ激甚な災害が発生ではない…いわば職権乱用 …独裁とは言え間違った行為だ…
番場が口止めしている事を知らない堀田と総理は その頃
「ハァハァハァ」
「ぜぇぜぇぜぇ」
必死に階段を登っていた……ボディーガードも6名 前後3人に3人
「ぜぇぜぇぜぇ…堀田さん…すいませんね…消防用エレベーター使っていいと言われましたが 消火活動の邪魔をするわけにはいけませんから…」
堀田「ハァハァ…入れただけで感謝してます…私だけでも よかったのに わざわざ付き合わなくても…」
「いや…ずっと運動不足だったので ちょうどよかったです…ぜぇぜぇ」
ボディーガードは迷惑そう
「番場さんの言う通り30階から下は問題ないとの事で よかったですね…
それにしても そんなに大切な物が家にあるんですか? 私は物欲なくて なくなって困る物があまりないので…タンス貯金たっぷりあるなら理解出来ますが…ハハハ」
堀田「…………」
ようやく24階に到着
総理ほどでは ないが鍛えてるボディーガードと堀田も少し息が上がっている
ボディーガードの隊長がインカムで番場と やり取りしている
高層マンションの階段やエレベーターは電波が悪くフロアに出て繋がったようだ
「番場秘書から 火災は すでに鎮火したとの事 後は ちょっとした残火からまた再燃することもあり得ますから、消防隊が交代で現場に張り付きます。下層階は すでに安全確保出来てるようです」
「あ〜よかったです…ありがとうございます」
堀田が部屋の鍵を開け電気をつける
「ありがとうございます。コーヒー牛乳はないですが お茶かコーヒー用意しますので 上がってください」
8畳ほどのリビングに案内された
「えっ………………?」
その声に反応して堀田が振り返る
番場と違い表情豊かな彼女が初めて見せる
沈痛な表情…
リビングに入って すぐに視界に入った
遺影……
遺影写真の男性の年齢と彼女の表情で
すぐに理解出来た…父親ではない…
恐らく 旦那さんだと…
焦っていた理由も きっと彼との思い出の品があるのだろう…
堀田「あっ…言ってませんでしたね…
私の夫です…よかったら話しかけてあげてください…」
「あっ…はい」
返事はしたが何も話しかける言葉が見つからない…全く予想していない展開で頭が真っ白…ただ手を合わせるしか出来なかった…
「あ〜堀田さん…飲み物は大丈夫ですよ…もう鎮火されて消防用エレベーター使っても迷惑にならないようですし…それに私が ここに居ると規制線解けなくて他の住人の邪魔になります…すぐに出ないと行けませんからね~ハハハ
とりあえず お部屋が無事でよかったです…我々は退散するので堀田さんは今日は
このまま あがってくださいね
お疲れ様でした」
堀田「あっ…はい…あ…ありがとうございました。お疲れ様でした」
堀田を部屋に残し消防用エレベーターで
一気に地下駐車場までボディーガードと下りる
エレベーターの前で番場が待機していた
「お待たせしました。すぐに帰りましょう…少し疲れたので すいませんがハイエースの運転手さん…私の車の運転お願いします…」
規制線を越え3台の車が出る お忍びなので警察の誘導は断ってある
車内にて
「番場さん…知っていたんですね?」
番場「はい…」
「とりあえず公邸に戻ったら話しましょう」
…………………………………………………
公邸内プライベートルーム
番場「堀田の結婚相手は衆議院 議員
堀田 正人
自由党 武田派の若手議員でした…」
「えっ…議員だったんですか?
しかも自由党とは…」
番場「堀田正人は老舗旅館の息子…
決して裕福な訳ではない…世襲でもない…ただ頭脳明晰で名に恥じぬ正しい人間…人柄も良かった…
一方 堀田ユキコの方は完全なお嬢様…
上級国民
親族に政治家は いないが先祖から代々 医者の家系だ…兄弟も医者らしい…家族の中では落ちこぼれ かも知れない…
秘書になったのも夫を支える為だと思います…
しかし彼らは元々 政治家との繋がりもない政治の世界を知らない お人好しでしかなかった…
ある日 彼には 贈賄罪 の疑いがかかった…
頭が良い男だったからルールは理解していたはず…
だとしたら大物か世襲か先輩か いずれかにハメられたか騙されたか…
あくまでも私の推測ですが…
彼女は私より馬鹿で純粋…恐らく それも理解出来てないかも知れない…何を考えて この世界に残ってるのかは 分かりませんが 2人共 政治の世界に入るべきでは なかったと思います…」
「贈賄罪 ? そうだとしても亡くなる理由にはなりません…疑いだけなら まだ逮捕も されなかったと言う事ですよね…?」
番場「…………誹謗中傷です…まだ疑いの段階で国民は徹底的に叩いてきた…
今から約3年前なので 国民が政治家への不満を強め 徐々に暴力的に なっていた…
正しいと信じた議員に裏切られたと…
残念ですが彼は心が弱かった…自ら命を断つ選択をしてしまった…」
「……………そうだったんですね」
唇を噛む…知らなかった自分が悔しくて
番場「総理は政治に興味なかった ようなので観てなかったみたいですが疑惑の段階では毎日ニュース番組で報道されてました……ただ…亡くなった途端ニュースで僅かに報道され1日足らずで何も なかったかのように彼のニュースが流れる事はなくなった…」
「…………………」
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