第50話本部長
番場はワイヤレスイヤホンを付け指示を飛ばす
「総理が今から外へ出る 軽バンとハイエース2台 運転手とボディーガードは すぐに準備しろ」
「番場さん…軽バンの運転手は今回はいらない…私が運転します…ハイエースも前後ではなく私の後ろを ついてきて下さい」
いつもの番場ならば絶対に そんな事は許さない…しかし彼女は今まで男性に強い口調を使われた経験が少ない為 悔しいながらも了解した…少し怖かったのだろう…
3人は すぐに部屋を出て車に向かう…堀田は まだ虚ろな表情だ
急ぎの為 今回は帽子のみ着用している…
車に乗り込む3人 運転手が いない為 3人のボディーガードが軽バンに同乗する
番場が指示を飛ばしてから まだ10分も経っていないためハイエースに乗り込むボディーガードがまだ間に合っていない…
車内で「いいですか…今17時過ぎで ここから青坂9丁目まで大通りで行くと渋滞に確実につかまります…通常なら車で10分かからないですが渋滞と信号待ちも長いので20〜30分くらいだと思います…私は大通りに出ない裏道を知っているので恐らく8分から10分で着きます。ハイエースの運転手に しっかりついて来るように伝えてください」
ボディーガードがインカムで伝えている
番場「夜の国民との対話どうしますか?」
「すいませんが明日に変更してもらえると助かります…ただし相手の都合を確認して下さい。 明日が無理なら私の私用で今日の開始時間を遅らせてもらえるか聞いてください」
番場は すぐに事務担当に連絡する
「よし !出ますよ」
…………………………………………………
(大手ネット通販の配達員は朝6〜7時くらいに荷物を積み込み移動して9時から配達開始 13〜14時くらいに また荷物を積み込み 夜21時までに配達を終わらせなければならない。時間指定の荷物は必ず時間内に届けなくてはならない…不在の場合は1日の間に もう1度配達に行き それでも不在の場合は翌日に配達する事になる…
首都圏では1日180〜220個くらい…個人の能力やマンションなのか個人宅なのか条件次第だが120個が限界の人もいれば300個以上 配達出来る人もいる…平均180〜220個… もちろん2個口の配達先もあるが 1軒の配達を移動から配達完了まで平均3〜6分以内で 回らないと間に合わない事が当たり前…
昼休みなど ほぼ取れない…
それで日給保証18000〜20000YEN
そこから
車代 ガソリン代 紹介料10〜25%引かれて手元に残る金額は10000YENほど1個の配達で50〜100YENほど
歩合制ならポスト投函は50〜80YEN通常の荷物で150〜200YEN 但し不在の場合は0YEN 配達初心者が歩合制の方が稼げると安易に こちらを選ぶと
1日4000〜10000YENしか稼げなく赤字経営で すぐに辞めて行く…配達上級者ならば1日30000〜50000YEN稼げるエリートもいる
結局 大手のピンハネが大きいから最終配達員が稼げなく人手不足なのだ…
タクシー業界は距離や時間で稼げる金額が
変わる為 急げと言われない限りは 安全運転を心掛け大通りを走る…
わからなければナビを使えばいい…しかしナビも基本的には 大通りを案内する為
配達員もナビは使うが全てナビ通り配達する人間は成長せずに ずっと配達が遅い…
大通りは一般車が多く大渋滞すると1時間かかってしまうところ裏道さえ知っていれば10分で行けたりする。昔からタクシー運転手や配送業は 馬鹿でも出来ると思われてる
節があるが 実際は馬鹿では稼げなく食べていけない…常に どの道が最速か判断出来る人だけが稼げる商売である。恐らく軽配達ドライバーのエリートが誰よりもピンポイントで目的地到着が早い…さすがにバイクには敵わないが…)
…………………………………………………
「青坂9の………」音声でナビを起動
ナビ通り行く為ではなく渋滞状況を見て今
どの道が最速か知る為だ
大通りを すぐに離脱 一方通行の信号が少ない道のりを どんどん進む…
あっという間に半分の道のりは過ぎる
「もしかしたら次の交差点曲がるとハイエースの車幅では抜けれないかも知れません…1台は念の為 一本道を ずらして来てください…すぐに合流するので」
追走するハイエースはミラーを たたんで無事 通過
「堀田さん…もう2分後に到着しますよ…大丈夫ですか?」
堀田は不安な顔をしているが
「はい…ありがとうございます」と答える
火災マンション200m先の4車線道路の反対車線にハザード停車する
敷地面積が大きく道路から建物まで距離がある為 規制線は敷地出入り口から張られて
いる…パトカー 救急車 消防車が複数停まっている…確かに30〜35階付近で火の手が見える…しかしTVで観てから 30分程度
まだ完全に鎮火されてはいないが拡大もしていない…防火扉とスプリングクーラーが
しっかり機能している…
(消防車は およそ11階建築物までしか消火が届かない。それ以上の高さになると
消防用エレベーターで火災の発生している階まで一気に上がり消火する
通常のエレベーターは火災のときは使用禁止ですが、消防用エレベーターは火災が発生しても防火壁で囲まれ火や煙が入らないように作ってあり、操作も消防隊員が自由に操作できるようになっている。)
規制線の前ではニュース番組の撮影が行われているが 焦っていたり緊迫感が それほどある感じには見えない…どちらかと言うと有名人が多数 住んでる高層マンションの火事で珍しい…野次馬と変わらない…
それだけ堀田が過敏に反応しているという事だ…
堀田は車から すぐに下り横断歩道まで走る
「あっ…待って堀田さん…
番場さん…私は ここで待つので堀田さんについて行って下さい…」
番場は すぐに追いかける
規制線の前まで行くが やはり入れてもらえないようだ
堀田は規制線の前で また座り込む
恐らく 1時間もかからず鎮火され数時間後には規制線も解かれるだろう…住人ならば規制線解かれる前に入れるかも知れない…
軽バンをUターンさせてハザードのままその場に近づく…
慌ててハイエース2台も着いてくる…
それに気づき番場は焦っている
車の窓を開け近づくと二人を止めていた警察官が近づいてくる。
警察官「今 火事で規制中で入れない…配達は諦めて 邪魔になるから すぐに移動して」と強い口調で言ってきた…
「あっ…すいません…配達ではないですがが入ります…」
警察官「駄目だって言っただろ」
帽子を取り顔をしっかり見せる
「ならば仕方ない…緊急災害対策本部を設置します…
著しく異常かつ激甚な災害が発生した場合には、内閣総理大臣を本部長とし、全国務大臣を本部員とする…
私が本部長です…入れなさい!」
警察官「えっ…そ…総理ですか?
失礼しました…すぐに上司に確認します…」
番場は車から離れて堀田に付き添った事を後悔している…まさか そこまでしてくるとは思っていなかったのだ
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