第49話安定政権

さらに3ヶ月が過ぎる…暑い夏も止まることなく農地の準備が進められ 地方は 所有者不明の家を利用するが老朽化したものが多く解体するしかない…結果的には 使える家が足りなく公民館に暮らす路上生活者達は仮設住宅に暮らす事になっていた…再就職とまでは 行かないが日払いのバイトや個人で自転車を活用して配達をするなど社会復帰も進み始める…

第1の政策は残り就職支援と農地の準備

企業側の力が主体となり 政治家達に 少し余裕が生まれてきた…


10/19 支持率75%

ジリジリと下がるが 総理には最低でも

10〜15%の圧倒的支持がある…

救われた路上生活者達だ…彼らの票は今まで全て集める事が出来ていなかった…生死ギリギリの人間には そんな余裕があるはずも無く これから社会復帰して全ての人が投票する事になれば確実に取れるであろう票

…残り最低15%ほど中級国民から獲得出来れば ほぼ安泰…国民も長期政権になると

誰もが思っている…ニュース番組では国民の命を救ったヒーロー 政治評論家は この政権は長く続く…支持率は50%すらあり得ない…最低でも60%きることなく数年は続くと予想している…


…………………………………………………


プライベートルーム

17時


総理はデスクに座る 番場は机を挟んで座る 堀田は斜めの方向 パソコンと向き合い別のデスクに座る…

テレビは いつも消音でニュースが 流れている…


番場「これで総理の政権は1年確定しました…例え この政権が終わってもアナタの功績は大きい…この国の歴史に名を残すでしょう」


「ハハハ…未来の子供達の勉強量 増えちゃうじゃないですか…あまり目立たない方が人生 楽に生きれますから ほどほどが いいですよ」


番場「もう無理ですね…恐らく アナタの政権は過去最長にも なりそうですからね…

但し…ジリジリ下がってるのも事実…そろそろ次の一手が必要です」


「そうですね…まだ第1の政策が終わってませんから他と喧嘩してられません…

しかし政治家さん達も少し余裕ありそうですし あまり反論が出ないところに

ちょっとだけ手を伸ばしますか…」


堀田「9ヶ月か〜 あっという間に過ぎましたね~ そして今日の国民との対話 …

ついに来ましたよ…元路上生活者の方です…」


「えっ…本当ですか?」


堀田「はい…55歳男性 元フレンチオーナーシェフの清水さんと言う方ですね…

社会復帰されて今は大手イタリアン チェーン店に勤務」


「へぇ~素晴らしいですね…ハハハ

昔 人から聞いた事あります…フレンチとイタリアンは似てるから すぐ対応出来るみたいですね… フレンチは凄く繊細な料理で

イタリアンは それを少し カジュアルにした感じだと… イタリアンは いいかげん が良い加減らしいですよ ハハハ…面白いですね」


堀田「あ〜お腹すいてきました〜

あっ…そうだ! 貰い物のキッシュが冷蔵車に入ってます…皆で食べましょう」


堀田は立ち上がり 総理 コーヒー牛乳ストック専用冷蔵庫に向かう


「人の家の冷蔵庫 勝手に使わないように」

堀田は無視する…


冷蔵庫からキッシュを取り出し振り返り戻って来るが

いきなり腰が抜けたように床に女の子座りになる…


だ…大丈夫ですか? と 総理と番場は慌てる…キッシュが入った箱は堀田から少し離れた所まで座り込む勢いで飛ばされた…


堀田「い…急がなきゃ…」

うわの空…心ここにあらず…小さい声で

呪文のように唱えている


「えっ?何がですか? ちょっと〜どうしたんですか? しっかりして下さい」


番場は堀田の視線の先を見る為に振り返る…ミュート状態のTVだ…それに気づき振り返る…


「火事…火災ですか?」


番場がリモコンでミュートを解除

TVからキャスターの声が聞こえる…

(現在 青坂9丁目の44階建て高層マンションにて火災が起きてます…恐らく33階から35階辺りの1室で ガス漏れでしょうか?

同じマンションの31階の住人に先ほど聞いたところ2回か3回爆発音が聞こえたそうです…………………………………………)


「あ〜あそこか〜配達何度も行った時ありますね…確か有名人も住んでましたね…配達は正面から入れず大変でしたよ

毎回カードキーの手続き必要で…正に成功者が住む億ションってヤツですね…」


堀田が まだ正気ではない が小さい声で

「住んでます…ワタシ…」


「えっ…そ…それは大変だ…な…なら急がないと…」


番場が強い口調で「堀田 何階だ?」 と問う


堀田「24階です…」


番場「ならば絶対大丈夫だ

高層ビルは よっぽどの大火災でない限り

防火扉やスプリングクーラー等の延焼を防ぐ設備が充実して、全焼するようなことは無い。火災の階より下ならば なおさらだ…

どの道 すでに規制線が張られていて住人でも入れない…それに…」っと番場は話すのを止め唇を噛む…


番場「いや…総理…堀田を行かせてあげてください」


「えっ…当然じゃあないですか…困ってる人は助けないと…まして私の仲間なんですから…堀田さん立てますか?」と手を差し伸べる

堀田は手を取り立ち上げる


「堀田さん…理由は知りませんが急ぎたいんですよね?

それでもさすがに救急車両など特別待遇は出来ません…私が送ります!」


番場「それはダメです…貴方は総理です…秘書の私用の為に出るべきではない」


「立場は関係ありません…もし そうだとしても困ってる国民を助けるのが総理の仕事ではないですか?

私は そういう国を目指してるんです」


番場「そうだとしても……」

番場の話を遮り

強い口調で

「番場さん!私が出ると言ったら出るんです…すぐに準備しなさい」


番場は初めて強い口調で言われて驚く…

渋々だが…

番場「了解しました…直ちに準備します」

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