第40話飛車と角

パチン パチン と部屋に鳴り響く


番場「くっ…ハァハァ〜う〜ぅ〜」


「クックック…どうしたんだい?

もう諦めてイっちゃいなよ…クックック」


番場「くっ…ハァハァ〜う〜

う うお〜おお〜〜〜ぅ」


何かが床に散らばる

バラバラバラ


「あ〜またやったよ~ズルいですよ~番場さ〜ん ちゃんと参りましたって言わないと駄目ですよ〜もう〜ゲーム負ける瞬間にリセットボタン押す子供と一緒ですよ〜」


床に散らばるのは将棋の駒

昼休みに将棋をしていた


番場「くっ…ありえ〜ん…東大卒の私が

飛車角落ちハンデ戦で負けなど あり得ぬ

こんなミジンコやゾウリムシ並の頭脳の

下等生物に負けなど絶対にあり得ぬぞ~」


番場は立ち上がり拳を握り興奮している


堀田「思った事 全部 声に出ちゃってますよ~番場さん…微生物虐待ですよ〜

それに微生物に失礼ですよ〜」


「総理に失礼ですよ〜の間違いですよ…堀田さん…はぁ〜全く〜」


番場が床に払い飛ばした駒を総理自ら拾いながら

「くっ…この中で1番偉いの私じゃない…陰の権力者って本当は秘書だったのか…

なんて横暴なんだ…」


番場「くっ何故だ?許せん」


「ふぅ〜 これで5勝0敗ですね〜ただ 次は もう飛車角落ちでは私が負けそうです…流石 頭良い人は飲み込みが早い…

次からはハンデなしでいきますね」


番場「ズルいぞ…そうまでして勝ちたいのか…」


「恐ろしい考え方だ…飛車角落ちなんて

めちゃくちゃのハンデ戦なんですよ…もう飛車も角も私には必要です…万が一にも負けられないので…まあ〜ハンデ戦じゃ なければ負けませんがね…クックック」


番場「くっ…私が完全勝利した時には土下座だ…土下座して参りましただ」


「負けも認めない人が なんて事言うんですか〜」


堀田「はいはい そこまでですよ〜

そろそろ お仕事の時間ですから」


番場「少し支持率が高かったくらいで調子に乗りすぎです…真面目に働いてください…」


(くっ…なんて人間なんだ…自分から1度も勝てなく悔しくて挑んできたのに…) とは

怖くて言えない…


「はいはい…働きますよ~どうせ私は引きこもりで言葉でしか働いてないですからね~ まぁ あなた達2人が代わりに動いてくれてるので感謝してますよ~ 私の最強の大駒 飛車と角みたいなものです。」


番場「くっ…人を駒扱いとは…」


「良い意味で言ってます。ふぅ〜本当大変な人だ…よく結婚…

アッ…そうだ お二人は既婚者でしたね。いつかモニター越しでも実際にでも いいので会わせてくださいね

お二人が どんな旦那さんを選んだのか見てみたいですし お礼も言わないといけませんからね~ハハハ」


堀田は無言のまま

番場は「今は仕事の関係で別居中ですね…」

2人共 あまり触れられたくない領域なのか

少し気まずい空気になる


先に国会モニター準備に向かう堀田と番場

が廊下を歩く


番場「お前は いつまで……」

堀田「アナタには関係ない! ほっといてよ!!」

珍しく先輩の番場に強い口調で話を遮る


番場「ああ…すまん…」


…………………………………………………

国会


「皆さんお疲れ様です

いつもありがとうございます。

皆さんのおかげで とても順調に路上生活者支援が進んでいます。

食料支援は 想像以上の成果です

後は仮設住宅建設の方を一刻も早く進めていただきたいです そして職業支援の方も お願いしますね~」


…………………………………………………

国民への演説


番場 堀田と共に佐藤副総理も今日は見守る


「こんにちは皆さん

え〜皆さんの寄付や ご協力により路上生活者支援は とても順調です

本当にありがとうございます。

仮設住宅建設も確実に進んでいます。

最近ではラジオやTVなども寄付され皆さん集って観てるそうですよ~

あ〜そうだ〜後ですね~

私 最近 国産の野菜や果物に ハマってまして〜皆さんで どんどん作っていきませんか〜?ハハハ」


佐藤副総理 大きな溜め息をつき番場に耳打ちしているのが見える…

堀田が手招きをしている…


「あっ皆さん ちょっとだけ待ってくださいね~ハハハ 急用で すぐに戻りますからね~ハハハ」


堀田に近づく…すぐに番場がコーヒー牛乳を手渡してきた…毎回演説は緊張で喉が渇く…なんて気が利く秘書達なのだろう…

小声で 「ありがとうございます」と一気に飲み干す勢いで飲む…

ドス… 「グハッ…」 ドサリ と物音をマイクがひろう…その物音に合わせて番場が声だけ演説に出演…


番場「只今 総理が急用の為しばらく席を外しております。

ここからは佐藤副総理に代理をお願い致します。」


佐藤副総理が代理で演説モニター前に立つ!



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