第39話対話力

公邸内授業中


先生がペンを走らせる


しっかり授業を聞く

隣からも 何か音が聞こえる…


「あの〜これはどう言う事でしょうか?」


先生は質問だと思い振り返る


「いや…先生ではなく隣に聞いてるんですが…」


隣には学習机で真剣に授業を受け しっかりノートをとる佐藤副総理…


「あの〜ここは私の部屋なんですが…何故いるんですか?」


佐藤副総理「エッ…授業中だから静かにしてくれない」

居るのが当たり前のような口ぶり


「エッ…あれ…私 外交の時は公邸使用許可しましたよね…何故 授業に参加してるんですか?」


佐藤「効率化だよ 先生が同じ授業 別々に教えるのは時間の無駄だ やむを得ない」


「いや…私の部屋ですし そもそも この部屋はマスターカードキー持ってる私と堀田さん番場さん警備トップしか入れないはず…」


佐藤「簡単だ…その中で1番落とせるのは

堀田だ…番場は まだ俺を警戒してるからな

そして 俺は無駄が嫌いだ 」


「いや…無駄になってるのは先生の方ですね…佐藤さんに無駄はない…むしろ ここにわざわざ来る方が無駄なような…」


佐藤「あ〜小さい事を ウダウダと 小せえ総理だ…仲間だろうが〜本当いやんっなっちゃうぜ〜 なあ先生」


先生は苦笑いしか出来ない

堀田が部屋に入ってくる


「ちょっと堀田さん勘弁してくださいよ〜オジサン2人並んで授業はキツいっす

私のプライベート空間に許可なく入れるのは今後禁止です」


佐藤「なんて つめて〜総理なんだ

おい 堀田 俺のマスターカードキーの手続きを頼む」


「私の秘書 勝手に使わないように

佐藤さんは特定の部屋だけ対応のカードキーまでです」


佐藤「ケッ わかったよ

せっかく仲良くなってやろうと 引きこもりに手を差し伸べてやってるのに…友達出来ないぞ…可哀相に」


「あ〜ぁ〜お構いなく 授業終わったら出てくように 今後は許可取ってください

堀田さんではなく私に ハァ〜

堀田さんも 分かりましたね?」


堀田「へいへい 承知しました」


「面倒くさい感じに総理を扱わない!」


…………………………………………………


第一の政策 路上生活者支援は日々 順調に進められて行く

都市部に集中している路上生活者宛に全国の国民からボランティア 支援物資などが想像以上に寄付され仮設住宅建設も急ピッチに進む。

副総理は外交を自分の伝で元外交官から

学び(若干の強要もあった) とりあえずは問題なく進めている


…………………………………………………


総理 国民との対話中 部屋の片隅で


番場「それにしても本当に アレは会話が上手いな。最初は ただのバカで引きこもり

社会を断絶しながら ぐうたら 生きるシカバネかと思ってたが…」


堀田「さすがに言い過ぎですよ 番場さん

一応総理ですからね…今日で25人目

老若男女 問わず本当に会話が上手い

視線を合わすのが苦手なくせに不思議ですね…」


番場「ああ…相手に合わせて私と僕と一人称も使い分けて笑いも少し 入れてるようだ…私には何が面白いのか理解出来んが

確かに最初 緊張していた相手を いつの間にか笑顔に変えている…」


堀田「最初 こんな対話に何の意味があるのか理解出来ませんでしたが…実際ほとんどの対話者が政策などとは関係ない雑談…無意味かと思ってましたがSNSでは すでに大反響…スーツ姿ではない総理のプライベートな一面が見られると話題に なってます

あんなボサボサヘアーの どこが良いのか分かりませんが 親近感が湧くと言う意見が多数です」


番場「クッ…分からん 国民は ほとんど馬鹿なのか?」

…………………………………………………



20代女性「総理〜私 昨日 占いに行って来て………………………………………………」


「ほう…占いですか? 僕も昔1度だけ行きました。前世を見て どうやら僕は過去9回連続 女性だったと言われました。女性に産まれていれば毎回幸せな人生を送っていたらしいですが男に産まれてきた時は 申し訳ないが どう足掻いても幸せにはなれないと言われました…」


20代女性「総理かわいそ〜う」


「僕は占いは前向きなポジティブな意見を言われると思って行ったのに…悔しいから追加料金 払って もっと前の前世を見てと言ったら

あ〜男の時はダメね〜そして元々は アナタは木でした…山奥の山頂に誰にも見つかる事なく大木に育ち そのまま腐って死にました…

ひどくない…ハハハ」


20代女性「アハハハ」



中学校男子「総理 僕もバカで将来の目標もなくて今は部活動でテニスしてる時くらいしか頑張る事が出来ません…総理もテニスやってたんですよね? 」


「あ〜僕もそうでしたよ 似てますね~ハハハ 昔テニス部の同級生がチョコ◯ールってお菓子を学校に持って来て休み時間に10人ほどで一粒ずつ貰って食べたんですよ…それが部活動の顧問にバレてね~横1列に並ばされて先生が (お前は食べたのか?) 生徒が(はい…食べました)と言った瞬間 強烈なビンタをされてね…私は列の後半だったから 迫りくるビンタに怯えながら震えてましたよ〜ハハハ 昔の先生って怖かっんですよ~今なら大問題ですけどね~ハハハ」


中学校男子「あ〜僕の先生も怖いですけど ビンタはないです…ハハハハハハ」


「ならば 良かった… 当時は恐怖でしかなかった事も大人になると良い笑い話になったりするんだよ

君たちの年頃は指導者が代わったり自分の気持ち次第で大きく変化出来る

僕は中学の頃テニスも下から2番手…運動神経悪いですからね~ハハハ

けれど高校生になり指導者が代わり自分の気持ちも変わった瞬間から たった1年で強豪校の上から3番手にまで 上がれたんです…君にも きっと出来ますよ

勉強は出来れば頑張った方が いいです…

大人になると 頭で働くか 体で働くか 大きく分けると この2つです。 どちらも大変ですが 今やりたい事なくても将来 何か思いついた時に やっぱり頭良い方が選択肢は増えますしね!

とは言え やれと言われた事と 自分で やろうと思った事では全然 成長スピードは違います。

バカでも生きては行ける。大人時間の方が子供時間の4倍くらいはありますからね。

ただ大人は誰も教えてくれないですよ~

自分で学ぶしかないですから…

それでも学ぶ時間は いっぱいありますから 今を全力で生きてください。

アナタが未来の総理になる可能性も ありますからね~ハハハ」


中学校男子「はい…ありがとうございました。」



70代男性 「ワシは この国は独立するべきかと思っている。 鎖国するべきだ。」


「うわ〜大胆な発想ですね~ハハハ

私も なんだが その方が楽なんじゃないかと思う事ありますよ~ハハハ

なかなか難しいみたいですけど 何か いい方法あるなら私に聞かせてください。」


ハハハハハハハハハと2人の笑い声が

部屋に鳴り響く


そして2月19日 初の支持率 87%

副総理任命などの不安が ありながらも歴代最高タイ

想像以上の滑り出しであった


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