第3話首相公邸

「到着しました。おりてください」


堀田秘書に言われ とりあえず車から降りる…

TVで見た事ある建物…首相公邸 ってやつだ


「待ってください…まだ返事も何もしてないのに勝手に話し進めるのは ちょっと……」


秘書「大丈夫ですよ 拒否権はないので総理の自宅になりますから…」


両膝を地面につけた瞬間 すぐさま「土下座しても話し合いも無意味なので…」

……もしかして2秒先の未来が彼女には視えてるのかもしれない…

「後は荷物の移動も終わってます

配送業の方も今日で退職となってるので安心してください」


「さすが仕事早いですね……とは、ならないです…恐らく人権侵害…パワハラ…そして不法侵入…全部 犯罪行為だと思いますが…」


仁王立ちした彼女が「そこも安心してください 全て新しい試みの為 法改正なども行いますし、すでにアナタは総理ですが我々の部隊が侵入や、手続きしてた時間帯は暫定的な政権として法律ストップさせてたので ある意味で合法です…法律を、すり抜けるのは我々得意なので…」


真剣な顔で堂々と話す彼女…一切の罪悪感

がない…恐らく我々 一般市民の感覚や価値観のズレから こんな世界になったのだろう…

「正式発表 所信表明演説まで数日ありますが、その期間は外出できませんので…」


次々 入ってくる情報量に頭がショート…


そう言えば20年ほど前 出たくても出られない似たような経験したな…

確か肺に穴があく肺気胸と言う病気になった時だ…

身体の中からポコポコと空気が抜けていく音がして3日後に限界をむかえ仕事を抜け出し病院へ…左の肺が すでに ぺちゃんこ です…緊急手術を行います

えっ…そんな大事だとは知らず来たから、 「わかりました 一旦帰って、すぐに戻って来ます」と告げ診察室を出ようとすると3人の女性看護師に制止され…

「何考えてるんですか…今、反対の肺 やぶれたらアナタは呼吸出来なくて死ぬんですよ!」

半分の肺で呼吸して息苦しく青ざめた私は

「DVD借りてるんで今日返さないと延滞料金かかって…返したら急いで戻るので行かせてください」

当時はネットTVなど なく DVD借りるのが主流だった

看護師「そんなの家族に頼めば いいじゃない!! お金より命よ!」

今にも死にそうな私は「家族に、頼めるDVDと頼めないDVD(エッチ系)がある…」

とギリギリの声で伝えると人が死にそうなのに大爆笑が診察室でおきた事を思い出す…… もっと早く察してほしかった…

1週間分くらいの延滞料金とられ恥までかいたが今では自分でも少し笑える


現実逃避から戻るとヘラヘラと思い出し笑いしてる私が 不気味で完全に引いてる様子…


周りは 大勢の警備員…逃走出来るはずもない事は すぐに分かる…

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