越後屋にて
影長「越後屋は居るか!」
越後屋「はい、ここに」
影長「姫の御用で参った」
越後屋「ここに、今月分の黄金の菓子と詳細な書類があります」
影長「いつも、大儀である!」
越後屋「いえいえ、超儲けさせて頂いております故。もっともっと依頼して下さってもよいですヨ」
影長「怪しい薬等は売っておらんだろうな!」
越後屋「怪しい薬等は売っておりません、怪しい書物や大人の玩具なら沢山在庫がございますが…」
そういって畳をチラリと持ち上げると、春画や大人の玩具がずらりと並んでいた。
影長「ふっ、そちもスキモノよのぉ」
畳みをすっと戻して、えびす顔で答える越後屋。
越後屋「この越後屋、法で禁止されてなくて人以外なら大体売り買いしておりますれば」
影長「武器の方はあるか」
掛け軸をひらりと上げるとコスプレ用品がずらりとぶら下がっていた。
影長「そういう、武器はまた今度にしてくれ」
越後屋「おや、こういう武器はご要望じゃないんで?」
影長「今日は、姫のお使いで来ておる。そう言うのは、個人で来た時に沢山見せて欲しい」
越後屋「左様ですか」
そういって、掛け軸を降ろす越後屋。そのまま、そっと襖をあけて親指で自分の所の蔵を指さしながら言った。
越後屋「戦場で使う種類の武器は蔵まで来て頂けるなら、ガン積みしてありますが如何しましょうか」
影長「いや、ただの確認だ」
越後屋「そうですか、毎日メンテナンスを万全にしておりますのでご用命があれば」
影長「時に、兵糧の方はどうなっておる?」
越後屋「安全安心なものをご注文下されば翌日配送致します。値の覚悟さえして頂ければ…」
そこで、邪悪に越後屋が笑った。
影長「相も変わらずごうつくばりだな」
越後屋「商人は、ごうつくばりでなくば勤まりませぬ。また、コストを考えられぬ屑はさっさとこの世から死滅して頂かなくては。その為の労は、この越後屋一切惜しみませぬ」
影長「金のコストに、信頼のコスト。育成のコスト等生きる上でコストは常に絡むからな」
二人で、くつくつと邪悪に笑う。
越後屋「それに、私が姫と一連托生になろうと腹に決めたあの言葉は今でもこの胸に」
影長「ほう、あの姫がどの様な事を?」
越後屋「好きならば極めよとおっしゃいました」
影長「変態でも、金儲けでもそれが好きなら極めよと?」
こくりと頷く越後屋
越後屋「この越後屋、金儲けは大好きなれば極めたいと答えまして」
影長「素晴らしい」
越後屋「ですから、あれ以来。儲けさせてくれる限り、この姫についていこうと心に決めました」
影長「その割に大人の玩具の在庫が多かったようだが…」
越後屋「商人は、在庫切れ等起こしては信用に関わります。つまり、売れるから持っているという事です」
影長「そうか、時に越後屋。ものは相談だが…」
越後屋「(ひそひそ…)はい、巨大カラクリですか。でしたら、これぐらい頂ければ直ぐにでも制作に取り掛かりましょう」
影長「高っ!!」
越後屋「嫌なので?」
その瞬間だけ、闇稼業の影長が怯む程の殺気を越後屋が放つ。
殺気だけで、外の燕が壱羽墜落した。
影長「いや、俺の裁量を越えるので一度姫に相談してこなくてはと思っただけだ」
越後屋「お待ちしております」
再び、笑顔に戻る越後屋。
影長「しかし、お主が闇稼業でなくて良かったと心底思うよ」
越後屋「何々…、私はいついかなる時も金儲けが大好きなただの商人ですよ」
その名は影長、姫のお使いを頼まれる度に癖のありすぎる取引先にビビる男。
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