出張ポエム食堂

一品目 リハビリカレー

俯く視線の先に広がる

野菜の温もり、まな板の呼吸

ぎこちない手のひらに

コンコンコンと響くリズム

包丁が重く響く


ジャガイモの柔らかな面影

にんじんの鮮やかな記憶

玉ねぎは涙を連れて

みじん切りの彼方へ溶けてゆく


バターの香りが空間を包み

飴色の玉ねぎが

時間を重ねて光り出す

隣のやかんの湯気は

湧き上がる意志のよう


飴色の甘さと肉の鼓動が

ひとつの鍋の中でルーと語らう

隠し味は、忍耐と微笑み

首筋に激しい痛みを覚えつつ

それでも心が跳ねた


「おいしい」と皆の言葉が響く

その瞬間、湯気の奥に見えたのは

私の知らなかった新しい景色


甘さの中に、私の小さな自信と

未来へ向かう心のスパイス

リハビリカレーとともに


ーーーーーーーーーーーーーーーーー


河島英五さんの「酒と泪と男と女」(1975年)って名曲にもかかわらず、1度だけ出演された1991年のNHKの紅白歌合戦で、この曲を歌っていないのが意外でした。ご本人が急逝した2001年の紅白で親友の堀内孝雄さんが、この曲を歌い、生前の河島英五さんの歌声とシンクロしてデュエットした追悼ステージは、今でも忘れられません…


作品の裏話

カレーと凝りと男と女

https://kakuyomu.jp/users/majo_neco_ren/news/16818093089190362387

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