第40話 何だか、不思議な感じがする
介抱されることの多かった
とても珍しい絵が見られて、感動してる。
エヴァは健康を取り戻しつつあって、顔もふっくらとしてきた。
妹のあたしから見てもかわいい。
ユリアンもそれなりに整ってるから、二人が寄り添う姿は一枚の絵画みたいなのだ。
サーラもかわいいので兄妹揃って、整ってるんだとは思う。
彼女には小動物みたいな愛らしさもあるから、あたしが絵の題材にしたいのは断然、サーラだけど!
「ふむ。話を続けてもかまわないかね?」
ビカン先生の声に少し、苛立ちが混じってるように感じられるのは話の腰を折られたせいかしら?
ユリアンに気を取られたのは事実だし、お陰で眠そうになってた頭が覚めたけど。
サーラも椅子から、落ちないか心配になるくらい頭が左右に揺れてたけど……。
「直近の日蝕でも大きな災厄が起きている。一国家の存亡から始まった種火が大陸全土を燃やす大火になったのだ。これは歴史学の授業でも習っていることなのだが……」
先生はそう言うとあたしとサーラをひとにらみした。
決して、気のせいじゃないと思う。
歴史学の授業で寝てたのが何でバレたのか……。
先生の目は「補習授業を追加だ」と言っている目だった。
危ない。
それでなくても大変なことに巻き込まれてるのに補習授業なんて、無理だもん。
「その通り。ガルグイユという強大にして、狂暴な竜が
先生はまた、一呼吸置くかのように言葉を止める。
今まで気が付かなかったけど、どこか芝居がかってる気が誰かに似てるのだ。
演劇が好きな誰かさんみたい。
ロビーに似てるのか、ロビーが似てるのか。
顔は似てないし、髪や瞳の色だって違うのに。
何だか、不思議な感じがする。
「いずこからともなく、強大な存在が出現したのは一度ではない。日蝕とともに大災厄は起こっている。これは推測ではない。事実だ。
難しい話だった。
分かったのは日蝕が起こるたびによくないことが起きてるってことだ。
そして、日蝕はどうして、起きているのかが全く、分かんないらしい。
自然界の現象にはなぜ起きているのかって、原理があるはずなのにそれが全く、解明されてないらしい。
「一説によれば、上顎が天に届き、下顎は地の底につくという巨大な魔狼が太陽を飲み込むから、起きるのだとされている。だが、私はこの説は古人の考えた壮大な冗談であると考えている。神話の伝説の巨狼が実在したとしてもおかしな話なのだ。飲み込んだのであれば、日蝕が終わるはずがあるまい」
先生はそう言うと悪戯っ子みたいに破顔した。
でも、ふっと真顔に戻ると衝撃的なことを言うのだった。
「原理は分からん。なぜ、起こるのかも分からん。だが、神話を読み解くと不吉な一文に辿り着くのだよ。『扉開かれし時、彼の者は彼方より現れん。その名は次元竜』とな。そして、日蝕は起こる……それは誰にも止められん」
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