七 情報を伝えろ

 ベットでマコが説明した。

 三田中の愛人、玲香の母の玲奈は、赤坂にある三田中の議員宿舎に居る。三田中の本妻は都内の病院に入院している。末期癌だ。それで愛人が三田中の議員宿舎で三田中を世話している。


「いったいなんだ?マコの母が愛人と本妻を叩き出したんじゃなかったんか?

 マコの母は何処に居る?」

「母は本宅に居るわ・・・」

「もしかして、マコの母は、マコの父親の仇討ちをする気だったのか?」

「結果はそう言う事になるわ」


「愛人は新井慎司の居所を知らないのか?」

「そうらしいわ。あたしは三田中から、玲香にも母の玲奈にも新井慎司の居所を知らせるな、と口止めされてるわ。だから、玲香の母の玲奈の電話番を知らされてないわ」


「玲香に新井慎司の居所を話せば、母の玲奈に伝わるか?」

「玲香は口が軽いのよ。なんでも三田中に筒抜けだから三田中に知られるわ。それで、三田中は玲奈を新井慎司に会わせないようにする」


「新井慎司が、玲奈が新井慎司を轢き殺そうとした、と話せば、玲奈は逮捕されるぞ。新井慎司はその事を警察に話さないのかな?」

「新井慎司が玲奈の事を話せば三田中も同罪だよ。これまでの三田中の犯罪がバレるわ。三田中が逮捕されないのは、まだ、新井慎司が何も話していないからだよ」


「玲奈は自分の殺人容疑か消えるまで、新井慎司を消す意志を無くさないはずだ。玲奈に直接新井慎司の居所を伝えられないか?」

「ダメ元で玲香に、誰も話さずに母親だけに知らせろって連絡する!」

 マコは玲香に電話して新井慎司の居所を伝えた。


 電話の向こうで玲香が言う。

「まり子!ありがとう!母も喜ぶわ!すぐに伝えるね。

 母は新井さんが行方不明で心配してたのよ!」


「ねえ、あたしからお母さんに連絡しとこうか?」

「ホント!そうしてくれると助かるわ。

 古田和志くんから、政治がらみの事に関わるなって言われたのよ。父が収賄事件でやばいでしょ。まり子が連絡してくれると助かるよ。じゃあ、お願いね。

 母の電話番号は、090・・・・・・・・だよ」


「わかったわ。玲香は、今、どこに居るの?」

「本宅だよ。古田和志くんもいっしょだよ。

 実は、ゆうべ二人で・・・」

「あらあら、わかったわ。そしたら、お母さんに連絡するから、またね」

「おねがいね」

「はい」

 マコは電話を切った。


「母親に連絡して、俺たちは何をするか決めよう」

 俺はマコにそう言った。

「わかった。電話する・・・」

 マコは玲香の母の玲奈に電話して新井慎司の居所を伝えた。


「ありがとう。ずっと気にしてたのよ。ありがとうね。いずれ、お礼をするわ。それでは、あなたのお母様にも、よろしく伝えて下さいね」

 玲奈との電話が切れた。


「さて、俺たちも中野の警察病院へに行くぞ」

「ねえ、慌てなくていいから、様子を見ようよ・・・」

 マコが俺に抱きついた。

「リヨとの再会を祝って、ねっ!もういちど・・・・」

「そうだね・・・」

 ここまで来たら慌てなくていい。玲香の母の玲奈は三田中に知られないように内密で動くはずだ。なぜなら、自分の罪がバレルのを最も恐れているから・・・。 

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