29話 おせっかいなお母さん


 ☆☆☆ 夏楓視点 ☆☆☆


「あの、夏楓さん。今日は珍しく香水つけてますよね?」


 注文をしたら急に奏音くんがそんなことを言ってくる。さすが奏音くん。ちゃんと気づいてくれた。


「うん。今日、奏音くんとお出かけするってお母さんに言ったら、なんかお母さん凄く張り来ちゃって……。なんかお洋服とかお化粧とか色々口出してきて。嬉しいけど、ちょっとしつこかったからそう言ったら、せめてこの香水だけでもって」

「な、なるほど……?」

「……で、どうかなこの香り」

「僕は好きですよ。お花の香りがして、やわからい香りというか、なんだか落ち着く感じです」

「本当? そうなの、フローラルの香り。私も初めて使ったけど、結構好きかも」

「夏楓さんにはぴったりですね。他にも石鹸の香りとかも良さそうです」

「石鹸の香りかぁーいいかも!」


 奏音くんって本当に話し上手だよね。どんな些細なことでも話を広げてくれるし。褒めるのも上手だし。やっぱ好きだなぁ。


「奏音くんは? お母さん何か言ってた?」

「あー。うちも似たような感じです。身だしなみ整えるを手伝ってくれました」

「そっか。また奏音くんのお母さんとお話ししたいなぁ」

「そんなにあの人のこと気に入っているんですか? 一度会っただけなのに」

「うん。穏やかな人で、なんか一緒にいたら安心する。お話もめっちゃ楽しかったし!」

「へー。あの人相当夏楓さんのこと好きらしいですし、良かったです」

「ほんと? えへへ、そう言ってくれるなんて嬉しいなぁ」

「今日帰るときにうち寄ります? あの人もきっと喜ぶと思うので」

「え。いいの! 行く行く」


 このままいけば、いずれ本当の「義母さま」になるわけだし、今からさらに仲良くなっておきたいな。


 そんなお話をしているうちに注文した料理が届いた。


「いただきまーす」


 見るからにおいしそう。奏音くんもそんな顔をしてる。フォークでカルボナーラを上手く巻いてスプーンにのせて口に運ぶ。


「んんーおいしぃー」


 やばい。めちゃくちゃおいしい。うまい食レポとか、奏音くんみたいに語彙力があるわけでもないからできないけど。奏音くんを見れば、夢中でボロネーゼを頬張っていた。


(ふふっ。なんかリスさんみたいで可愛いな)


 私は食べる手を止めて、おいしそうに食べている奏音くんを観察する。そしてちょっとしたいたずらを思いつく。


(奏音くんにあーんしてあげようかな……)




 ☆☆☆


 夏楓さん視点ってなんか書くの難しい気がするのはなんでだろうか……?

 

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